前へ目次 次へ 16/89 ◆プロローグ『遺されたモノ』-0 ――目が覚めて、初めて目にしたのは己が腕の中で眠る赤子。 これは、なんだ? と、訝しむと同時にすべてを理解する。肉体に刻まれた記憶がすべてを教えてくれる。魂に刻まれた望みはただ一つ。故に、私は赤子の額に手を持っていく。 不安などなさそうに微睡む幼子を撫でる。揺らさぬように、起こさぬように。 「――失敗作」 それは眠りながらも、その小さな手で私の指を掴んだ。 私は赤子を抱え、暗く、昏く、終わってしまったその場を立ち去った。