ヒロイン全員寝取られました。 ~始まり~
★この作品の注意事項。
※場合・人によっては胸糞展開があります。
※女性蔑視の発言や言動などの表現が多々あるかもしれませんが、愚者は女性を女神様だと常日頃から思っています。
寧ろ男性はもっと女性を敬うべきだと。
※主人公はゲスであり、クズであり、ド変態です。
言ってる事や、やってる事が支離滅裂だったりします。(精神が病んで(コワレて)ます。だからキチガイみたいな行動をとることがあるかもしれません。)
ご理解ください。
・共感できない主人公。
※シリアスなのに、無理やりギャグを入れてくる時があります。
※《 (笑) 》や《 www 》 などを多様する場面があります。
※何かしらをディスる表現とかがありますが、基本的に愚者は 『ディスる=リスペクト』してますので、御許しください。
※タグでも書きましたが、本当に描写は皆無です。(と言うより愚者に文才はございません。←だったら書くなって話ですが…。)
※この物語は異世界(ファンタジー?)と現実世界を合わせた感じの世界観です。
だから『ニート』や『ヤンキー』・『ビッチ』等の単語が普通に出てきます。ご了承ください。
※パロディ発言・メタ発言・下ネタ発言 (エッチな場面?)が非常に多いです。
あと、女体化・擬人化・性転換・TSF・百合・やおい・BL・GL・寝取られ・鬱・胸糞シーン等が苦手な方や不愉快に思われる方は回れ右をお願いします。
※それでも読んでくださる方はありがとうございます。出来れば最後までお付き合い下さい。 長文失礼しました。
ギシギシ ユサユサ あん! アン♪ あン♡
「アンッ! あっ…あっ…それはだめぇ…。トーヤ君の…しゅごい…♡」
話の冒頭からお見苦しいところを本当にごめんなさい。
(ギシギシ!)
いやぁ~、まさか初っぱなから最愛の幼馴染の『恥ずかしい姿』を皆様に御見せする事になろうとは俺も思わないわけですよ、はい…。
一番驚いてるのは俺自身です。
どうか御許しください。
(ユサユサ♪)
まあ驚いているとは言っても、俺的にはコレが日常茶飯事と言いますか、正直……見馴れた光景と言いますか…。
これはまだマシな方で、これ以上の事を見せられたことがあると言いますか…。
(あん♡ アン♡♡ アァ~ン♡♡♡)
まあ何が言いたいかと言いますと、当事者の俺が耐えてますので、皆様ももう少しお付き合いください。
てゆーかホント…うるせぇええええッ!!
えっ? いま何をしているのかだって?
いやだなぁ~。
『夜のプロレスごっこ♡』
に決まってるじゃないですかぁ〜。(笑)
まあ今は真っ昼間なんですけどね…。
「しゅごいい…! ほんとっ…凄ッ! トーヤ君の…しゅごいい…ッ!!♡ タクト君のお粗末な技なんかと比べものにならないくらい…んんっ…! とにかくしゅごい…♡ テクニックなんて…ひぃやっ?!♡ ギブアップしちゃいそう…♡ すきスき…大好きぃいいっ!♡ トーヤ君…トーヤくんっ…トーヤくぅぅううんんんッッ!!♡」
俺の事など気にもせず、更に『恥ずかしい姿』を晒し続けて、さりげなく俺をディスって意中の相手の名を連呼する最愛の幼馴染。
おいおいミルフィー。俺とお前はいつから『そうゆう仲』になったんだ?
恋人同士になっても恥ずかしがり屋で手を繋ぐのもやっとだったお前が、いったい俺の何が分かるって言うんだ?
『ナニ』ってだけに…。(笑)
ここで一つ、確認のつもりで再度言わせてください。
良いですか皆様。あくまでも彼女たちが行っているのは『夜のプロレスごっこ』ですからね。
勘違いしないでください。
もうお叱りは懲り懲りです。
本当に勘弁してください。
『えっ! これがアウトなんですか!? これ以上の危ない発言や過激な表現している作品なんていっぱいありますよ!? それも全年齢対称で!』ってな感じで。
……さて。変な事を言いましたが、話を戻したいと思います。
ったくミルフィーさんよぉ! 子供の頃一緒にお風呂に入って、そん時に一度見せてやったきりじゃねぇか!
