持つべきものは──“マブダチ”…?
俺はまたも、フェイトたんに見惚れてしまう。
そんな俺の耳にハスキーな美声が入ってくる。
「それにだ。まだ『全てが終わった』わけじゃねぇーんだろう? お前は俺に何か『やってほしい事がある・手を貸してもらいた事がある』からこの村に…俺んとこに戻ってきたんじゃねぇーのか? この女の姿だって、それに関係している…。違うか?」
その言葉に俺は驚愕する。
嗚呼。
本当にこの大親友には敵わないなぁ~…。
俺の思ってる事や考えてる事なんて、
全てお見通しみたいだ。
「ハハ。流石はフェイトたん…。凄いや…」
「お前もさっき言ってただろうがよ。『何年幼馴染やってると思ってんだっ!』ってな。ホラ、立てよ! 詳しい話を聞かせてくれ♪」
そう言って立ち上がり、微笑みながら再び手を差し伸べてくれるフェイトたん。
その姿は『元男』ってとても思えないほど神々しく、まるで『救済の女神』と錯覚させるほどに美しかった。
今度こそ俺はその手を取って、
立ち上がろうとする。
しかし──。
「たっ、立てない…」
「は?」
その一言に困惑するフェイトたん。
俺はバツの悪い顔をして、苦笑いする。
「どうしてだ? そんなにダメージが残ってんのか? そこまで強く殴ったつもりは…」
「ちっ、違うの! そうじゃなくて…。──てるから立てない…」
「なんだって? よく聞こえねぇーんだけど」
「だっ、だから……が…って……で……立てない…」
言えない。
どうしても言い淀んでしまう…。
正直言いたくない。
言ってしまったら、絶対に“変態”扱いされてしまう…。
まあ、今さらって感じだけど。
確実に今まで以上に変態呼ばわりさせれるんだろうな。
だから言いたくない…。
でも言わないとフェイトたん…キレるだろうなぁ~。
だから言わないと。
でも……言いたくないなぁ~…。
俺がいつまでも言い淀んでいると、痺れを切らしたフェイトたんが、軽く怒鳴り口調で催促してくる。
「だあああッ!! 何言ってんのか全然分かんねぇーっ! 男ならハッキリと大きな声で喋りやがれってんだっ! 吹っ飛ばされた衝撃でアレでも失くしたかぁ!?」
・・・・もうっ! フェイトたんのバカッ!!
さっきまで良いこと言ってくれてたのにっ!
全部台無しだよ!
もう怒った。
だったら遠慮なく、正直に言ってやるっ!
その言葉にカチンッ!っときた俺は、
ワザと大きな声で言い返す。
「だあー! かあー! らあーっ!! そのアレが『勃ってる』から『立てない』って言ってるのおおッッ!!」
俺の放ったその一言で石像の様に固まり、目を何度もパチクリパチクリとさせた後、動かなくなるフェイトたん。
暫くの間、微妙な空気がその場に流れる。
やがて──。
「はっ? えっ? お前…何言って……。──お前…まさかっ……!!」
得体の知れない『ナニカ』にでも遭遇したかの様な青ざめた顔をして、小刻みに震えながら此方を指差す大親友。
俺は開き直り、更に声のボリュームを上げて言う。
「そうだよ! 俺はフェイトたんのそのエロい身体を見てそのっ…コーフンしちゃったの! “息子”が反応しちゃってるのおッ!! 悪いッ?!」
俺が顔を赤くしてそう言うと、フェイトたんも顔を真っ赤にして激しく狼狽える。
「いやっ…おまっ…何言って……。──はぁあああッ!?!? 嘘だろう…。おまえ…俺に…男に……それも“親友”の身体に……欲情してっ…」
再び石の様に固まって動きを止めたと思ったら、また顔を青くし、身体を守る様に後ずさりするフェイトたん。
「へっ、変態だ…。こっ、ここにっ…ここに変態がいるぅうううッ!! きっ、気持ち悪ぅうううっっ!! ちっ、近付くなぁあああ!! 変態っ! 変態ッ! ド変態ッッ!! タクトのバァーカ! バァーカ! バァァカァァッ!!」
「ちょっ、いくらなんでも酷くないっ!?」
「うっせぇー、バァーカ! 男の身体に興奮するとか、マジありえねぇーだろうッ!」
「いまフェイトたん“女”でしょう! それも、とびっきりの絶世の美女なんだよっ! 自分の今の姿を鏡で見てみなよ。メチャクチャ良い女だから! 俺がこうなっちゃうのも仕方ないって思うからあっ! それに、そんなエロい身体でエッチな格好してる方がイケナイと俺は思いますッ!」
そう。
今のフェイトたんは“女”で、それも『絶世』が付くほどの、とびっきりの美女なのである。
しかも。
超ド級の“エロ”をも兼ね備えている。
想像してほしい。
カリスマトップモデル並みの顔の良さと、身長と長い手足を兼ね備え、超人気グラビアアイドル並みのエロとフェロモンと果実を持ってて、それが上手い具合に調和が取れている女性を。
そんな美女が半裸同然とも言える…色んなもんがチラチラ見えて、眼のやり場に困るような格好をしているところを…。
それであんな急接近されたらどうですか?
