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ex01-07 現場へ急行

「お、皆お揃いか。おはよう」


 店の掃除をしていると、ティンク達が揃って入ってきた。


「あら、早いわね」


「掃除? 手伝うわよ?」

「おはようございます」


 シェンナは元気そうだが、アイネは良く眠れなかったのか少し眠そうな顔をしている。

 結局アイネが椅子で寝たんだろうか?


「いや、大丈夫。もう終わりだ。それより朝ご飯にしようぜ。ティンク、頼めるか?」



「えぇ、いいわよ。2人はどうする? 普通のパンに目玉焼きか――あ、こないだ試作したスペシャルロイヤルブレッドもあるけど!?」


「――やめろ! 普通の方をお出ししろ!」


 カフェのキッチンで朝食の支度を始めたティンクに、大声で注意する。

 先日、何やらパンの原料に唐辛子を混ぜ込んでたのを見かけた気がする。



 ……



 ティンクが用意してくれた“普通の”パンとお茶で朝食を取る。


「……美味しい! 私も結構お茶には詳しい方だと思ってたけど、こんな美味しいお茶があったなんて!」


 目を丸くして驚くシェンナ。


「まぁ異世界でしかも時代なお茶なんだからね。そりゃ一味も二味も違うでしょ」


 少し自慢げに紅茶を啜るティンク。


「時間があればこっちの世界のご飯とかも食べ歩いてみたいね」


 アイネは楽しそうにパンを頬張っている。


「じゃあ私が色々と街の中を案内してあげる! 街だけじゃなくて、近くにそこまで危なくない森とかもあるから見に行きまましょ! 今の時期は雪が積もったりしてるところもあるけど、珍しい素材とかも観れるのよ」


「本当ですか!? 行きたいです!」


 仲良さげに盛り上がる2人。


 珍しいな。

 ティンクが森にまで行くなんて言い出すなんて。いつも素材採取に行く時はあんなにめんどくさがるくせに。


 まぁ誰とでもすぐ打ち解けるティンクの事だからそこまで不思議でもないか。



「ま、それじゃ。さっさと仕事を終わらせちまうか!」


 食べ終わった食器をキッチンまで運びながら皆に声を掛ける。


「で、今日はどうするの?」


 ティンクが問いかけてくる。


「もう少ししたら町まで一時撤退してた騎士団の人達が例の人形の所に向かそうだ。そこに同行して調査を再開だ」


「了解。まぁガードロボ1体くらいならサクッと片付くわ。お昼前には終わらせてしまいましょ」


「だね!」


 シェンナとアイネも気合が入ってるようだ。




 ――――




 町の馬車乗り場まで行くと、既に騎士団の人達が集まっていた。

 先に現場へ向かった隊長が言伝してくれており問題なく馬車に案内される。


 ただ、当然だが俺とティンク2人だと思っていたようで、馬車には2人分の空きしかない。

 急遽もう2人分用意してくれるとのことで、2人ずつ別れて別々の馬車に乗る事になった。


 シェンナとアイネ2人だけで馬車に乗せる訳にもいかないので、アイネとティンクを先に乗せ俺たちはすぐ後の馬車で行く事に。


 2人を見送り、俺たちもすぐ馬車に乗り込む。



「――ありがとう。タダで泊めてもらってる上に色々良くしてくれて。アイネも楽しそう」


 馬車に揺られ、魔兵器を手に取り何やら確認していたシェンナがふと呟く。


「そうなのか? 急に知らない場所に飛ばされて不安かと思ってたけど……そりゃよかった」


「えぇ。アイネ、小さい頃からずっとエバージェリーに来たがってたの」


「へぇ、そうなのか。……あ、それでティンクの奴案内するって張り切ってたのか! まぁそれなら悪い事ばっかりでも無かったな」


「そうね。こうして2人にも会えたし」


 そう言ってニッコリと笑い俺の顔を見るシェンナ。


 ティンクとは違い、まだ少し幼さの残る顔。

 ティンクの燃えるような赤と比べ、少し茶色かかった深く赤い瞳が真っすぐに俺を見つめる。

 それにしてもよく似てる。

 もしティンクに俺と同じ年齢の頃があったとしたらこんな感じだったんだろうか。


 唯一大きく違うのは……スライムはラージじゃなくてミニサイズな事くらいか。


 何にせよ……か、可愛い。

 思わず見とれてしまいそうになり慌てて顔を背ける。


 お、俺って赤髪の女の子に弱いのか……?



「そ、それじゃ、頑張って仕事終わらせようぜ。今日は王都からの援軍も到着するらしいし、本格的に調査が始まるだろ」


「そう言えば、調査ってどうするつもりなのかしら? この時代のエバーの技術がどれ程か分からないけど……。もし最新鋭のガードロボだったとしたら中々に厄介よ。ハッキング対策もばっちりだと思うし」


「はっきんぐ?? よく分かんないけど兄さんから聞いた話だと、投石や炸裂矢が全然歯が立たなかったから、今日は援軍も交えてもっと本格的な破壊策を講じるとか。今頃多分魔導兵とかが寄ってたかって魔法でもぶっ放して――」


 兄さんから聞いた騎士団の作戦を話していうちに、シェンナの顔がどんどん引きつっていく。


「ん? 何かマズいのか?」


「ヤバいわよ! 早く現場に向かいましょ!!」


「ど、どうした!?」


「話は道すがらで! ――っちょっと運転手さん! もっと飛ばして!!」



 焦るシェンナに追い立てられ、馬車はスピードを上げる。

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