あん時から俺の息子も頗るデカくなって――ゲフンゲフン!
技を磨いたんだよ!
少なからず、いまお前に技を掛けている屑のよりかわデカい──ゴホゴホッ!
絶句させる自信があんぞ!
テクニックの方は………。
うん! 仕方ないよね。
だって俺、ド素人だしw
『漢になる儀式』をさせてくれるはずだった『最愛の恋人』は、いま俺の目の前で恍惚の表情を浮かべ、聞くに堪えない変な声をあげて俺じゃないヤツの技を心底嬉しそうに受け入れている。
何度も何度も何度も、技を掛けられて俺を見詰める最愛の『元』恋人――【ミルフィー】。
そんな大好きだった幼馴染の『夜のプロレスごっこ』を俺は正座をさせられながら、静かに見せられていた。
そんな俺に突如激しい痛みが襲う。
それと同時に鈍い嫌な音が響く。
ドゴォッッ!!
「ガハッ!?」
どうやら誰かに鳩尾を蹴られたらしい。
吹っ飛ばされ、身体がくの字に折り曲がる。
吹っ飛ばされた衝撃と鳩尾を蹴られた激痛で、視界がぼやけて意識が混濁し、暫く悶絶する。
俺は悶絶しながらも、蹴り飛ばしたヤツを睨み付けた。
「アンタ…なにミルフィーとトーヤが『プロレスごっこ』してるの見てコーフンしてんのよ。キモチ悪ッ! 死ねぇ!!」
そこにはホワイトミルクティー色の髪をした、パンツ一丁の美少女が立って居た。
ホワイトミルクティー色の綺麗で長い髪を、ポニテ風お嬢様結びでまとめたその美少女は、美しい見事な乳房をユサユサと揺らし、未だに息が出来なくて喘いでいる俺に近づいて、おもいっきり頭を踏みつけた。
ドチュンッッ!!
「あぐぎゃっ!!」
「豚みたいな声出してるんじゃないわよ! あ~やだやだ。こんなのが幼馴染だったと思うと、ほんとっ嫌になってくるわ~。頼むからアンタ…マジで死んでくんない? てゆーか死ね! 本当に死ね! マジで死ね! 今すぐ死ねッ!!」
俺の頭をグリグリと踏み潰しながら、『死』と言う単語を平気で連呼する、つり目の美少女――【フィオナ】。
ミルフィーにとったら恋人以外で一番心が許せる幼なじみ兼、最高の大親友。
俺にとっても気が知れたセカンド幼馴染で、大切な女友達。
もう一人の大親友みたいな存在だった。
前まではこんな娘じゃなかったのになぁ…。
誰よりも『死』という単語や言葉。それを連想させる類いのモノを嫌い恐れ嫌悪して、とにかく仲間思いで友達思いの優しかった素敵な女の子――フィオナ。
『大丈夫、安心しなさい! アンタとミルフィーは何があっても私が守るから。勿論、二人だけじゃない。他の皆も私が全員まとめて守ってあげるから! ……誰も死なせない、絶対に死なせないからっ!! だから安心しなさいよね♪』
前に彼女が言ってくれた言葉を思い返して俺は、未だに踏み続けてるフィオナに言い返す。
「どっ…どうしたよ…【剣王】のフィオナちゃんよぉー…。今日は…いつもより…お優しいじゃ…ねぇーかよぉ……」
「あ”?」
「蹴りの威力も弱ェし…罵倒のキレも無ェ…。どうした、女の子の日か…?w」
「なっ!? コイツ…ぶっ殺してやるッ!!」
俺の胸ぐらを掴み、涙目になりながら顔を真っ赤にして、フルボッコにしにくるフィオナ。
殴る、蹴る、殴る、蹴る、殴る、殴る、殴る、蹴る、時たまビンタ♪(笑)
いやぁ~、打撃音が心地良いですなぁ~。
ん? 痛くないのかだって?
痛いに決まってるでしょうがッ!
