前へ目次 次へ 39/86 ◆六話-0 憎むのは当然だった。己が『こうなった』原因なのだ。 元凶が別にあり、あれもまた被害者であることは理解している。 だが、それでもなお、許し難い存在。 だから突き放す。だから言葉から感情を排す。だから、だから、だから―― ――でも、それでも、私を呼ぶのだ。 兄さん。と、 私の渋面を真正面から見据え、悲しそうな目をして、辛そうに口の端を歪めながらも、それでも、縋るように言ってくるのだ。 兄さん。と。 私のことを、そう呼ぶのだ。