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intro. 謎の天使モドキ

深夜に生えたプロローグに溜めてたアイデアをガッチャンコしたらなんか上手くいきそうだったので初投稿です


 パンパカパーン!


 間抜けなファンファーレと共に、閉ざしたはずの目を貫いてくる程の光が私を包み込んだ。いや、暗闇で目を開けていたんだったか?しかし、何だここは。目の前には宇宙空間みたいなものが広がり、そこに見えない足場みたいなのがあって……私は今、立っているのか?それとも足場などなく、宙に浮かんでいるのか?夢を見ている時によくある、動こうとしてもてもうまく体が動かせない感覚がする。それどころか、自分自身の肉体というものが視界に見当たらない。


 自分が突然置かれた状況に困惑していると、唐突に目の前が光り輝く。しかしそれは先程のような全身が包み込まれるようなものではなく、私の前方に光る真四角の何かが現れた。四角い光がが観音開きの扉のようにこちら側へと開くと、中から人影がこちらに向かってきた。


「やぁやぁお兄さん、おめでとうございます!そしてご愁傷様です!あなたの魂は肉体を離れ、無事に精神界へと至りました!要するに死んじゃったって事ですね、拍手〜!ぱちぱちぱち〜」


 誰だお前は。何なんだここは。そう問い詰めたいのに、体も動かなければ声も出ない。


「あ、まだ発声はできない感じですよね?でもご心配なく、ただ頭の中で考えるだけで結構ですよ!まぁ今のあなた傍目にはなんか変な白っぽいモヤモヤなので、どこが頭なのかわかんないんですけどね!産まれたての精神体なので!!」


 精神体?じゃあ肉体はないってことか。というかお前やかましい奴だな、それになんだその格好は。ウェーブのかかった金髪、男か女かわからんコーカソイド系の顔立ちにブルーの瞳。頭の上には輪っかがあって背中には純白の翼。服は古代ギリシャとかの、何て言ったか、布を被って紐で縛ったやつ。あんたまさか天使か何かなのか?その割に手に持ってるのは弓矢じゃなくて、医者がカルテを入れてるようなファイルなんだな。


「服は……おそらくトーガのことでしょうか?私の姿はあなたの死生観や宗教観に応じて変化するようになっているので、つまりあなた、倉門真司(くらかどしんじ)さんがイメージする『死後に会う存在(お迎え)』はそんな感じのテンプレ的な天使だということでしょう!ちなみに、弓矢を持ってるのは天使ではなくキューピッドではないかと!でもあなた、この資料によればご実家もご自身もブッディストですよね?最近多いんですよね〜、先祖代々の墓があるからって形だけ信仰して、宗教にこれっぽっちも興味ない方。ま、仏像をイメージされると私の手足が座禅を組んだまま動かせないので、今の姿は窮屈さがなくてありがたいのですが!!」


 書類をパラパラめくりながら好き放題ペチャクチャ喋り倒し、背中の羽をパタパタさせながらあっちこっち飛び回って、視覚的にも聴覚的にも騒々しい天使がいたもんだ。それで、そのイマジナリー天使サマが一体なんの御用で?


「えぇ、えぇ!よくぞ聞いてくださいました!あなたは今回の人生で『不憫ポイント』が基準値に達したので、異世界への転生という片道切符を無理やりプレゼントしちゃいま〜す、拍手〜!ぱちぱちぱち」


 待て待て、知らん言葉と意味わからん発言のオンパレードだな。


「説明しましょう!『不憫ポイント』とは、あなたが生きた世界の全ての魂でカウントされる、生前の幸運と不幸のバランスが不幸に偏っていたり、波乱万丈な人生を歩んだりするほどたくさん貰えちゃうポイントなのです!以前お会いした方は『かわいそう(曇らせ)かわいい(萌える)』とかなんとか仰ってましたんですけど、ちょっと何言ってるかよくわからなかったんですね。ちなみに『不憫ポイント』っていうのは最近の呼び方で、過去に他にもいろーんな呼び方がありましたよ!聞きたいですか?」


 いや、いい。必要以上に余計なことを知りたくない。どこにあるかもわからない頭が痛くなりそうだ。


「おやおや、こちらのジョークにジョークを重ねる余裕とウィットをお持ちとは!なんかよくわからん白いモヤモヤにしてはやりますねあなた、これは余計に期待してしまいます!じゃあサクッと説明を終わらせちゃいましょう!」