女の子に殴られるって意外と痛いんだからねっ!
それに相手は【剣王】さまだぞ!
でっかい岩山とか片手で簡単に、粉々に粉砕しちゃう奴なんだぞ!
そんな剣王さまからタコ殴りにされたら痛いってレベルじゃあ済まねぇーんだかんなっ! 巫山戯てるわけじゃあねぇーんだかんなっ!
はし●とか〜んなっ!(笑)
………でも本当にどうしたんだ?
本来の剣王さまなら最初の一撃で俺は悶絶どころじゃあ済まされなかったはずだ。
―――どうやらフィオナは本当にアレが来ていたらしい…。何だ、図星かよ!
女の子の日だからあの勇者に相手にされないからって、俺に当たるなよなぁ。
でも俺並みに超変態のあの勇者なら、そんなのお構い無しに技を掛けまくるはずなんだけど…。
ずっと殴られながらそんな事を考えてる俺に、綺麗で清んだ声が聞こえてくる。
「フィオナさん、そのぐらいにしておいてください。可哀想ですよ…。フィオナさんの手が!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
そんな綺麗な声で酷い事を言うのは、艶のある黒髪ロングをお洒落なカチューシャでまとめた、真っ白い素肌に深紅の瞳の美少女――【ソフィア】だった。
ソフィアは黒いエッチな下着のまま、まるで汚物でも見るかの様に俺のことを見ていた。
「ゴミを殴ってもフィオナさんの手を傷めるだけです。フィオナさんのその美しい手はトーヤさんのものなんですから、もっと大事にしてください。でもフィオナさんの言うとおり、こんなのを『兄』と慕ってたと思うと……虫酸が走りますねッ!!」
手を翳し、フィオナの身体をすり抜けて俺にだけ衝撃波を放つソフィア。
俺の身体が更に吹っ飛ぶ。
「ぐへゃッ!!」
「なんて醜く汚い声…。同じ男なのに、どうしてこうも違うんですか? トーヤさんを少しは見習ったらどうです? このゴミ虫ッ!! ねぇ、トーヤさん♡」
猫なで声でそう言いって、勇者の腕にしなだれかかるソフィア。
嗚呼…。お前もそんな娘じゃなかったのになぁ…。
何よりも男に媚びるってゆうのが嫌いで、昔から知ってる俺らぐらいにしか男には心開かなかったのに…。
俺と出会った頃も、俺が何を言っても口をきいてくれなかったけど、めげずに執拗く構ってたら「家族だから…」って段々と心を開いてくれて。
あの時は本当に嬉しかったなぁ~。
そしていつの間にか「兄さん! 兄さん♪」って子犬の様に甘えて慕ってくれるようになって…。
『いいですか兄さん。兄さんは私が傍にいないとすぐ怠けるダメ人間なんですから、ちゃんと近くに居てくださいね。でもいざっていう時は頼りにしてますよ? 大好きです、兄さん!』
……今じゃあ男の前で平気で裸になれる淫乱女になっちまったな!
