ミカゲの領地?
更新遅れて申し訳ないです。
「あー、なんというかのぅ……。」
ここは、魔族力西部統合本部のある、エストの街。
その中央にあるリリスファム宮殿の謁見の間において、私はリリスファム公女殿下に謁見をしている……のだけど。
なんかねぇ、偉そうなピカピカの……玉座って言うの?アレに座っているリリスファム公女殿下の落ち着きがないのよ。
一応、公式のとってもエラそうな場だというから、私も大人しくしてるんだけど、帰っていいかなぁ?
「……お話がなさそうなので、帰りますね。」
って言うか帰ろ。
「ちょ、ちょっと待って下されっ!」
帰ろうと立ち上がった私を、近くにいた大臣?達が抑えようとする。
……って言うか触んないでよっ!
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
男に触られた私は悲鳴を上げる。ついでに男たちを振り払う。
「なんなのよっ!男たちに襲わせるなんてっ!りりちゃんはそんなことしない娘だって思っていたのにぃっ!」
私は腕のブレスレットに魔力を込める。
「降り注げ!ミーティ……。」
私が魔法を放とうとすると、背後からミュウに羽交い絞めにされ、マリアちゃんに口を塞がれる。
「むー、むーー……。」
「魔法撃たない?」
暴れる私を押さえながらミュウが聞いてくる。
コクコク……。
「そんなこと言って、離した隙に魔法撃とうとしたら、本気で殴るからね。」
コクコクコクコク……。
私は勢いよく頷く。
ミュウに本気で殴られたら死んじゃうよ。大体ミュウは本気で殴る時、愛用の小剣を持ち出すんだもん。アレは殴るって言うんじゃなくて斬るって言うのよ!
以前、ミュウにそう言ったら「峰打ちだから殴るでも構わないでしょ」と平然と言ってのけたけど……。
ミュウのソレ、両刃だからね?
片刃の小剣を作ろと思って、そのままだったけど、今度制作をまじめに考慮するべきかもしれない。
「ミュウ、酷いよぉ。」
解放された私がそういうと、ミュウはこめかみに青筋を立てながら掴みかかってくる。
「アンタねぇ、どの口がそう言うのよっ!今何をしようとしたのっ!」
「えっと、『光の流星雨』をここら一帯に……。」
「そんなことしたらどうなるかわかって言ってるのっ!」
「うーん……男がいなくなる?」
「いなくなるのは男だけじゃないでしょうがっ!」
パシーンッと小気味いい音が辺りに響き渡る。
「ミュウ、酷い……。」
私は叩かれた頭を抱え、涙目で、ハリセンを持ったミュウを見る。
アレで叩かれても、音の割には痛くはないんだけど、それでも痛いものは痛いのだ。
「と、取り敢えず、場所を変えようかのぅ。」
一連の流れに口を挟めずにいたリリスファム公女殿下が、奥にあるサロンへと私達を誘う。
「そうですわ。さ、さぁ、ミカゲ様、奥へと参りましょう。」
ハッと我に返ったセシリアさんに、引きずられるようにして奥へと移動する。
後には、呆然とした大臣たちだけが、謁見の間に残されるのだった。
◇
「全く、何をしてくれるのじゃ。」
サロンで一息つくと、リリスファム公女が文句を言う。
「ごめんねぇ。でもリリちゃんも悪いんだよ。あんな男たちに襲わせようとするんだから。」
「じゃから、それは誤解じゃて。まぁ、あやつらも悪気があったわけじゃないので許してたもれ。」
「うん、許すぅ。」
「はぁ……最初からこうしておけばよかったのじゃろうか?」
リリスファム公女が大きなため息をつく。
今、私は、魔族の幼女たちに包まれている。
あん、ほっぺぷにぷに、かーいよぉ、か-いーよぉ。
「そうよ。最初からこういう接待してくれれば私だって……あ、この娘お持ち帰りしていい?」
「ダメじゃ。」
ほっぺスリスリしてくる娘をお持ち帰りしようとしたら、リリスファム公女に取り上げられる。
「してミカゲよ。お主は一体何がしたいのじゃ?」
お主のせいで大変なのじゃよ、と、リリスファム公女は中空にスクリーンを出し、現在のスカー子爵領後を映し出す。
清らかな川が流れ、森の恵み一杯の自然が満ち溢れ、質の良い鉱石が採れる鉱山もあって豊かな子爵領だった場所が、今は、草木一本無いクレーターだらけの荒野と化していた。
やったのはもちろん私。
だってねぇ、あのスカ―ってバカは、懲りもせずに獣人の村に侵攻を始めたのよ?さらには、村を人族侵略の為の前線基地にするんだって張り切っていて。
もう、そんなの、プチって潰すしかないでしょ?
で、プチっとやろうとしたんだけど、人族側もねぇ、あの領主とその貴族が、王様の意向に反抗して反乱軍を組織しちゃったのよ。
って言うか、アンタら何でそんなにタイミング合わせるのよ?仲良しなのっ?
で、面倒になった私は、まとめてプチっとメテオで潰しちゃったわけ。
魔族領と人間領お境を中心に、半径、約百キロが見事に荒野になりました。
幸いにも、魔族領側はリリスファム軍総出で緊急避難を繰り返したのと、ミカゲが予め女子供に対し防壁を張ったために人的被害は殆どなかった。
人族側も、まぁ、新規奥菜被害に放ってない……はず。
しかし、人的被害がないからいいというものでもない。
家も畑もなくしたこの人たちは、これからどうやって生きて行けというのだろうか?
「うぅ、悪いのはスカーだもん。」
「しかしのぅ……。」
……確かに悪いのはあ奴なのじゃが、だからといって街3つ分の難民を抱えることになった妾のことも考えて欲しいと思うのはダメなのじゃろか?
「それに、りりちゃんもダメダメだからね。」
「ぬぅ?妾もダメなのか?」
「うんうん、りりちゃんだったらあんな馬鹿の一人や二人、簡単に抑えられるよね?それにリリちゃんは、このあたりの偉い人なんでしょ?だったらバカの手綱を握っておかないと。」
「そうは言うがのぉ……。いや、ミカゲの言う事も道理じゃな。」
「あ、ごめんね、りりちゃんにそんな顔をさせたかったわけじゃないの。ウン、りりちゃんの立場が難しいのも分かってるし。」
「気を遣わせてすまんのぅ。ついでに聞くが、ミカゲは魔族領に来て何をするつもりじゃ?やはり勇者としての務めを果たすつもりかえ?」
「勇者の務め?何それ?私は、ただ魔族領にある遺跡を調査したいだけなの。」
「あ、ミカ姉、そこからは私が話すよ。」
「えっ、クーちゃん?」
「大丈夫、アイちゃんからも色々聞いてきたし、ミュウお姉ちゃんやマリアお姉さんもいるんだから。」
「でも……。」
「いいからお姉ちゃんは、あっちでその子達と戯れてきて。」
私はクーちゃんに、押し出されるように部屋の隅へと追いやられる。
だけど……幼女に囲まれている間に、細かいことはどうでもよくなったよ。
ちらっとクーちゃん達の方を見ると、なんだかとても楽しそうに話していて、ちょっとだけ悔しくなったのはここだけの話しよ?
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