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選択の時? -後編ー

「そうだな、詳細も聞かずに決めることは出来ないよな。」


魔王は笑いながらひとつづつ説明してくれるのだが……、なんか、この人私の反応見て楽しんでない?


「まず一つ目は、そのままだ。お前さんが次に目覚めると、そこは以前の世界だ。時間も、あの瞬間に戻っているから、夢でも見たと思って変わらぬ生活を送れる。一応言っておくと、シンジの奴も戻っている。すべてがなかったこととして巻き戻るってわけだ。」


ここ迄いいか?と確認してくる魔王に私はコクンと頷く。


「次に二つ目だが、これは少し複雑だな。あっちの世界に行った後、さらなる選択が必要になる。あっちの世界は、今シンジがトラブルに巻き込まれているからな。シンジと共にトラブルに巻き込まれ解決していくか、シンジを送り返し、シンジの代わりにお前さんが解決するかってことだ。」


「シンちゃんがトラブルにって……どういう状況なの?」


「あー……なんていうか……。」


何故か魔王の歯切れが悪い。

代わりにカナミさんが答えてくれる。


「えっとね、シンジちゃんは今、三人目のお嫁さんのトラブルに巻き込まれようとしているところなの。ちなみに三人とも王女様で、年下で、胸が大きくて、可愛いわよ?」


「ふぅーん、あ、そう。シンちゃんおっぱい成人だったもんねぇ。」


「ミカ姉……なんか寒いよ?……後痛い。」


私の腕の中でブルブルと震えだすクーちゃん。


「それで3つ目は?」


私は魔王様に続きを促す。シンちゃんの事なんか知らないもんね。フンだ。


「3つ目は、今と変わらずこの世界で生きていくことだな。ただ、この場合もさらなる選択をしなきゃいけない。」


魔王サマが言うには、この世界は元々大きなトラブルが起きる予定ではなかったらしい。

だけど、私が来たことによって、世界の因果律とかが崩れちゃったんだって。

その結果、復活するはずのない魔王の存在により魔族の活動が活発。しばらくは出る筈のない勇者の出現、その他諸々に影響を与え始めているから何とかしないといけなくて……。


「えっと、どういうこと?」


「まぁ、簡単に言えば、お前さんが来たことで、起きる必要のなかった災厄が起きようとしているから、そのトラブルを解決する必要が有るって事だな。」


「……辺境の片隅で、大人しくモフモフしているってのはダメ?」

一縷の望みをかけてそう聞いてみるが……。


「ダメ、だな。お前さんが何もしなかった場合、終末人魔大戦が起こり、この世界の文明は石器時代以前まで衰退することになる。そうなってしまったら、女神たちは、この世界を破棄するだろう。」


「うぅ、何でこんなことに……。」


「そこのユニットが素直に報告してれば、もう少しましだったんだけどなぁ。」


ニヤリと笑いながら、魔王様がレフィーアを指さす。


「ち、違うのよぉ。まさか、こんなことになるなんてっ、ミカゲ、聞いてよぉ。」

「大丈夫、分かっているから。」

「だ、だよね?ミカゲは分かってくれるよね?」

「ウン、大丈夫。今夜から、私無しじゃ生きられないようになるまで、たっぷりと可愛がってあげるね。」

「分かってなぁーい。、違うのぉー、そうじゃないのっよぉー。」

泣き叫ぶレフィーアを拘束したまま奥へと連れて行くようにマリアちゃんにお願いする。


「……はぁ、で、具体的には、私はどうすればいいの?」

クーちゃんだけでは足りなくなって、私はミュウを無理やりネコ化させてモフりだす。

ミュウは、以前の獣化現象の副作用がまだ残っていて、私が指向性を持たせた一定量の魔力を流すと、子猫になっちゃうんだよねぇ。もっとも、もう少し安定したらそれも出来なくなるから、今だけのお楽しみなんだけどね。


「あ、あぁ、そうだな……。」


魔王様は私の行動に若干引きつつ説明を続けてくれる。


「と言っても単純な事で、お前さんが魔王になるか勇者になるか選べばいいって事なんだが。」


「どゆ事?」


「本来、正規の手順の踏んで魔王に至ったものは、他の魔族を圧倒するだけの力を持っているから、魔族は魔王の力による支配体制が確立して居る筈なんだ。だけど、今回は無理やり魔王を作り上げたもんだから、力による支配が及ばず、分立している。」


……この前、セシリアさんから聞いた、四天王とかが関わっているのかな?


「そこで、だ、お前さんは魔族領に行き、各地の魔族の様子を見ながらまとめ上げる……場合によっては、現存の魔王から力を引き継いで魔王になるのが早いと思うぞ。後は、魔族を率いて人族を支配する。その後は魔族主体の文明がこの世界をまとめ上げるだろう。」

俺と一緒の立場だ、と魔王サマは嗤う。


「魔王って、魔王サマがやればいいじゃない?」


「俺は異界の魔王だからな。それにこの後シンジを揶揄い……じゃなくて手助けしに行かないといけないからな。忙しいんだよ。」


「……魔王にならない場合は?」


「勇者だな。お前さんは人族側に立って、攻め寄せる魔王軍と戦わなくてはならない。その内、『勇者』のスキルが定着するだろうから、そうしたら、魔王を倒し、魔族を一掃すれば、この世界は人族主導の文明が栄え始めることになる。」


「うぅー、どっちもめんどくさそう。」

元々、クーちゃんやマリアちゃん、ミュウのいるこの世界から去る気はなかったけど、少しだけ気持ちがぐらつく。


「ねぇ、この子達も連れて、シンちゃんがいる世界に行くっていうのはアリ?」

あっちもあっちで大変そうだけど、シンちゃんがいるなら任せておいて、必要な時に手を貸して、後はモフライフを過ごしてればいいじゃない?