ボコボコに腫れ上がった顔で俺は可愛くてしかたなかった『元』義妹…。
今は淫乱【聖女】様になってしまったソフィアを静かに見つめて呟いた。
「ソフィア…」
「気安く名前を呼ばないてくださいッ! 穢らわしい…。貴方とは兄妹の縁を切ったはずです! 第一、あなたはいつも──」
「お前最近太っただろう? 腹に贅肉がついてるぜ?」
「ひゃあっ!?」
俺の指摘に思わずお腹を隠すソフィア。
グヒヒィ!w なんだ、まだ可愛いところ少しは残ってんじゃねぇーか。
最後にお前のそーゆーところ見れて良かったぜ♪
「ッッッ!! このっ…」
フィオナ同様。顔を真っ赤にして、大きな瞳に涙をいっぱい溜めて俺を睨み付けるソフィア。
何かを言い掛けるが、ソフィアとはちょうど反対側から…。今度はほんのちょっと甲高い声が、ソフィアを制止する。
「やめなよソフィア~。あんなクズ相手にしてもしょうがないじゃん! それよりさ、トーヤお兄ちゃんともっと『面白い事』しようよぉ~♡」
レモン色のとても明るく長い髪を、可愛らしくツインテールにした美少女が、勇者の腕に絡み付きながらそんな事を言っていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
ツインテ美少女は何故かブラだけをちゃんと着けていて、下半身はキレイな素肌を露出させていた。
まあ大方自分の弱点を隠しているのだろうけど、そんな事しても意味ねぇーよ、バーカ!w
てゆーか、お前にはブラ自体必要ねぇーんじゃねぇーか?w
俺はボソボソと呟くようにツインテ美少女を見据えて、毒づいた。
「貧乳ニーナ…w」
「あ”あ”あ”!? テメェー、いまなんつった?!」
「聞こえなかったか? ひんぬーニーナって言ったんだよ! それとも、お子ちゃまニーナの方が良かったか?w ああ! お漏らしニーナの方が良かったかなぁ?w」
「てっ、テメェェエッ!! マジぶっ殺すッ!!」
二人以上に顔を真っ赤にし、涙を流しながら鬼の形相で近づいて来る、若干ロリ体型のツインテ美少女――【ニーナ】。
おお! 恐い、恐い…。
怒った顔は実の兄貴そっくりだ。
いまのお前を見たらあの人はいったい何て言うのかなぁ~…。
自分は汚い言葉を平気で使うクセに、妹には「女の子がそんな汚ねぇー言葉使うんじゃねぇー! お兄ちゃんと約束な!」ってお説教するんだろうな。
何気にあの人、結構シスコン気味だからなぁ~…。俺が人の事は言えないけどさ♪
倒れている俺の目の前に立ち、プルプル震えながら見下ろすニーナ。
そんなニーナに対し笑みを浮かべ、軽口を叩く。
「どうしたニーナ、震えてるぞ? もしかして…また漏らしたのか?w」
「ッッッ?! お前…また…。あや……まれ…」
「はいぃ?」
「謝れ…。いま謝ったら……特別に許して――」
「ペッタン娘ニーナちゃん♪ww」
「ッッッッ!! ぜってぇーコロスッッ!!」
ニーナが俺の腹を目掛けておもいっきり蹴りあげた。
「げふッ!?」
「クソがっ! カスがっ! ゴミがっ! クソがっ! ゲスがっ! ヘボがっ! クソがっ! 腐れ童貞がっ! 役立たずの能無しがっ! 粗チンがっ! 包茎がっ! クソがっ! インポがっ! 短小がっ! クソがっ! レベルが低い雑魚がっ! 三下がっ! クソがっ! 役に立たない屑がっ! 無駄に身長だけデカい木偶の坊がっ! クソがっ! クソがっ! クソがっ! クソクソクソクソ……クソォオオッ!! よくもっ…よくもトーヤお兄ちゃんの前で恥をかかしてくれたなあっ! お前なんて…お前なんてぇぇっ! ………グスン…。Bは……Bはあるもんっ!」
汚い文句を浴びせ続けて何度も何度も蹴り上げるニーナ。終いには泣き出して声を詰まらせながらも抗議する。
そんなニーナに俺は優しく言葉を返す。
「限りなくAに近いBだけどなっ!www」
「ッッッッッ!! お前なんてっ…お前なんてっ……お前なんてぇええ!! ほんとに死んじゃえぇぇえええ!!!!」
「あがががが!?!?」
人差し指を向け、サンダー●レイクをブチかましてくる『お漏らしニーナ』もとい【雷の女帝】さま。
剣王さまの蹴りに比べたら赤子同然の蹴りだけど、この電撃だけはアカン。
この電撃だけは何回喰らってもなれねぇわ。
やばっ! 意識が………。
このままでは本当に死んでしまう…ッ!
