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第993話



 コウヤからの情報により、敵は5日後街の中に入り込んでゴーレムを出現させることがわかった。



 先日、突然現れた巨大ゴーレムが、去る時も突然消えたのを見ると、恐らく自由に出し入れ可能なのだろう。


 しかし、肝心のどうやって入るのか、またどこから侵入するのかがわからない。

 指名手配されている現在では、おそらく連中はリスクを恐れて街の外にいるはずだ。


 だが、同時にそれは入れないことも意味している。





 それなのに、敵はあえてこの状況を作るかの如くヒントを所々に残していた。

 それは裏があるからだと俺は踏んだのだが、まだ確証はない。



 それ故に、相談がてらコウヤにだけ情報を開示する事にした。


 




 「これ、攻略本持ってるお前には言っとくが、他言無用で頼む。リフィ達もそうだが、特にギルドやお巡りには言うな」


 「ギルドと衛兵には?」


 「ああ。ちょいと知られるとまずい奴がギルド内にいる………かもしれない」





 そう、確証はない。

 だが、仮説はある。




 「ってのもな、ここは周りが迷いの森で囲まれたいわば天然の要塞だ。そしてお前だけが知る近道を除けば、出入り口は一つ。そこで見守るのは当然衛兵どもって事になるんだけど………」


 「………まさか、衛兵側に向こうと通じてる奴がいるかもってこと?」


 「ご名答………………だけど」


 「けど?」





 俺が疑っていたのは衛兵だ。

 奴ら以外に、連中に手引きできる相手はいない。



 だが、それは表面上の問題だ。

 そもそも衛兵というのは組織というよりは一人一人雇う形になっている。

 上司は存在するが、結局のところそいつも末端。


 そんな奴に話を持ちかけるだろうか。




 「俺が疑ってるのはもっと上。衛兵を雇っている大元だ」




 腐っているのは葉ではなく根だ。

 根が腐るから、葉も腐れる。

 つまり——————




 「いやいやそんな………」


 「けど、やってるかもよ。領主。色々と臭ェからな」



 「!!」




 キョロキョロと辺りを見回すコウヤ。

 あからさまに聞かれてないかを気にしていた。


 だが、問題ないというのはすぐに気づいた。





 「気づいたか。音魔法の防壁」




 魔法自体はそりゃあ目立つ。

 妖精というのはそのあたり敏感だ。

 使えば瞬時に察知する。


 だが、要は聞こえなければ問題ない。





 「ああ………ってか、おまっ………………いやでも………領主………領主か………………………確かに、あのおっさんちょっと胡散臭いところあるからな………」


 「ひょっとして面識あるのか?」


 「まぁね。こんだけ里で有名になれば一回や二回は嫌でも会うさ」




 ………いや、多分それだけではない。

 宿の看板娘が、こいつもイーボの妹の治療費を領主に納めてるって話を聞いたと言っていた。


 そこからの面識だろう。



 そうだ。

 もともと疑い出したのはそれがあるからだ。



 領主自体に収めるのは妙だと思っていた。

 何かやっているかもしれない。


 それに、裏ではあまりいい噂も聞かない。

 絡んでいる可能性は十分だ。




 「ともかく、そういうわけだから衛兵は頼れねぇ。念を置いてゲルニアにも明かさないでおく。だから、衛兵とは別に、連中を見張る奴が必要だ。圧倒的に人手が足りない」


 「協力者が要る、か………………」




 連中が侵入し、どこに向かうかを的確に抑える必要がある。

 初手さえわかれば、俺の策で被害を抑える事が出来る。


 その為にも、戦闘面以外でサポートをする人材が必要だ。





 「そこでお前の出番だ」


 「俺?」


 「ああ。大人数いて俺が協力を頼める奴らといえば、もう数える程もない。けど、その中の一つにお前がいればなんとかなりそうなのがある」




 ここ数日、行動を共にしてきたコウヤからすれば、それは考えるまでもなく、一つの集団を示していた。

 そう、それは、





 「! ………セイレーン達か!」


 「非戦闘員を巻き込むのは気が引けるが、もうなりふり構って場合じゃない。ああ、安心しろ。近くで出張営業とかなんとか理由をつけて張り込んで貰うだけだ」


 「なるほどねぇ………………セルビアさん、お前には恩返ししたいっつってたし、戦わないのなら正直アリかもな………よっしゃ」




 ちょうど食い終えたコウヤは、何やら張り切った様子で立ち上がった。




 「そんじゃ、俺が一肌脱いでやる。まぁ俺ほどの上客ともなれば無視できないだろうしな。それで、どうする? 早速頼みに行くか?」





 自信満々なこの顔。


 頼もしい限りだ。

 こいつはあのキャバ………ではなく、カフェを自称する居酒屋の常連客なだけあって、頼める自信があるのだろう。





 「ああ。すぐ行けるのなら頼む。ここは払っとくから」


 「おぉっ! マジか!? じゃあ、遠慮なくゴチになるぜ」


 「おう、じゃあそっちも頼んだ」





 こうして、コウヤは店を出ていった。

 これで一安心だ。


 人数は確保できた。

 あとはどうにでもなる。























 正直、そう、たかを括っていた。

 だから、翌日コウヤから聞かされた事に度肝を抜かされることになる。




 結果だけ言うと——————セイレーン達は、一切の協力を拒んだ。


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