第40話:男達の夜
登場人物:
主人公:宇田川咲子 高校に入学したばかりの15歳
主人公友達:立花律子 友人
主人公友達:大越理恵 友人 研究会所属
日常研究会 代表:影山雄一
南雲津久美:研究会所属
手塚美子:研究会所属 新入生
ニッチな才能たち
ファイールズ・明:発破爆破の天才
石坂正洋:工学論文をたしなむ生徒
石坂浩二:正洋の一つ上の上級生、その実発明の天才
五条悟:人形作りをたしなむ男
堀之内貴信:二年、人体工学をたしなむ
「優紀院高等学校」
その他:
宇田川清江:咲子の母親
宇田川智樹:咲子の弟 中1
立花理香 律子の母親
カクヨムとも重複投稿です。
新横浜においての履行を終えた後、帰宅した正洋は高揚していた。精神の弛緩を目的に熱めの風呂に入り、団地の居間のエアコンの温度を下げる。身体から体温が抜け落ちていきその心地よさに忘我の胸中を感じていた。しばしの時間、落ち着いたころ合いになり、衣服に着替え座椅子に座りノートパソコンを立ち上げる。「新横浜」での履行。それをしたためる。タイトルは決めた、空で思い浮かんだ。「新横浜エリア攻城戦」照れはなかった。無心でタイプを進める。構成はすでに頭の中に入っている。指の疲労を感じるも、時間の経過と共に進捗が正洋を無我の胸中に突入させる。すでに自身の手による構築物が増えることに悦びを感じつつあった。時間の経過の最中、周囲は見えていない。夕刻を過ぎ、食事の時間を意識しだす頃には完成稿ができあがっていた。 すぐにでも発刊したかった。自力で添削し読み直すのに面倒を感じる。すみやかに、雑ともとれる見直した後、電子書籍ファイル変換サイトで論文のPDFを変換する。kindleの登録ページにアップロードを行う。既に手慣れた作業であった。必要事項を入力し終え発刊作業は終了となる。あとはレビューされた後、WWW上での公開となる。修正の必要性は考えたものの咲子達に渡した共有リンクにPDFを添付する。LINEも個別に送る、この日の正洋は日中を通しての高揚感があった。
夕食を食べ終え明は2階の自室で寝そべっていた。弛緩した状態を楽しむ。あおむけ見つめる天井は何かの変化の兆しを見せていた。石坂正洋との会話を思いだす。
休みの心得。何もしない。忘我の時間を過ごす。呆けた状態での弛緩が続く。目線を動かし天井を視る、壁を見る、窓をみる。少しずつそれらはゆがんでいく。崩れ落ちていく。自身を中心にそれらが崩れ落ちていく。崩壊、それがわかる。どこをどうすれば破壊できるのかイメージでわかる。確信をしていた。自らならできると。ふと我に返る。弛緩による休息を忘れてしまった。自身に苦笑いをし、アイフォンのミュージックを付けた後、頭の後ろで腕を組み、その時間を楽しむのであった。
律子との電話での会話に花をさかせてしまった。すこしして最初の発言が相手に誤解を与えたことを理解した。自身でも唐突にまごついたのは、相手に苦笑いさせたか。少し反省をしたが律子とのキャッチボールは巧くいったと感じていた。目前にあるのは完成としての衣服だった。それ以外にも室内には自身の手による造形物がある。美しい。そう感じる。自画自賛だろうか。律子に造形物に見とれる自分を伝える。律子の回答は芸術家肌としての自分だった。そうかもしれない。でもそうかな。残しておくか?写真という意味らしい。そうする。保存の形は色々あるだろう。律子も見たいと言っている。出来の客観的評価も気になるし、身にまとってこその衣服だ。それに関しては苦笑いされたものの、電話を終えた後、写真を撮影し律子に送ったのだった。
工房からの帰宅。場所は誰にも悟られていない。自身の普段の素行に関しては母には伝えてある。だが兄弟達には内緒だ。お互いにそこまでの干渉もない。浩二としてはもうすこし広い住居への引っ越しをしたかった。資産はある。だが母子家庭である環境を認識している周囲がそれを許すか。それが問題であった。可能である。自身なら。団地の勉強部屋の机に向かい、不定形の用紙を見る。指の動きで変形するそれはフローチャートなどが記されている。もう少し。順調である。だがそれは内密にしなくてはならない。だが自分にも油断はあるか。一部の人材には試行を許している。大敵になる可能性も想定し、一時は問題なしとする。自身の知名度を意識する。想像以上にかもしれない。妬む輩にはまだ貧乏人の努力程度に見せてはおかなくてはならないだろう。トイレに行く際に居間にいる正洋を見る。一時間前まえタイプしていたが、今は電子音がなっていた。みやると中腰の姿勢で腕を前方に構えている。ローススクワット。その体形はすぐにわかった。電子音は終了を知らせる合図だろう。何秒セットかはわからなかったが、すでに結構な数をしているはずだ。正気を疑う。正洋に関しての様子はすでに分かっている。kindle、note、表明しているものはすでに確認している。もしかして。正洋を頼るかもしれない。隠れ蓑ではないが。いけるのか。そう感じていた。もう一人の同じく顔の兄弟はコミックを読んでいる。何を考えているのか不安になったのであった。