大泣きしながらもずっと電撃を放ち続ける雷の女帝さま。
いつもならそろそろ電撃の威力が落ちてくる頃のはずなんだけど、どうやら今回は本気で殺しにきてるみたいだ。
一向に電撃の威力が落ちる様子がない。
アハハ…。今度こそ殺されるのかな…。
まあ大親友の妹に殺されるなら別に良いか。
もう…いろいろ疲れたわ……。
口から泡を吹き出して全身が焼け焦げていくのを感じた俺は『死』を覚悟し、最後にニーナを見つめて彼女との思い出を呼び起こす。
『あのねタク兄ぃ。もしだよもし、もしタク兄ぃとミルフィ姉ぇが結婚しなくて、フィオ姉ぇたちや他の人がタク兄ぃのこと相手にしなかったその時は……私がタク兄ぃのお嫁さんに立候補しても良いかな…? えっ、ほんとに? やったやった! 約束だよ♪ ん〜? 何でって…。えへへ。だって私、タク兄ぃのこと大好きだもんっ♪ よぉーしっ! 今から花嫁修業、ガンバルるぞぉー!』
本当に可愛くて、いつも笑顔で天真爛漫で…。
甘え上手で…。
泣き虫な上に、ほんのちょこっとブリっ娘なところがあるけれど、そこがまた魅力的で…。
俺にとっては『大親友の妹』ってだけじゃなく『もう一人の大切な妹』って感じの存在だった。
ごめんな、ニーナ…。お前が「好き」って言ってくれたヤツがこんなヤツで。
それから……ごめんなさい、親友。
あなたとの約束なに一つ守れそうにありません。
本当にごめんなさい…。
あの世で逢えたら『フルボッコタイム!』して良いからね。
じゃあーねっ! さよなら…。
心の中で自分勝手に親友に別れを告げ、いよいよ死ぬ寸前って時に、救いの声が掛けられる。
「ちょっ、ニーナ! ストップ、ストップ! それ以上やったらソイツ、ほんとに死んじゃうからっ!」
「邪魔しないでフィオ姉ぇ! コイツぜったい殺すのっ! 離してってばぁっ! それにさっきフィオ姉ぇもコイツ殺すって言ってたじゃん!」
「あれは言葉の綾であって、本気で殺すって意味じゃないの! トーヤに言われてるでしょう? ソイツは『生かさず殺さず、甚振り・嬲り続けろ』って。だからトーヤの許可無しに殺しちゃいけないの。わかった?」
「だって…だって…だってっお姉ちゃぁ~ん!」
「あ~ハイハイ…。アンタの気持ちはお姉ちゃんが痛いほど分かってるから。ほら、いつものハグしてあげるから、こっち来なさい。よしよし、ニーナは良い子ねぇ。ニーナは…そうね、他の子よりちょっと成長が遅れてるだけなのよ。もう少ししたら、この中の誰よりも素敵な身体になると思うわ。お姉ちゃんが保証する♪ ……多分だけど…」
そう言ってニーナの身体を強く抱き締め、優しく頭を撫でてあげるフィオナ。
優しく撫でてあげながら目線だけをコチラに向けてキッ!っと睨み付けてくる。
その目は「よくも私のカワイイ妹を泣かしてくれたなあっ! 本気で殺すぞ…?」とでも言いたそうだった。
パンツ一丁の美少女とブラだけ着けている美少女が抱き合ってる光景は、なんともシュールな光景だが、でもそこにはどっからどう見ても『泣き虫な妹と、それをあやす優しいお姉ちゃん』の仲良し姉妹の姿があった。
ニーナは実の兄貴以上にフィオナを慕って懐き、フィオナもまた、ニーナを本当の妹の様に可愛がっている。
普段ニーナはフィオナの事を「フィオ姉ぇ」と呼んでるが、甘えたい時や構って欲しい時。
落ち込んでるのを慰めてほしい時とかなんかに「お姉ちゃん」って呼ぶ。あと喧嘩した時も。
そう呼ばれるとフィオナも、どんなに不機嫌だろうがイライラしてようが、ニーナ本人と喧嘩した直後だろうが「しょうがないなぁ~…♪」って感じで優しく抱き寄せ、頭を撫であげる。
俺は昔からそんな二人の姿を見るのがとっても大好きで、見てるいるだけで幸せな気持ちになれた。
『兄弟・姉妹仲が良い事は素晴らしきこと!』を座右の銘の一つにしている俺にとっては、理想そのものだった。
本当なら今ごろ俺もあんな風にソフィアと一緒に……。
それはないか。うちの義妹ちゃんは人前では決してデレない、恥ずかしがり屋のツンデレちゃんだから!
