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ex01-11 未来の闘い方

「――仕方ない! このまま見てても埒があかないわ。やれるだけやってみるから!」


 そう言うと、シェンナは腰に下げていた鉄の筒を手に取る。

 確か"ぐれねーどナントカ"っていう未来の武器だったか。


 何やらいじくりまわすと、筒についた小さな黒い板に文字のようなものが浮かび上がる。

 ま、魔法か!?


「……オッケー、何でか分からないけどやっぱりシステムはオンラインね。……問題なく使えそう!」


 そう呟きながら、腰の鞄を開ける。

 中には細長い半球形の鉄の塊が4,5個、綺麗に整頓して格納されている。


 それぞれに違った色のラインで目印が書かれており、その中から水色のラインの入った物を取り出す。


 手にした武器を中程で折ると、中へ鉄の塊を差し込んでいく。

 てか、あの筒折れるのか……。

 そう言えば"中折式"とか言ってたな。


 再び元の形状に戻すと、筒を肩越しに構え――"がーどろぼ"の攻撃を受け倒れ込んでいる味方の騎士達に向ける。


 指を掛けたパーツの留め金のようなパーツを引き絞るシェンナ。

 すると、『ポン』とコルクの詮を抜いたような小気味いい音がして筒から何かが射出された。


 それは弧を描くように宙を舞い――騎士達の真ん中で爆発!


「――!? おい! 何やってんだ!? あれは味方だぞ――!」


「大丈夫だから!」


 そう言いながら、再び武器を折り曲げる。

 中から鉄の破片が零れ落ち、地面でカランと音を立てる。


 落ち着いた様子のシェンナ。

 どうやら狙いを外したという訳ではないようだ。


 爆発に巻き込まれた騎士達の周辺では薄緑色の霧が立ち込めている。


『……お、おい、大丈夫か?』

『あ、あぁ。何だ? 一気に身体が軽くなったような……今のうちに一端退くぞ』


 さっきまで倒れ込んでたはずの騎士達がヨロヨロと立ち上がり、肩を貸し合いながら後方へ撤退していく。



「どうなって……」


「40mmファーストエイド弾。高濃度の回復薬と風の魔鉱石が詰め込まれた弾頭よ。着弾点の周辺に高濃度の回復薬を散布して範囲に回復効果をもたらすわ」


 な、成程。

 回復薬を霧状にして散布してる訳か。

 さっき打ち出した鉄の塊の中に回復薬が入ってたんだろうけど……どうやってあんな綺麗な霧状にしてるんだ?

 さすが未来の武器。原理がさっぱり分からん……


 理屈はともかく、助かった。




「それじゃ、次行くわよ――! 私があいつの動きを止めるから、そしたら一斉に攻撃仕掛けるように味方に伝えて」


 そう言って、鞄の中から今度は紫のラインが引かれた塊を取り出すシェンナ。



 再び筒の中に鉄の塊を詰める。


 岩陰から"がーどろぼ"の様子を伺うと、意を決したように飛び出して行く。


「あ、おい! 危ないぞ――!」


 慌てて止めようとしたけれど、シェンナは見事な身のこなしで野を駆けて行く。


 即座に"がーどろぼ"が反応し例の光弾を発射する!


 が、その動きを予測していたかのように進行方向とは真逆に飛び退き、近くにあった物陰に姿を隠す。



 "がーどろぼ"の打ち出した光弾が爆風を起こす中、シェンナが武器を構え狙いを定める。



「――それ、連射効かないでしょ?」


『ポン』という音と共に、鉄の塊をが打ち出される。



 飛翔する塊は、打ち落とされる事なく"がーどろぼ"を直撃。


 その瞬間、鉄の塊は炸裂し空中に無数の紫電の杭を浮かび上がらせる。

 それらは不規則に周囲を飛び回り、暫しの後――一斉に"がーどろぼ"目掛けて突き刺さる!



「――魔法!?」


「40mm×46 スパーク・パイル弾! 無数の雷の粒子が、対象の電気系統を自動解析した上で回路の要所に集中攻撃を仕掛けるの。自律稼働型の標的に特化した弾頭で、武器ってよりウィルスに近いかもね。――あ、ちなみに私のオリジナルだから一般販売はしてないわよ」


 思わず声を上げた俺に、シェンナが大声で説明してくれる。

 シェンナの言うとおり、がっくりと膝をついて座り込む“がーどろぼ”。


「凄いな! 一撃じゃないか!」


「――ダメよ。確かあの型は電気系統の自己修復機能があるはず。直ぐにシステムが再起動するわ。さぁ、今のうちに一斉攻撃!!」


「わ、分かった! 騎士団の皆さん! 今のうちです!!」


 後方に控えていた騎士達に大声で合図を送る。


 呆気に取られて状況を見守っていた騎士達が、ハッと我に返る。



『い、今だ! 総員、総攻撃!!』


 号令を受け、総攻撃が仕掛けられる。


 炸裂矢や投石機、魔法による遠距離攻撃。

 それらに続き、シェンナも再び鉄の塊を打ち込む。


 今度は激しい火炎が巻き起こり"ガードロボ"を炎の竜巻が取り囲む。


 絶え間い猛攻撃の直撃を受け、"ガードロボ"の姿は炎と土埃の中に消えた――



 味方の攻撃の隙を見て、グレートシールドさんと一緒にシェンナが隠れている岩陰まで駆け寄る。


「あんまり近づくと危ないわよ」


 腰の鞄の中身を確認しながらシェンナが溢す。


「危ないのはお互い様だろ。まったく、赤髪の女の子ってムチャな性格ばっかなのか……?」


「……何の話よ?」


 一瞬手を止めて、シェンナが俺の顔を見る。


「いや、なんでもない。――それより、やったか?」


「どうかしら……正直魔法のダメージは期待できないけど、あの爆発する矢とか投石は効いてると思うわ」


 確かに、炎と土埃の中からは撃ち込まれた石や炸裂した矢が金属を打つ音が聞こえてくる。



『攻撃止め! 状況確認!』


 騎士達の号令が場に響く。

 猛攻がピタリと止み、辺りは静寂に包まれる。

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