8.ハンター登録 前
最近事故をしました、みぞれです。
まぁ事故には気を付けてくださいね?
はい、こんにちわ。紫翠です。
今現在、このくそ長い列を並んで待っています。
その理由はハンター登録、公認冒険者になるためのいわゆる免許取得をするために並んでいます。
「にしてもさ、いまいち組合のシステムを正確に把握しきれないところがあるなぁ」
「確かにな。軽く授業でも説明はされてはいるけどさ、組合のシステムって細分化されているよな」
「ふむ、ここのシステムって大きく分けて三種類出てくるんだろうね」
そう、ここ組合のシステムというのは冒険者側とそのサポート側に分けられる。
冒険者側にはランク制というのが存在する。
見習い、ストーン、アイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、ダイヤ、プラチナ
の8種類の階級があり、見習い級から始まりプラチナ級が最上級として存在している。
前回話した≪剣帝≫はプラチナ級に存在している。
なお、プラチナ級は世界でも10数名存在するかしないかという数少ない存在である。もちろん冒険者の中でもっとも強いものだけがなれる稀有な存在である。
ただ、非公認冒険者にもプラチナ級に相当する冒険者が数名存在するとの噂があるものの、その実態は解明されていない。
なぜなら、非公認冒険者にはランク制というもの自体が存在していないからだ。
ランク自体は組合への貢献度や魔物の討伐数など様々な要因を加味したうえでその者のランクを付けられていく。
そのため、組合に加入されていない非公認冒険者にはあまり関係のないことである。ただ、非公認冒険者でも魔物の換金を行ったりしているため組合内で勝手にある程度の強さだけのランク付けを行っている。
そのため、強さだけでものを言えば公認冒険者より非公認冒険者のほうが有力視されたりする。
次にでてくるのがサポート系統についてだ。
1つは公認冒険者への組合からの優待サポートである。
これは先ほども話したが公認冒険者であれば誰でも適応されるためあまり重要視されてはいないものの、非公認冒険者と比較すれば破格の制度である。
特徴的なものを簡単に説明しよう。
・組合免許......公認冒険者である証拠。神福物の1つで位置情報を知ることができ、行方不明時の探索に役立つ。
・換金......魔物や聖遺物の換金を行うことができる。非公認冒険者は公認冒険者に比べ3割減少してしまう。
・組織紹介......後に話す組織への推薦状をもらうことができる。
このようなサポートが公認冒険者に与えられる。
2つは担当冒険補助者サポートだ。
これは月々の契約料を支払っておけばその冒険者に最適な補助を行えるように考慮してくれサポートである。
これは上位階級冒険者であれば無償でついてくるものではある。しかし、冒険者というのは命がけの職業であるため、こういったところで削ってしまい命を落とす危険もあるため大抵の人がこれを契約する人が多い。
3つは組織所属。
これは公認・非公認関係なく存在しているらしいが基本は公認冒険者で構成されており、その特色は組織によって異なる。
大きく分けて戦闘・探索・鍛冶・医療・製薬・工芸・統治に分類し、組織によってはさらに細分化されていく。
組織同士の連携も充実しており、その協力体系はもちろんではあるがその逆に対抗・敵対組織も存在したりしている。
互いが互いを刺激しあい、高めあっているのだ。
名の知れた組織は数多く存在しているが、その中でも特定条件下・ダイヤ級に相当する功績をたたき出している組織には渾名として神々の名を頂戴することができる。
これは極めて異例なことであり、渾名を頂戴された組織にはその神の加護が与えられるとされている。
その最たる例としてプラチナ級冒険者≪剣帝≫が長とする〖剣神・組織:ミリオンブレイブ〗はその渾名の通り剣神であらせられる≪建御雷神≫の加護を頂戴され、剣に特化された戦闘組織である。
このように組織にはほとんどメリットしか存在しないため、都市に住んでいる大多数の市民がどこかしらの組織に所属している。
「......っとこんな感じだったな」
「そうだな!まぁ、組織についてはまだ先の話になると思うけど。とりあえずもうすぐ僕たちの番だな!」
「しっかし、あんなに長い列だったのにもう先頭近くまで来てるって考えると登録のスピード早いよな」
「まぁ、それは授業で組合についての説明を何回もされているというのもあると思うが登録に使われるのが神福物に手をかざすだけで済むという点であろう。そうでもしなければすぐになんてできやしないさ」
と、刈谷が話し終えると
「次の方~!どうぞ~!」
間延びした声が聞こえてきた。
「僕たちの番のようだね!じゃあ行こうか」
「「はいよ」」
俺たちは登録室へ入っていった。
登録室へ入ると部屋の大部分を占める水晶玉と一人の女性が立っていた。
「お待たせしました。お名前の確認をいたしますね!