死にかけの状態で、そんな事を考えていると。
「ホラホラ、ふたりともぉ~。そんな何の価値も無い上に何の役にも立たない、無価値無能で使い捨ての道具にすらならない、本当に邪魔なだけのお荷物さんなんてほっといて、トーヤ君と『楽しいこと』の続きをしましょ~う♡」
底知れぬ包容力と無限の母性を溢れさせた感じの、どこか安心感と癒しを与えてくれる、おっとりとした優しい口調の声が聞こえてきた。
言ってる事はめちゃくちゃ酷いことだけど…。
◇◆◇◆◇◆◇◆
そのなんとも言い表し難い、違う意味と方向性で『極甘脳トロボイス♪』の声を発している女性に、自然とみんなが視線を奪われる。
その女性は全裸状態で、規格外過ぎるとても豊満な胸を、勇者の背中に軽く押し当て、少し乗っ掛かる様な体勢で、コチラに向かって可愛らしく手招きをしていた。
「フィオナちゃんもニーナちゃんも、そんな最低極まりないゴミクズなんか無視して、こっちにいらっしゃぁ~い♪ じゃないと貴女達までソレみたいなゴミクズの仲間になっちゃうはよぉ~!」
聖母の様な微笑みを浮かべて二人を呼ぶ、金髪ロングでゆるふわウェーブの爆乳美女――【リゼーネ】姉さん。
『美乳で爆乳!?』って言葉を体現したかのような完璧なまでの見事な胸と、細過ぎない細い腰に安産型の少し大きめな美尻。
女性なら誰もが羨む素晴らしいプロポーションと、とても美しい美貌を合わせ持った美女の中の美女。
それがリゼーネ姉さんだ。
それだけじゃなく、先ほどの脳トロボイスに優しいおおらかな雰囲気を漂わせた、また何とも言えない感じ…。
【ハーフエルフ】特有のちょっと尖って長い耳を時たまピクピクっと動かす仕草がとても可愛らしく、つい見惚れて抱き締めたくなる、まさに非の打ち所がない『完璧な理想の年上の女性』。
それがリゼーネ姉さんである。
リゼーネ姉さんはおそらくこのパーティーの中で一番の年長者で、俺たち『幼なじみ組』にとっては全員のお姉さん的存在であり、俺ら五人にとっては俺らが襁褓している時からお世話になっている、もう一人の母親の様な存在の人。
特に、物心がつく前に産みの母親を亡くしている俺にとっては、本当に『もう一人の母親』の様な大切な人。
『三人目のお母さん』だった…。
そんな母親同然の人から辛辣な言葉を言われて、胸の奥がギュッ!と締め付けられて泣きたくなるが、何とか堪えて虚ろな瞳でリゼーネ姉さんを見つめながら呟く。
「リゼーネ…ねぇ…さ…ん…」
「あらあらイヤだわ~。ゴミに話掛けられちゃった。良いゴミ君。私は自分の名前に誇りとプライドを持っているの。だから貴方みたいなゴミに気安く名前を呼んでほしくないのよ、分かった? あとね、私はゴミを『弟』に持った覚えはないの。だから勝手に『姉さん』なんて呼ばないでもらえるかしら。不愉快極まりないわッ! それから――」
「口にチョコとスナック菓子の食べカスが付いてるよ。まぁ~た隠れて食べてたんだね。あんなに『今度こそダイエットする!』って言っていたのに。それと誇りもプライドも、ほぼ同じ意味だよw」
「えっ、ウソッ!? やだっ…私ったら…。ちゃんと鏡の前でチェックしてきたのに…。ってぇぇええ?! 私、また変なこと言っちゃったの…? はっ、恥ずかしぃ…。私…お姉さんなのに…。ほんとやだぁ……」
軽く動いただけでそのとても柔らかそうな『マシュマロモンスター!』を上下に揺らし、口元を隠しながら激しく動揺するリゼーネ姉さん。
その本気で焦ってる仕草は可愛らしく、ずっと見ていたい。
グヘへヘェww リゼーネ姉さんを揶揄うのはこんな時でも楽しいし、リアクションがいちいちカワエエのぉ~♡
これで俺らの親たちより、生きてきた年月が長いってゆうんだから、信じられねぇーよな!
