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第816話

先日は突然休んでしまい、申し訳ありません!!(>_<)

少しばかり年末年始は立て込みそうなので、1月半ばまではもしかするとあと数回こんなことがあるかもしれません。ですが、可能な限り連載は途切れさせないつもりですので、どうか今後ともよろしくお願いします!!

2020/12/16


 突然シェリアに勝負を挑まれた俺は、とりあえず話を聞くために、そのもう一人の待つ厨房へ向かう事になった。

 



 「勝負………格闘するわけではない、という認識でよろしいですか?」


 「そりゃそうだよ! 私さっき見たよっ!! 大旦那様の投げてたナイフ、ものすっごい速さで後ろから飛んできたのに軽々取ってたよね! 」


 「はは、ほんの嗜みです。執事たるもの、いざという時に主人を守らねばなりませんから」




 という事にしておこう。

 基本的に、あいつはその辺の奴よりもずっと強い。

 それはもともとだが、初めて会った頃よりは間違いなくレベルが上がっている。


 ただ、先の戦争で、そのミレアとラビはほとんど役に立てなかったとしばらく気にしていた。


 ここにいる間も、二人とも訓練をつけて欲しいと言っていたので、可能な限り能力の底上げはするつもりだ。




 「それで、そのもう一人というのはどんな方なのでしょうか?」


 「………うーん、何というか………私も立場上色々言えないんだけど………」


 「?」




 どういう事だろうか。

 上級使用人か何かかという事だろうか。

 確かに、直属の上司にはいろいろと言いづらいだろう。

 だが、こいつの上司はここに来てすぐ並んでいたメイドの中にいた。

 既に一言二言言葉を交わしているが、そこまで何かを気にする必要な雰囲気はなかった。


 まぁ、どの道すぐ会う事になるので、考えるのはやめた。


 そうこうしているうちに厨房は目の前だったのだ。

 




 

 「さ! 厨房に到ちゃ————————————」













 瞬間、周囲を取り囲むように魔力の発生を感知。




 ………いる。




 意識は、コンマ数秒も置く事なく、戦闘態勢に移行。

 炎五級、雷四級、距離およそ5m。




 術式解析——————







 「………………!!!」






 ——————破壊。


 何者かの息遣いが聞こえる。

 漏れでる驚愕と、増した敵意を、つよく感じる。



 しかし、まだ終わらない。

 前方からシェリアを狙って“影”が複数迫る。

 




 「わっ…………!?」





 俺は瞬時にシェリアを引っ張りつつ、影の位置を目視。

 そして、思わず眉を潜めてしまう。

 何かわかった瞬間、壊すわけにもいかなくなった。


 位置は確認済み。

 威力を計算し、構える。



 刹那、小さな風がそっと肌を撫でながら俺を包んだ。

 それは一点に収束し、はっきりと形を作ると“影”をそっと受け止め、俺の手に運んだ。





 「っと………」




 投げられたのは、なんと皿であった。

 確認したが割れていない。

 よし、と一瞬思っていたが、あまりいい気分ではない。

 どうやら俺は、ケンカを売られているらしい。




 「お怪我は?」


 「あ、へっ、どどっどういたしましたっ!?」




 色々とパニックだな。

 まぁ無事なら何でもいい。


 俺の視線は自然と、その扉の奥に隠れているやつの方を向いていた。




 「申し訳ありませんが、お姿を見せていただいてよろしいでしょうか? 屋敷を汚すわけにもいきませんから」





 さて、いきなりケンカを売ってきたのはどこのどいつだ。

 文句の一つぐらい言ってやろうか。



 そう思っていたのだが、顔を見かけた途端、そんな考えをかき消されるほどの衝撃が走った。






 「………………そう、なかなかやるみたいね」


 「………………………!?」






 とても召使いとは思えない服装。

 特徴的な金髪縦ロール。

 どことなく滲み出た貴族感特有の、身分の高い者の太々しい態度。

 そして、見知った奴をそのまま成長させたような、その容姿。




 間違いない。




 この女、ミレアの母親だ。






 「おっ、奥様!? ななな、何をなさっているのですか!?」



 大きく目を見開き、引きつった声を出すシェリア。

 

 ちなみに俺も驚いている。

 ミレアから豪快な性格だとは聞いていたが、想像以上。

 この女、結構無茶をするらしい。

 あのミレアの母とは到底思えない。





 「ごめんなさいね、シェリア。一応貴方にぶつかりそうなら止めるつもりだったけれど、そこの男が想像以上に動けたものだからつい、ね? それで、貴方が娘の執事をやっている子かしら?」




 一応、挨拶はしておくか。





 「ワイズ・ホリィと申します。ご存知の通り、今はミレアお嬢様の執事を仰せつかっております。どうぞお見知り置きを」




 「ふぅん………そう………大したものね。男でありながらあの子に取り入ったことは素直に認めましょう」



 何となく、節々にトゲを感じる話し方だ。

 何か気に食わないことがあるだろうのか。

 豪快だとさっきは思ったが、そうじゃないのかもしれない。






 「気に食わないわ」








 ………は?


 と、危うく声が出るところだった。




 「理由をお聞きしても?」


 「私のものに取り入って、気に入られているのがとても気に食わないわ。こうならない為に、あの子には男がどれほど恐ろしいか教えていたのに………………」





 グッと強く拳を握り込んで、ワナワナと震え始める。

 

 衝撃の事実だ。

 俺はてっきり、爺さんかラークのせいで男に対するトラウマを植え付けられたのかと思っていた。



 こいつだったのか。



 何となくわかった。

 豪快と言う言葉の意味が。

 

 確かに豪快だ。

 我を通すと言う意味では、これ以上なく。

 まさに傍若無人。



 この女は多分、凄まじくわがままな女なのだ。






 「私ミレーユ・ロゼルカは、ワイズ・ホリィ!! 貴方に決闘を申し込むわ!」


 「私もいますよっ!!」





 場合によっては負けてもいいと思ったが、これは、負けるわけにはいかなくなりそうだ。

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