刈谷京治様
唐澤速人様
紫翠睦紀様
でよろしかったでしょうか?」
「はい、問題ありません」
「かしこまりました。授業でもご確認されていると思いますが、このハンター登録では神から授かった道具神福物の1つである【フォルアリシア】を使い、青い光を発した時点で組合免許が発行され晴れて公認冒険者として活動することができます。しかし、赤い光が点灯した場合組合免許は発行されず市民、もしくは非公認冒険者として活動することとなります。ここまでで問題はありますか?」
「ありません」
「ないです」
「......すみません、僕から1つだけもし発行されないような要因は判明されていますか?」
「よい質問ですね、お答えします。主だって出てくる問題は1点ぐらいかと。それは犯罪履歴ですね。過去に犯罪を起こしてしまった・もしくは人間関係上に問題があるような方は非公認のなりえます。しかし、今までで非公認になったものは全体を見ても1割にも満たないようです。凶悪犯罪者などは該当してしまうようですがそれ以前に組合のほうで選別を行っていますので大抵の高校生で非公認と認定されることはまずありません」
「....ありがとうございます」
「では、刈谷様からお願いします」
そういわれると刈谷は【フォルアリシア】の目の前へ歩いていく。
担当者からの説明を受けるが唐澤に浮かない表情が出てくる。
とりあえず唐澤に小さな声で尋ねる。
「おい、唐澤。どうかしたか?」
「紫翠君。僕の直感で申し訳ないと思うが多分ここらへんのようなんだ。だが、正確なことがまったくわからない。君のほうでなにかわかりそうなことはないのかい?」
「ここらへんでか?.....いや、わからないな」
「....そうか。すごく嫌な予感がする十分に警戒をしておいてほしい」
「....わかった。助かった」
唐澤からの言い分はわかったが、確かに引っかかる。
だが、それが何なのかがわからない。ただただ不信感が俺の心を襲う。
「はい、お疲れさまでした。こちらが組合免許になります。お次に唐澤様お願いします」
「は、はい。じゃ行ってくるよ」
「おう」
そういうと唐澤と刈谷が入れ違いにやってきた。
刈谷は組合免許についての考察を始めてしまい、自分は目の前の【フォスアリシア】を凝視する。
これに何かを感じる。しかし、それが一体なんだろうか。それもいい思いがしないのはきっと唐澤が話したせいであろうか。
そんなことを考えていると唐澤が前に現れる。
ん?
「....い!....おい!」
「ん?もしかして俺の番か?」
「そうだよ!僕たちは組合免許を取得できたから早く取得してきなよ!」
「うい」
唐澤に言われ俺は【フォスアリシア】の前へと進む。
「お待たせしました。最終確認を行いますね、紫翠睦紀様でよろしかったでしょうか?」
「はい、そうです」
「わかりました。では、お手を【フォスアリシア】の前へかざしてください」
担当者の指示に従い、俺は手をかざす。
すると脳裏に直接何かが響く。
〔スキル【独呪】の呪いが発動します〕
「......は?」
そう呟くと【フォスアリシア】に異変がおこる。
水晶が青くも赤くも光らず、ただ毒々しい紫へと発行していた。
「こ、これは......一体なんなのですか!?」
そう担当者が叫んだとたん
光は収まり、今度は赤く光る。
「......これってもしかして」
「....もしかしなくても非公認の認定になると思われるのですが......このような事態になるなんて初めてのことでわたくしもわかりかねます」
「ですよねぇ」
これはただのハンター登録で済むような話ではなくなったようだ。
「はぁ」
そう呟くのは間違っていないだろう?
ということで長くなりそうなのでいったん区切ります。
長ったらしい説明になりましたが簡潔に解説を......
組合は冒険者として一括管理しているいわば国(国連)みたいなものです。
各国に総合支部が点在しており、さらに地域に小さいながらも支部がおいてありそのすべてに【フォスアリシア】が設置されています。
組織はある一定数の冒険者をまとめているいわば県(市町村より)?みたいな存在。大なり小なり組織として成り立っており、その数は無数にある。組合に申請さえすれば即受理される。違反行為や条件項目をクリアしないと組織として維持がされない。
こちらは非公認冒険者も所属することが可能であるがその管理は長に任せらせる。