マジで【ハーフエルフ】万々歳だぜ♪
今にも死にそうな瀕死状態にも関わらず、リゼーネ姉さんをからかって遊んでいると、ため息混じりにフィオナが会話に割って入ってきた。
「ハァ~…。あのね、リゼーネ姉さん。口には何も付いてないわよ」
「えっ?」
「分かんない? このクズに鎌かけられてるの!」
「えっ…本当に…? ニーナちゃん、私の口に何もついてない?」
「うん。リゼ姉ぇの口には何も付いてないよ?」
「ソフィアちゃんはどお? 私の口に何も付いてない?」
「はい。リゼーネ姉さんのお口には食べカスなんて…。相変わらずのキレイで素敵な唇があるぐらいです…」
フィオナたちにそう言われ、しばらくの間キョトンとした顔で長くてキレイな睫毛を何度もパチクリ♪パチクリ♪とさせて、固まるリゼーネ姉さん。
やがて──。
「たっ、たっ、タクトくぅううんんッ!! 貴方また…私をからかったのねぇえええーッッ!!」
耳まで真っ赤にして涙ぐみ、大きな声をあげるリゼーネ姉さん。
グフフwww ウケる♪(笑)
それにやっぱりカワイイ♡
死にかけの身体に鞭を打ってどうにか立ち上がり、リゼーネ姉さんの方を見て、若干小バカにした感じで笑って言う。
「気づくのおせぇーよ、リゼーネ姉さん♪ でもそんな反応をするって事はやっぱり、俺が言った通り隠れて食べてたってことだよね? あんなに俺らの前で「最近体重が増えてきたから、トーヤ君の為にダイエットしますっ! だから大好きなチョコも我慢します!」って誰も聞いてないのに勝手に宣言しておいて、三日も経たずに破ってたら…世話無いよ?ww リゼーネ姉さんはもうちょっと、歳上の自覚を持った方がいい。一応俺らの『お姉さん』なんだからさ♪」
「なっ、なななっ! ななななっ!?」
「まあリゼーネ姉さんの場合、別にダイエットする必要ねぇーんじゃねぇーかな? どうせ体重が増えたって言うのも『乳が更にデカくなった!』ってことだと思うし。さすが『リジハマ村のおっぱいお化け』の異名を持つリゼーネ姉さん。恐れいったぜ!ww」
「おっ、おっぱいお化けッ?! ──ひどい…。私が一番気にしてることを…」
顔を更に赤くし、胸を隠して顔を伏せるリゼーネ姉さん。
暫くの間、微妙な静寂が辺りを包み込む…。
リゼーネ姉さんには遠く及ばないけど、それでも充分豊満なフィオナの胸に顔を埋めて、ボソッと「羨ましい…」と呟いたニーナの声がヤケに響いた。
ニーナとは違う意味で胸に劣等感を持つリゼーネ姉さん。
俺は思う。
何故ニーナもリゼーネ姉さんも、その素晴らしい“乳”を恥ずかしがるのかと。
ニーナの小っパイはそれはそれで希少価値だし、リゼーネ姉さんの超特盛はそれだけで何よりも武器と魅力になる。
二人はもっと自分に自信を持つべきだっ!!
ビバ! お っ ぱ い !!
「お前本当に死にかけか?」ってどっからか聞こえてきそうなくらいアホな事を考えていると、リゼーネ姉さんが般若心経ヨロシクばりに、何かをブツブツ呟きはじめた。
「もう…おこり……ゆる……しま…」
「んん? リゼーネ姉さん…?」
「──もう、お姉さん怒りました! 今日という今日は許しません! ぜぇぇえええたいにっ、折檻しますッ!!」
ガバッ!っと勢い良く顔をあげたと思ったら、茹でタコみたいに真っ赤にした涙目の顔でコチラを睨み付け、そのまま“リング”の上に立ち上がり、手にゴツくて厳つい槍を出現させ、投擲の体勢をとるリゼーネ姉さん。
ヤバイッ! リゼーネ姉さんがキレた!
