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独白








 生寄が退学したことを知った僕は、生寄の友達などに聞いて回ったが誰も行方を知らなかった。


 心配だ。


 連絡をしてみようか―――いや、もう別れたんだった。


 きっと、生寄は僕の顔も見たくないだろう。





♢♢♢





 その後、生寄が退学してから一ヶ月ほどして彼女は失踪という扱いになった。


 両親にも連絡が入っておらず捜索願いが提出されたそうだ。


 僕も連絡してみたが連絡は着かない。


 ブロックされているか確かめる方法を行うと、ブロックされていた。


 なんやかんやで時々会話していた生寄の友人にも試してもらったが、ブロックされているようだ。


 そのことを聞いた時、僕は生寄にブロックされていたのが自分だけではなく良かったと思う自分に呆れる。


 生寄が失踪したからといって、僕にできることはなにもない。


 そろそろ、生寄を忘れないといけないな……





♢♢♢





 僕は、彼女を忘れる為に新しく熱中できることを探し始めた。


 それで見つけたのが、動画投稿サイトで自分たちが歌った動画をアップロード人たち―――歌い手の存在だった。


 もとから歌うのが好きだったし、趣味には丁度いいと思い始めてみた。


 結論としてはあまり伸びなかったけど、楽しかった。




 分かってる。


 これが現実逃避だって、逃げてるだけだってことくらい。


 でも、そろそろ忘れないと苦しいんだ。


 だから、忘れさせてください……




 その日も、心の中で誰にも聞かれることなく男は懇願し続けた。





♢♢♢





 生寄が退学してから十ヶ月。


 新しい恋人ができた。


 恋人には悪いけれど、僕の身の丈に合った相手だと思う。


 また分不相応な相手と付き合って、関係を拗らせたくなかった。




 でも、彼女ができたというのに凄まじい消失感が僕にはある。


 なんで、生寄を忘れられないんだろう。


 辛い。


 もう、解放してください……




 その日も、心の中で誰にも聞かれることなく男は懇願し続けた。







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