 そうしてくれ、私が退屈か混乱で霧散しないうちにな。


「えー、こほん。私たち精神体、各担当の世界で暮らす物質界の皆様の営みが私たちにとって存在の維持に必要不可欠な栄養源であり、同時に最大級の娯楽でもあるのですが。これが、担当する世界によって営みの種類に偏りが大きい場合が多いんですよね〜。あ、営みってチョメチョメ(自主規制)のことじゃないですよ。キャー、えっち!!」


 顔を赤らめるな内股になるなモジモジするな。早よ続きを話せ。


「うーん、ツッコミは赤点回避(判定:可)くらいですかね〜?」


 うるさい霧散するぞ。


「んもー、わかりましたよ。営みとはすなわち、物質界に暮らすあなた方の一挙手一投足、その全てです。そこから産まれたエネルギー……みたいなもの?を、私たち精神体は食べるなり喫するなりするわけです。バタフライエフェクトってあるじゃないですか、あれ私たちの食べこぼしです」


 それは……なんか、あまり聞きたくなかったような?


「失礼、無いお耳汚しを。あー待ってストップストップ怒らないで!ノット霧散!!……あなたみたいに極端な人生を送られた方って、どこへ行っても何をやっても、なんだかんだ同じように波瀾万丈の人生を歩まれるんですよ。魂に刻まれてるとか、そういう星のもとに生まれたってやつなんですかね?そして、私たちの社会にもマッチングサービスのようなものがありまして。豊富なところから足りないところへ、ハチャメチャやってくれそうな魂をお裾分けする仕組みなんですけど。あなたの生きた物質界で腐るほど余ってるのが『不憫な魂』なんですよねぇ。実際あなたもなかなか……」


 ようやっと付き合えた幼馴染の恋人を一年ちょっとで病気で亡くして、そこから死ぬほど落ち込んで。ようやく立ち直ったと思ったら、今度は自分が末期癌だと分かった。動けるうちに二人の思い出の場所へ旅行に行こうとしたら、乗った飛行機が墜落してお陀仏だ。どうした、笑えよ天使サマ。


「笑ったりしませんよ。お涙頂戴ラブストーリーのヒーロー役が、随分な最期を迎えたなぁとは思ってますけど。いやぁ、しかしあなたもなかなかどうして卑屈な方ですねぇ。ここに来るのは死んだばかりの『不憫ポイント』が爆高い人なので、みなさん大体そんな感じですけど。単にキレ散らかすのではなく、ジョーク返したりツッコミ入れたりできるだけ、結構マシな方ですよあなた」


 説明はもう終わりか?


「もう少しなのでご辛抱を。他所からこちらに招く場合には必ず前世の記憶をなくすんですけど、逆の場合はその限りではなく、場合によっては一度こちらにお越しいただいて、前世の記憶を残したまま転生して頂くことにしてるんです。その方が、無念を晴らそうと頑張ってくれるケースが多いですからね。なのであなたも、記憶を丸ごと保持したまま赤ん坊として他の世界に生まれて頂きます。どのように過ごして頂いても構いませんが、先程お伝えした通り波乱万丈な体質は生まれ変わっても相変わらずだと思われますので、その点はご留意ください。以上で説明は終了になるんですけど。大体わかって頂けました?何か質問とかあります?」


 ……あいつとは、もう会えないのか?


「うーん、茶化さず正直に申しますと、『天文学的に低い確率』というやつかと。ただでさえ同じ世界で輪廻転生して再開できるかどうかの時点で、砂漠から一粒の砂を探し当てるようなもの。沢山ある世界で、同じところの同時期に産まれ、さらにお互いがわかる状態で出会うとなると……」


 そう、だよなぁ。……はぁ、よし。一思いに、ちゃっちゃとやってくれ。


「かしこまりました。では、あなたの新たなる人生に幸多からんことを!あ、面白くなりそうなので恋人さんと同じ世界同じ時代に行けるようにアレコレしましたから、せいぜい頑張ってくださいね!では行ってら……だと返ってきちゃいますね達者で暮らせよベイビ〜〜〜!!」


 色々とちょっと待てえええええええ!!!!!!




 ……こうして私は、トイレに流されるみたいなエフェクトと共に異世界へと旅立った。アイツ次会ったら許さん。

ラジオ番組が始まったり終わったりする時のアレはジングルだけど、オープニング・エンディングってつけなきゃ区別できないからイントロ/アウトロにするわよ……



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