GO碁5(R15)
ミーンミーン……
セミの鳴く声は多くても、大人も子供も声が小さい。
この暑さだ。炎天下というべき日。太陽がギラギラと輝き、中学校の校庭を焼きつくしているだろう。
「やっぱり中はいいよな」
「そ、そうだね……」
その暑さにだって負けてない白熱する戦いを……2人はしていると誇りつつも、エアコンがよく効いた部室でやってる部活動。
囲碁同好会。部員は2名。男子一人、女子一人。定休日は火曜日と木曜日、金曜日。放課後になったら囲碁を打ったり、勉強をしている囲碁同好会だ。
……という感じに
「文化部だって悪くない」
「き、帰宅部とあまり変わらないよ。北野くん」
「む~~……、そう言うなよ。桜井」
こーいう運動嫌いだけど、帰宅部もマズイという中間。そこに文化部があるようなモノ。ここに入部した時は、先輩達もいて4人だったけど。
「今はみんな帰宅部だもんな」
「ここも顧問いないけど……」
昔の定休日は木曜日、金曜日であったが……。火曜日も追加されたのは桜井が塾通いのため、活動ができないという事だ。そーいう北野も木曜日と金曜日は家庭教師がやってくる。学生はみんな、勉学に励めということだ。むしろ、学校は道徳や楽しさを知るところで、家や塾が本当の勉学の時間なのかもしれない。
家に帰ったらゲーム三昧・スマホという中。学校で囲碁を打つ……まぁ、なんでも良かったが、
「家帰っても親いない同士だと、嫌がるしな」
「しょ、しょうがないよね。でも、遊ぶのも大事だから」
家に早く帰って来いという家庭もあれば、正直、遅く帰って来てくれという家庭もある。北野も桜井も、小学校の低学年頃は学校が終わっても居残り会みたいな感じで、18時頃まで学校で遊んでいた仲だ。それは中学になっても似たような事となり、家に早く帰ってくるなって両親は言う。(塾通いもそーいうところがある)
そこに暑さや寒さといった原因もある。
「家にいると、光熱費とかあるし……漫画読むならやっぱり学校だよな?」
「も、もうっ。先生に見つかったら、取り上げられちゃうよ」
「今は部活動中だもん」
家にいるより学校で過ごしてくれた方が何かと安全かもしれない。
少なくとも、北野にとっては学校の方が遊びやすかった。木曜・金曜・土曜に家庭教師がやってきて、良い高校に進むように勉強をさせられている。だからといって、学校の成績が良いかと言えば、平均的に過ぎず、桜井と同じぐらい。少なくとも、馬鹿ではない。
だけど、やらされてる勉強にやる気を出せってのは……、どんな人にも難しいこと。
「…………そーいえば、桜井はなんでここに?」
「ええっ。えっと……」
桜井はいつもこんな感じだ。ちょっとごもってしていて、鈍くさそうにしている女子だ。
「私も、運動……好きじゃないし……小学の頃から知ってる、……と、友達がいるとね……」
「運動好きじゃないか……。体育とかも休んでるよな」
「ああっ、もぅ!」
「??」
囲碁同好会という部活をしてても、桜井のおかげで勉強会になったりもする。塾も家庭教師の勉強としての効率がピカ一だけれど、学校の中で同級生と勉強するのは楽しさの方が多い。勉強中のスマホや漫画もいいけれど、嫌々で塾や家庭教師を受けてる生徒達の中よりも良い。
パチンッ
パチンッ
「うーんっ……」
囲碁のルールはちょっと難しい。初見の人じゃルールが分かり辛い。簡単に言えば、陣取りゲームだけれど、王将を獲る将棋やオセロのような見やすさがないのが、囲碁の欠点だろう。
どっちが優性かがパッと見じゃ分からない。北野も桜井もネットから始めたし、……
「ど、どうしたの?パス?」
「あ、いや……。そうじゃないんだけどさ」
パチンッ
「囲碁ってやっぱり、難しいかな~って」
「うーん。私も将棋とかオセロとかの方が良いかなって?将棋でもする?」
「いや、俺と桜井はルールが分かってるからさ。男子で詳しい奴少ないし、女子だと桜井しか知らないだろ?」
「ま、ま、周りに伝わりにくいって事かな?」
「そうそう。優勢・劣勢が分かりにくいよな。もうちょっと、楽しめる感じに……視覚的にさ」
真剣な頭を使った勝負に邪を入れたくなった北野は、
「罰ゲームを入れてみないか?」
「ば、罰ゲーム!?え~っ……負けたら何か?」
「う~~ん。あっ、戦況を体で伝えるってのは!?不利なほど服が脱げる的な……」
「えっ……?」
その言葉に桜井は胸を庇うようにしながらも、顔を赤らめる……。一方で北野は、子供心の純粋な揶揄いである。
二人の同好会。二人だけの部屋だ。
「次の1ゲームからだ」
「も、もぅ……1回だけだよ」
◇ ◇
パチンッ
囲碁とは、簡単に陣取りゲーム。
序盤でその行為には及ばない。
黒と白。それぞれに陣地ができ、その数が5の倍数になった時。相手方は1枚の脱衣。
「1枚」
上履き
「2枚」
靴下
パチンッ
「上着!ついに……かっ……!」
北野は上半身がシャツ1枚となった、……。次は下である。
ここまで来ると北野の中で思うところがある。
「や、やばい。これはなんか……もう負ける方に傾きそうだ」
「あ、あの。北野くん、しゅ、集中して……よ」
桜井はまだ靴下だけである。二人共、罰ゲーム付きになると、囲碁の打ち方が露骨におかしくなってしまう。
パチンッ
「こ、これって囲碁かな?」
不安そうに言いながら、桜井も容赦なく、自分の白の陣地を作る。これで20。
「うわー!ズボンまで脱がなきゃいけねぇっ!」
「ば、ば、盤面を見るよりも分かりやすいけど、……ちょっと、恥ずかしいよ。も、もうちょっと」
「ん?」
北野がふざけていたのもあるけれど、桜井はちょっと小さくしている声。
「わ、分かりやすいルールなんだから」
すぅ……って、夏にする吐息じゃない、温かいのが桜井から零れ
「真面目な北野くんも、……ふざける北野くんも、私はみたいよ」
これを書こうと思ったきっかけは、丁度、アレの動画配信をやっていただけです。囲碁は関係なく、語呂が良かっただけです。(ヒカルの碁じゃないよ)。
10月、時間あったら見たいなぁ~。
昔の見たかったアニメが全話一挙公開されているとは、30歳以上も生きて来て良かったです。
思春期拗らせて、周り気にして見ずに、同人誌でグヘヘヘヘってしていた頃を懐かしみます。悪堕ち・エロ堕ちはやっぱりたまらない。