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第83話


 胡散臭い。

 直感的にそう思った。


 「そちらのお兄さんも遊ばれていきますか?」


 多分俺がギルドマスターの知り合いだと知って誘っているんだろう。

 だが、懐が寂しい俺に遊ぶ気は無かった。


 「ん、俺今持ち合わせないから」


 俺がそう言うと、


 「おお、じゃあ俺が貸すからやってみろ」


 ダグラスはそう言うと、手元のカバンから金貨を10枚出した。

 と言うかまだ持ってたのか。

 

 「いいのか? こんな大金」


 「良いんだよ。どうせギルドの金だ。そのうち戻しときゃ何とかなる」


 こいつ思ったよりヤバいな。

 マイが苦労するわけだ。


 「全額無くしたら、タダ働きしてもらうからな。SSランクだ」


 「了解」


 「うっし、これで損失分は回収確実だ。なんせ俺が一度も勝てないんだからなぁ」


 「!」


 なるほどな。

 決まりだ。

 俺は半裸のおっさんと席を変わった。


 「お手柔らかに」


 と、とりあえず言った。


 「ええ」


 そんな気はさらさら無いくせに。

 さて、ダグラスに何倍にして返してやろうか。










———————————————————————————










 賭けたのはとりあえず金貨一枚。

 後のことを考えてまずは様子見だ。

 俺はカードを渡され、ひっくり返して見てみた。


 「………」


 ワンペアか。もうちょっと欲しいな。


 「交換されますか?」


 「ああ」

 

 俺は手札のワンペアになってるカード以外を全て交換した。


 「………」


 来た、フォーカードだ。

 思わぬラッキーが来た。

 おっと、表情は崩せない。


 ま、勝負はここじゃないけどな。


 俺は目の前の男を見た。

 やってるはずだ、イカサマ。

 全勝は調子に乗りすぎたな。

 そもそもポーカーで全勝なんてあるわけがない。


 「如何されました?」


 「ちょっと自信があったからな」


 「へぇ?」


 さて、仕掛けはどこかな?


 俺はまず男の目を見た。

 それとなく視線を外している。

 何を見ているのだろうか。


 「では私はこのままで」


 「オッケー、それじゃあ見せるぞ」


 俺は男に手札を見せた。


 「2のフォーカードだ」


 「残念、私もフォーカード。それもAの」


 テーブルの上にカードを置いた。


 「あちゃー、負けか」


 俺はチップを全て渡した。


 「続けますか?」


 「もちろん」


 






 その後も1枚ずつかけていくが、全て負けた。

 イカサマは確実だ。

 ここまででわかったのは、こいつは俺のギリギリ上を狙って勝っていると言うことと魔法具を使っていることだ。

 しかし、ここでこいつのイカサマを明らかにしても俺に金が入るわけじゃない。

 なので、あくまでもイカサマを使わせたまま戦うことにした。


 「よし、次が最後だ」


 ここで勝負をかける。


 「おっさん、有り金全部寄越せ」


 「全部ゥ? おいおい勝てんのかよ」


 「次は勝てる。それは間違いない」


 「負けたらわかってんな?」


 ダグラスはニヤニヤと笑っている。

 恐らく全力で俺をこき使うつもりらしい。


 「良いぜ? SSSでもやって来てやるよ」


 「よっしゃ! ボウズ、お前にこれを託す!」


 ダグラスは金貨500枚を出した。

 ついに桁が変わった。

 日常的にこんなことやってんだろうなー。


 「流石に多少は自腹を切ってある。だが遠慮するこたぁねぇ。一気に使え。ガッハッハッ!」


 ダグラスは豪快に笑う。

 半裸で。

 ここまで金があるのなら半裸にならなくても良いだろうに。

 ノリでやっちゃったのか。


 「オッケー」


 俺はドンッ!とテーブルに全て置いた。


 「ベットは全額。金貨500枚だ」


 歓声がちらほら聞こえる。

 流石に一気に500枚賭けする奴はそこそこ珍しいのだろう。


 「ほ、本当に全て賭けられますか?」


 「もちろん、それじゃあ始めようか」


 男はゴクリと唾を飲んだ。


 「では、行きます」


 男はカードを俺に配った。

 すかさず魔法を使う。

 この前覚えた芸術魔法だ。


 芸術四級魔法【ペースト】

 表面にイメージを貼り付ける魔法だ。

 イメージ通りに貼られるので、間違えるとバレるが、トランプの絵柄は完璧にイメージ出来るので問題は無かった。


 「んじゃ」


 俺はひっくり返した。

 本来のカードではスリーカードになっている。

 しかし、ペーストで貼られたカードには役なしに写っている。


 「………」


 ほんの少し。

 わかるかわからないか程度にマズそうな顔をする。


 俺は5枚枚中2枚を交換する。


 魔法具は2つ使っている。

 一つは【ペースト】の魔法具。

 もう一つは、魔力遮断の魔法具。

 魔力遮断に使われている魔法は、消滅魔法の【キャンセルチャーム】

 魔力感知を防ぎ、不意打ちをするのに使う魔法だ。

 条件は色々ついているが、クリアすればそこそこ使える。

 条件の一つに、発生源を直接見られないことと言うのがあるが、それはテーブルで隠してあったのでクリアされていた。

 ちなみに俺も同じことをして【ペースト】を使っている。

 俺がタネがわかった理由は、ただ単に鑑定を使って魔法具を探したからだ。

 本気で感知しても見つかっただろうが、鑑定の方が早いし楽だったのでこっちを使った。


 そしてカードが帰って来た。

 カードはフルハウス。

 だが、見えているのはツーペアだ。


 「勝負」


 「はい」


 俺は同時に魔法を解除した。


 「!?」


 男が面を食らったような顔をしている。

 わけがわかってないようだ。

 男の手札の役はスリーカード。

 つまり、


 「はい、俺の勝ち」



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