淡い道路
運転席に座るカレはボクにこう言った。
「どうだ、お前の空は今日は青いか?」て。
相変わらずのボクは右手を顎にすりつけながら車窓越しの空をを見つめた。
カレはもう一度、ボクに訊ねた。
「どうだ。青いか?」
「淡い。」ボクは合間無く応えた。
するとカレは信号が赤なのをいいことにいい気になって、ボクの横顔をマジマジと観てきた。
そんな展開を創造していなかったボクは照れ隠しをするように口を動かす。
「淡いって云っているでしょう??この空のように。澄んで雲一つもない、そんな中で木々や草花が色彩際立つ。なのに強く刺激をすることなく、逆に穏やか。あぁっ、もう何が言いたいかさっぱりわかんないっ、とにかく、ボクの思いもそんな感じだっ、、ていう話っ。ちゃんちゃん!」
「それ、、、俺、喜んでいい話か?」カレは口角を少し上げて二やけた。
そして前を向いて青信号になった道路にアクセルを踏んだ。
急発進した反動に思わずコクリと頷いたボクだったけれど、そんな出来事がなくても頷いたと思う自分がいる。そう『カレを笑顔へと誘う』。それだけで、他に何もいらない。枯れ葉舞うこの季節でも。
ボクがいることで、カレは旅を楽しめる。
カレがいることで、ボクは旅に出られる。
「んま、とにかく迎えに行って今日も良かったよ。」
カレはそう呟いてさらにスピードを上げる。
今日はより紅葉が深まっている場所へ。カレの故郷へ、お出かけらしい・・
『ん・・?』