それもガチギレだっ!
アレは本気でキレた時にしか出さないやつだっ!!
アレは折檻程度で済むレベルじゃねぇーぞッ!!
『おっぱい姉さん♪』こと【神槍】さまにあんなモノを投げられたら、今の俺じゃあ確実に死ぬ!
てゆーか、此処にいる誰も神槍さまであられるリゼーネ姉さんに勝てる訳ねぇーし、大抵の奴は“初撃”で終わる。
【勇者パーティー】で対応できるのも剣王のフィオナか【修羅】の“ミカエラ”先輩ぐらいか?
・・・・あとあの勇者ぐらい。
そんな人があんな『激ヤバなモノ』を投げたら、此処にいる全員お陀仏である。
なので俺はからかい過ぎたと猛省しつつ、必死こいて平謝りする。
そんな俺を別に助ける訳じゃないけど、フィオナとニーナとソフィアも慌て一緒になって説得してくれる。
「リゼーネ姉さん! おっ、俺が悪かった! もう二度とからかわないから、だからソレを投げるのをやめてくれッ!!」
「そうよ! このクズがどうなろうがしったこっちゃないけど、そんなの投げたらこの部屋も只じゃすまないってば!」
「リゼ姉ぇ落ちついてよぉ~! 私たちにまで被害がでちゃうぅ~!」
「フィオナさんとニーナの言うとおりです! お気持ちは分かりまが、ここは冷静に大人の対応を…」
「フィオナちゃん、ニーナちゃん! そこをどいてッ!! ソフィアちゃんも止めないでぇっ! ──今まで散々からかわれてきても、子どもが…タクト君がする事たがらって我慢してきたけど、もう限界…。お姉さんの堪忍袋の緒も切れましたあっ! タクト君なんてっ…タクト君なんてぇ……ッ!! ──タクト君のっ……バカァアアアーッ!!」
そう叫んで、腕を大きく振り下ろそうとするリゼーネ姉さん。
いよいよ俺の人生もここまで。
万事休す!って時になり、彼女との──リゼーネ姉さんとの懐かしい想い出が、走馬灯の様に駆け巡る。
『──なるほど、話は大体分かったわ…。ミルフィーちゃんとは絶対に結婚するけど、他のみんなとも結婚したいと。だから私と結婚してお婿さんになって、みんなをお嫁さんに貰いたいと。もちろん、私のことも本当に好きだと。あっ、ありがとう…。 ──あのね、タクト君! あなたが今言った事は「みんなを悲しませたくない、喜んでもらいたい!」と思っての事だと思うけど、それは女性に対して…みんなに対してとっても失礼な事なの。特にミルフィーちゃんに対してね。ミルフィーちゃん、今のあなたの話聞いたら…泣いちゃうわよ! それにね。仮にあなたと私が結婚したとしても、だからといってあなたが重婚できるようになる訳じゃないのよ? あくまでもエルフの血を引いている私だから重婚が出来るの。それに重婚するのにも色々な決まり事があってね、だから……って泣かないでっ!? あのっ…えっと…どうしよう……お姉さん困っちゃたなぁ…。 ──そうだわ、こうしましょう! タクト君が大きくなってそれでも私の事が好きだったら、もう一度この話をしましょう。重婚についても、その時に話し合いをしましょう! ──うん♪ お姉さん、ちゃんと考えておくから! だからもう泣かないで。お姉さんとの約束ね♪ ──ウフフ♪ お姉さんもタクト君のこと大好きよ♡』
幼い子供の妄想を真剣に聞いてくれて、本気で悩んでくれたリゼーネ姉さん…。
本当に大大大好きで、もしミルフィーがいなかったら確実に俺の中での“一番”だった人…。
(この人に殺されるなら──もう…いいかな……)
覚悟を決め、静かに目を閉じる。
けれどそんな俺に、今この世の中で一番聞きたくない──俺にとっては憎悪と殺意の塊でしかない、文字通り俺の『“全て”』を奪った───【悪魔】の声が聞こえた。
「やめろ、リゼーネ。僕はそんな事は許可していない…」