それも間近での美声のおまけ付き。
(フェチの人なら分かると思うけど、女性の低い声はレア。文面だからこの貴重さを伝えられないのが残念…)
皆様ならどうですか?
堪えられますか?
──ボクちゃんは無理でしたっ!ww
──我慢できませんでした!www
もうこの際白状すると、フェイトたんがヤンキー座りをし始めた辺りから、俺の息子はバッキバキのボッキボキに反応してました!(笑)
ちょっとシリアスな場面って分かってたんですけど、俺の息子は素直なヤツなんで、フェイトたんの有難い説教混じりの御言葉そっちのけで元気に、
『親父ギンギン! 息子はビンビン! “性”の気持ちがワンダフルッ!!』
してました♪wwww
(因みに。女体化したフェイトたんは、なぜかとてつもなく、メチャクチャ良い匂いがしていました♪)
・・・・・すいません、調子にノリました…。
後悔も反省しています。
フェイトたんに申し訳ない気持ちでいっぱいです…。
心は懺悔の想いで溢れています。
だから「屑がっ…!!」とか「死ねよ…」とか言わないでください。
マジで反省してるんで…。
「テメェーみたいな下種は寝取られて同然ッ!!」って言うのもやめてください…。
勘弁してください。
本気で死にたくなるんで…。
ヒロインたち寝取られたの、
リアルに大ダメージなんで。
未だに生きてるのが不思議なぐらい…。
俺が心の中で誰かに向かって謝罪をしていると、
フェイトたんの声が聞こえてくる。
「はぁあ?! んだゴラァ”! 今度は逆ギレかゴルァ”ア”!! テメェーがあの変な飴玉喰わすからだろうがッ!! それにだ。容姿がいくら良くても、中身が“男”って分かってんのに反応するとか…。フツーは常識的に考えてありえねぇーだろう! ホモかよっ!」
「そっ、そうだね。普通はあり得ないよね…。俺ってやっぱり変態だよね……」
「おっ、おう…? お前は変態だ。今更だけど、変態だ…。???」
フェイトたんにそう返され、
力なく答える俺。
そんな俺を見て首を傾げるフェイトたん。
「…………」
「…………」
暫くお互いに沈黙が続く。
やがてフェイトたんが怪訝そうにこちらを見詰めながら、喋りだす。
「とっ、兎に角! 俺は一度この部屋を出て着替えを探しに行ってくる。今の俺じゃあこの部屋にある服はデカ過ぎるからな! またお前が変な気を起こさないようにする為にだ。けっ、決して一旦お前から距離を取りたい訳じゃ…逃げる訳じゃないからなっ! 勘違いするなよっ! あと、少しでも動いてみろ。そん時は今度こそ本当に本気でぶっ殺すからなっ!!」
そう言って俺の横を距離を取りながら、
ゆっくりと出口に向かうフェイトたん。
その間も眼だけは俺を凝視している。
無事(?)に出口までたどり着くと、
ものすごい速さで出て行った。
「いや…だからねっ、動きたくても動けないんだってば……」
そう独りごちりながら、俺は物思いに耽る。
フェイトたんの言う通り、
何で俺…フェイトの身体見て反応したんだろう?
“ああなった後”からのミルフィーたちの裸や、そういった行為を…『夜のプロレスごっこ♪』を四六時中ずっと見せ付けらても、全然まったくもって一切反応しなかった息子が…。
そういった感情が死んで…壊れて、“再起不能”になったと思ったあの息子が……。
──いったい…なぜ……?
「フェイトたんの言うとおり、実は俺ってホモなのかなぁ~…」
そう言ってフェイトたんが戻ってくるのを、興奮した息子を落ち着かせながら、俺は独り寂しく待つのでした。
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励みになります。
『変態主人公と、女体化ヒロインは嫌いですか?』
(;´д`)
「こんなヤツらの話より、勇者と寝取られヒロインどもを出せよ!」って方。
少々お待ちください。
必ず彼女たちの話も書きますので、それまでこのお馬鹿たちの話を読みながら、気長に待っててもらえると有難いです。
(*^_^*)