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自分殺し  作者: ジェネリック豊富秀吉
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タイムトラベル

「ついに完成したぞ!」


 その声を上げたのは矢美野やみの苦魔惨くまさんである。


「ついにタイムマシーンが完成した!」


 西暦2022年、人類初のタイムマシーンが発明された瞬間である。


「まずは未来に行くか過去に行くか。」

 

 苦魔惨は悩んだ。


「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は確か未来に行ったらタイムマシーンを強化できていたな。過去に行かず先に未来に行っていれば、落雷を待つなんてあんな面倒な事をせずとも楽に現代に帰れたはず。ならその教訓を参考にして先に未来に行くこととしよう!」


 苦魔惨はさっそく未来に行った。


「まずは1000年!」


 西暦3022年。


「何だ思ったより生活様式は変化していないな。しかし、不老長寿は完成し人間の寿命は無くなったようだ。事故か事件か未知の病以外で人が死ぬことは無くなった。そして、人間は人工子宮で『生産』されるようになった訳だ。」


 そう観察しながらも、苦魔惨は早速タイムマシーンの改造に着手した。


「この『原子力乾電池』!これは素晴らしい動力源だ。これをタイムマシーンの動力にしよう。」


 苦魔惨はタイムマシーンを強化するとさらに未来に行くことを決意した。


「次は、2000億年後にいってみよう。」


 西暦200000003022年。


「成程成程、かつて膨張し続けていた宇宙は段々収縮してくのだな。どんどん縮んで行き最後には消滅する。これが宇宙の最期か。」


 苦魔惨は宇宙の終焉を見届けると、今度は過去に向かう事を決意する。


「タイムマシーンが出来たら一番試したかった事がある!元いた時代から22年前へ!」


 西暦2000年。


「ここには16歳の僕が居る。」


 苦魔惨がタイムマシーンができたら、一番やりたかった事。それは…。


「昔に行って過去の自分を殺したらどうなるのか!だ!」


 そう。所謂『自分殺しのタイムパラドックス』の実験である。


「さっそく過去の僕を殺しに行くとするか!」


 苦魔惨は3Dプリンターで作った1発撃ったら壊れる樹脂製の拳銃を2丁を手に取り自分探しの旅に出かけた。


「みつけた!」


 苦魔惨は銃をポケットに忍ばせ過去の苦魔惨に近づいた。


「こんにちは!君は矢美野苦魔惨君だね?」

「はい。そうですが。おじさんは?」

「僕はね。もう一人の君だよ!」


 そう言うと苦魔惨は空かさずポケットから拳銃を取り出し過去の自分の頭に発砲した!


 過去の苦魔惨は脳天貫かれ倒れた。


「即死だったな。予備として2丁持ってきたが、一撃で仕留められたか。」


 苦魔惨は過去の自分が間違いなく射殺された事を確認した。


「よし。死亡確認。しかし、おかしい。過去の自分は死んだのに僕は何ともない。」


 苦魔惨は少しの間じっくり考えた。


「これはパラレルワールドってやつか?」


 そう思った苦魔惨はそれを確かめようと思った。


「よし!元々の時代に戻って見よう。元々の時代がどう変化しているか!いざ2022年へ!」


 苦魔惨はタイムマシーンに乗り込み元の時代に戻ろうとした。

 タイムマシーンが未来へと向かったその瞬間タイムマシーンも苦魔惨も消えてしまった。


 タイムマシーンで過去を変えた場合、影響するのは飽くまでも未来の世界である。つまり、過去の世界で過去の自分を殺しても、過去の世界にいる間は未来の自分には影響が出なかったのである。しかし、一度未来に戻ると過去を変えた影響が即座に起こる。

 だから、自分を殺して未来に向かうと未来では自分が居なかった事になり、そのまま消滅してしまうのだった。


 「過去の自分を変えても過去の世界に今いる自分には影響はないが、未来に戻ると未来世界と共に自分も変化する」と言うのが筆者の考えるタイムパラドックスの学説です。

 信じるか信じないないかはあなたの責任!

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