第二話
「っわぁっ!」
勢いよくベッドから起きあがった美咲は、時計を見て更に驚いた。
「やっば!遅刻する…っ!」
階段を下りて、居間に入るや否や母に向かって怒った。
「母さん!起こしてって言ったでしょ!?遅刻するじゃない!」
「あら。昨日の夜、父さんと喧嘩してふて寝したのは誰かしら」
母の余裕な表情に、美咲はテーブルに置いてあった菓子パンを失敬して自分の部屋にこもってしまった。
「あらあら。また怒らせちゃったわ。でも、お父さんに似て、素直じゃないわね」
沙羅がため息をついて、朝食を取っている夫に目を向ける。
「悪かったな。だが美咲はお前似だって気づいてるか?」
「は?何が」
「霊感」
彼は、コーヒーのカップを置くと沙羅と視線を合わせた。
「知ってる。だって誰かさんの血を引くからね。普通じゃないわよ」
「おい…人を化け物みたいに………」
「そんなに大差ないわ」
そういえば、と沙羅は夫の隣に座った。
「青斗、あなたの血って同類を呼んだりしないでしょうね」
「は?」
青斗と呼ばれた『夫』は、軽く目を見開く。
「だから、私と同じような運命をたどったりしないわよね」
「神様と…ということか?」
「そう」
青斗は椅子から立ち上がると、食器をかたしながら言った。
「大丈夫だろう。……多分」
「ちょ…っ…多分じゃ困るわよ……」
沙羅がそう言った瞬間、玄関から大きな声が聞こえた。
「母さん、父さん、行ってきます!」
それを聞いた青斗は、一言。
「充分素直じゃないか」
「ぎりぎりセーフっ…!」
美咲が席に着くと、親友の…というか親戚の若菜が近づいて来た。
「おはよ、美咲。今日はまたどうした?」
「なんでもない…」
若菜の名字は渡辺。
要は美咲と同じ。
そう、沢と和美の子供である。
「ね、今日家に来ない?おもしろいものがあるんだ」
美咲は若菜の誘いに乗り、放課後の予定を決めた。
登場人物こそ新しいですが、なんか愛着ありますねぇ…
私だけでしょうか(笑)