第39話:我が身の春は意識せず。見下ろすのは我が手の進捗
登場人物:
主人公:宇田川咲子 高校に入学したばかりの15歳
主人公友達:立花律子 友人
主人公友達:大越理恵 友人 研究会所属
日常研究会 代表:影山雄一
南雲津久美:研究会所属
手塚美子:研究会所属 新入生
ニッチな才能たち
ファイールズ・明:発破爆破の天才
石坂正洋:工学論文をたしなむ生徒
石坂浩二:正洋の一つ上の上級生、その実発明の天才
五条悟:人形作りをたしなむ男
堀之内貴信:二年、人体工学をたしなむ
「優紀院高等学校」
その他:
宇田川清江:咲子の母親
宇田川智樹:咲子の弟 中1
立花理香 律子の母親
カクヨムとも重複投稿です。
休日の午後下がり、美子は自宅で遊興する手段として選んだのはTVゲームであった。数時間における熱中が終えたころ、自覚せぬ疲労感に襲われる。気をまぎらすために自宅付近を散歩するのであった。腕には浩二から借りたままの「ガリアン・クロウ」を付けている
美子「あああ、遊んだわ。まったく今日は孤独ですねぇ。まあそれもいいか。咲たちは何してんだろ」
美子は歩く最中に、ガリアンクロウを稼働させ手慰めをする。自販機、柵、車両止め、何もない空間。ガリアンクロウの威力を軽いものに調整し突いていく。
曲げ、加速させ、減速させ、限界まで伸ばし。
美子「ほいほいっとー、しかし皆真面目なのかねー、まだいいじゃん。頑張らなくて。ふーんだ。遊んでるよー」
頭に浮かぶのは、見知ったと言える顔、正洋と明、悟、浩二であった。
美子「がんばるねー、どいつも。あたしゃまだ気楽がいいかね、咲たちは裏切らねーよな。なんて。」
立ち止まり少し考える。複雑な表情を浮かべる
美子「進んでいるのか?・・・なんて」
それぞれの人間関係を思い浮かべる。自身は含まれていない。
美子「咲たち、とぉ。正洋?明? 律子、とぉ悟、ふむふむ。浩二さんは理恵パイセンかなぁ」
歩きをはじめ、意識しはじめたのは友達と言える人材の異性に関してた。まだぼんやりしているが、どちらかというとにやけていると判断される笑みを浮かべている。
美子「えへへ、ごちそうさま、なるのかねぇ、でも遊ぶ時間減るのは問題かなぁ」
美子「今度、どっか遊びに行こうかなぁ。アホの丸ハゲ、江ノ島に行きたいっていつか言ってたなぁ」
美子「確かに、遊ぶったってな!よっと!」
美子は格好をつけたポーズで虚空にガリアン・クロウを伸ばす
美子「あたしゃどうするかね」
浩二の手の中でA3大の用紙が広がっている。大きさは不定形に判断されるだろう。浩二の手の調整によって広がるからだ。
フローチャートが表記されている。そして可変している。浩二は思考によりそれを付けたし、修正し、認知を改める。問題はない。
現在としての進捗に満足しているかは表情から読み取れない。燃料電池を原動力にした発明品にも着手しなくてはなるまい。
自宅から間もなくの位置にあり、しかし決して気づかれないだろう我が身を寄せる工房。秘密たる存在であり、外部の干渉は
無かった。時間は有限であり貴重だ。しかし、自身のための消費も必用である。発明は享楽による履行ではない。目的のための
必用性だからだ。段階を踏まえた発展には当然のものとして見下ろしている。構築物の存在に満足する弟とは異なる心境であることを
意識していた。自らの楽しみのための行動や感覚は貴重である。宙に浮いた用紙を見ながら、スマートフォンを操作する。頬はにやけている。
新作の空気圧製品の試行を促すメッセージを送る。返事がくる、速い、期待通りである。
「空気椅子ってなんだ、どこでもじゃねーよ。どらえもんかよ」