「出来なくはないけど、やめておいたほうがいいわね。」


魔王サマではなくカナミさんがそう答える。

カナミさんが言うには、シンちゃんはイレギュラーで飛ばされたため、特殊な力を持ってないんだって。

それでは流石にすぐ死んじゃうから、レフィーアはコソコソと力を与えようとしたんだけど、本来の女神様の眼もあり、隠れてやる分にはあまりにも無理があるのね。

それでもシンちゃんは、与えられられた力を十全に発揮してトラブルに立ち向かっているそうなんだけど、それも、補佐してくれる女の子がいてこそ。

現在は、3人目が堕ちるかどうかって状態で……と言うか堕ちるのは時間の問題だそうだけど……大きな試練に立ち向かっているらしく、その試練には魔王サマも係わっていて、ここを乗り越えれば一息つけるって事らしいのだけど……。


「いーい?シンジちゃんの周りの嫁が三人、ようやく安定し始めたところに、万能の魔法使いで勇者のスキルを持った元カノが現れたらどうなると思う?」


「元カノ……。ってか、どうなるの?」


「まず、シンジちゃんは、ヘタレて逃げ回るわね。それが今カノちゃん達に余計な悪影響を与えるわ。この後の予定では今カノちゃん達と力を合わせて帝国を興し、世界の崩壊を防ぐために立ち向かう予定なんだけど、元カノちゃんが現れたことによって、今カノちゃん達は、それぞれ独自に行動を起こし始めるの……シンジちゃんの気を引くためにね。結果として、まとまり切れない小さな群れは、大きな波にあっさりと飲み込まれ、瓦解して、世界はさらなる混沌に飲み込まれていくわ。もっとも、シンジちゃんと御影ちゃんの力を合わせれば、その内何とか出来ると思うけどね、時間はかかるし、その間に今カノちゃん達もどうなるか分からないし、一歩間違えば、元カノちゃんVS今カノちゃんの対立で世界が荒れていく可能性も無視できないわね。……それでもいいなら、私が責任をもって送るけど……どうする?」


……えっと、そこまで言われても行くって言えるような人ってなかなかいないと思うんだけどねぇ。


それに私はシンちゃんの彼女じゃないしぃ。シンちゃんが今幸せなら、私は俺を邪魔したくはないよ。

まぁ、お嫁さんが三人、しかも年下の巨乳ちゃんっていうのには、少し言いたいこともあるけどね。


「うぅ、じゃぁ、私はここに残るわよ。」

私がそう言うと、クーちゃんとミュウが「いいの?」と言うように見上げてくる。

「いいの。」

私はクーちゃんとミュウをギュッと抱きしめる。

私の家族はここに居るんだからね。


「じゃぁ、とりあえず現状維持って事でいいんだな。」

魔王サマの言葉に私はコクンと頷く。


「後はお前さんがどういう道を進むか、だけど、すぐに決める必要はない。」

「いいの?」

「あぁ、最初に言ったように、ここの変化は緩やかだからな。引き籠らずに行動した結果がトリガーになるから、思うままに行動するといい。引き籠らないようにな。


大事な事だから二回言いました、と言うようにドヤ顔を向ける魔王サマ。

正直ウザい。


「ついでにこれをやろう。」


魔王サマはそう言ってクリスタルを投げてよこす。


「これは?」


「ターミナルの位置を記した世界地図。目的も何もなければ、お前さんはすぐに引き籠りそうだからな。それをもとにターミナルを探すといいぞ。」


「うぅ……まためんどくさいものを。」


これがなければ「見つからないものはしょうがないよねー」と、適当に過ごせたはずなのにぃ。


「そう言うと持ったからな。もう一つこれをやろう。」


そう言って別のクリスタルを渡される。


「これは?」


「俺様の設計した「天空城」の設計図だ。と言っても劣化版だがな。それでも素材さえあればクリエイト系の魔法で簡単に作れる優れものだ。」


「天空城」という言葉に響きに、少しだけ惹かれた私は軽く、その設計図とやらを展開してみる。


「コレって……。」

その仕様部分に軽く目を通した私は、思わず大声をあげる。


天空城は、その名の通り空を飛び回るお城らしい。本人が劣化版と言うだけあって、色々と制限があるが、それを補って有り余る魅力が、これでもか、と言うぐらい詰め込まれていた。


ただ、これを完成させるためには、各地にあるターミナルを最低でも6か所は支配する必要が有る。

現在3つ支配してるから残り3つね。


天空城が完成した暁には、支配したターミナルを起点に、支配エリアであればどこへでも転移が出来るようになるらしいの。

今までも、ターミナル間とターミナルと拠点の間に転移陣を設置して、行き来できるようにはしてあるけど、、あくまでもターミナルからそのエリアの拠点まで行けるだけ。

例えば、モフモフしたいなぁと思った時、セルアン鉱山のターミナルまで転移してから、再度拠点へと転移して、やっとモフモフできるんだけど、それでもも触れるのはそこにいるセルアン族だけ。

北アセリアの山脈に住む他の種族たちをモフりたいのなら、そこまで何とかして移動しなければならない。

それが、天球上が完成した暁には、その山脈の集落にも、一瞬で行くことが可能になるわけで、それは、いつでもモフリ放題と同義ってわけねっ!


「ミュウ、クーちゃん、私達の目的が決まったわよっ!」


私はクリスタルを片手に、みんなへと宣言するのだった。


……魔族領に行くという事を。

ご意見、ご感想等お待ちしております。

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