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ex02-05 このご時世に決闘!?

「……それにしても、よりによって何でこいつなのよ? カトレアの知り合いなら他にもっとマトモなのがいくらでも――!」


 慌てふためいて俺を指さすティンク。


「おい! 失礼だな!」


 家柄はともかく、良い男ランキングでは中の中ぐらいにはランクインしてるはずだ。そう思いたい。


 ……とはいえ、ティンクの言う事も一理ある。

 流石に一般人と結婚とはいかないかもしれないけど、ファンフォシル家なら貴族同士の繋がりで他にも婿候補は山ほど居るはずだけど。


「確かに、お知り合いは沢山居ますが……。ここまで折り入ったお話が出来る友人って私他に居なくて。特に男性となると気を許してお話し出来るのはマグナスさんくらいしか居ないんです! それで咄嗟に――本当にごめんなさい!!」


 机に打ち付けそうな勢いで再び深々と頭を下げるカトレア。


 そのまま微動だにせず、少し震わせながら涙を堪えてるようだ。

 いや、そこまで深刻に捉えなくても……。

 そんなカトレアを見てるとさすがに可哀想に思えてくる。


 どうしたもんかとティンクやシューの顔を見るが、"お前が好きにしたらいいんじゃないか"といった表情。


 まぁさすがに驚きはしたけれど、ここまで信用して頼られると勿論悪い気はしない。

 それにティンクの親友である前に、カトレアは俺にとっても友達だ。



「事情は分かった。俺も出来る限り協力はするから、頭上げて!」


 俺の言葉を聞いて、カトレアはそれでも申し訳なさそうな表情でやっと顔を上げてくれた。

 そんな様子を見て、ティンクがパンと一つ手を叩き明るく話し出す。


「ほら! 本人が良いって言ってるんだから、暗い顔はここまでにしましょ! これでしばらく時間を稼いで、ほとぼりが覚めた頃にこいつとは破断になったって話にすれば万事解決よ。理由はどうしようかしらね。例えば……とんでもない異常性癖が後から分かったとか!」


「おい、その理由は俺が街を歩けなくなるのでやめて頂きたい」


 ティンクなりに、カトレアを元気付けるための憎まれ口だろう。ノリを合わせていつも通りツッコミを入れる。



 けれど、カトレアの顔は唖然として冴えない。


「――それが」


 俺達のやり取りは上の空といった様子で、ポツリと呟くカトレア。


「実は話がさらにややこしくなってまして……」


 さっきよりも深刻な、今にも泣き出しそうな表情で縋るように俺を見る。


「……と言うと?」


「実は……既にマグナスさんとの件を伝えてヘンブリー様にはお断りの返事をしたのですが――『どうしても納得がいかない! その男と私、どちらが貴女に相応しいか勝負させろ!』とのお返事が!」


「――ま、マジか」


 思わず目まいがしてくる。


 アレだ、アレ。

 貴族の古いしきたりにある決闘というヤツだ。

 昔は手袋を投げつけて決闘を申し込んだとかナントカ聞いた事があるが、まさかこのご時世に決闘なんか申し込まれるとは。


「お願いです!! マグナスさん、どうにか助けて貰えませんか!? 勿論何でも屋の依頼として報酬はしっかり支払うので!」


 椅子から立ち上がり、必死に俺の手を取るカトレア。


「さーて、大変なことになったな!」


 明らかに楽しんでいるシュー。

 ティンクはその隣で頭を抱えて項垂れている。


 こいつは相当に厄介な話になってきた。

 お茶を運んできたティンクも席につき、本格的に作戦会議を始める。



 ―――



「さて。こいつは随分と分が悪い勝負になったな。これ、勝っても負けても不味いだろ?」


 シューが先陣を切って話を進める。


「ど、どういう事だよ?」


「確かにそうね。負けるのは論外だけど、仮に勝っておいてそれでカトレアとは結婚しないとなると、先方もさすがに腑に落ちないでしょうね」


「そ、それは確かに! 咄嗟の事でそこまで頭が回らなくて……。ど、どうしましょう!?」


 うろたえるカトレア。

 俺たちも一同に考え込む。



「もー! この際、パパッとヤっちゃう? 闇討ちならそこにうってつけの人材が居るし」


 豪を煮やしたのか、そう言ってシューを指差すティンク。


「おい、俺はただの元盗賊だ。殺し屋じゃねぇぞ」


 シューがティンクの手をペシリと叩く。


「それじゃあ毒殺? あんまり気乗りしないけど、錬金術なら毒薬なんてお手のものだしね」


 今度は俺を見るティンク。


「おいやめろ」


「で、出来れば穏便に……」


 冗談が通じてないのか、カトレアが困り顔でオロオロとティンクを止めに入る。



「――分かった分かった。それならドローに持ち込むってのはどうだ?」


「ど、ドローですか?」


「あぁ。決闘は実施する。けど勝ち負け付けずに有耶無耶に終わらせるんだよ。具体的には当日、決闘中にハプニングを起こす」


「それで? そんなので相手が納得するかしら? 日を変えて再戦を要求してくるんじゃない?」


 ティンクが横やりを入れてくる。


「そこは俺に考えがある。――カトレア、何日か時間を貰っても大丈夫かな?」


「はい。先方もモリノまで来るとなると色々準備が必要でしょうし。1週間程は猶予があるかと」


「――よし! それじゃ便利屋マクスウェルらしく、錬金術で解決といきますか!」

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