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第8話


 転移先は高そうなものばかりで囲まれた豪華な部屋だった。

 恐らく王城の、それも王座の間だ。

 明らかにそれっぽい椅子あるし。


 「やったぞ! 成功だ!」


 周りには日本語ではない言葉で喜んでいるローブをまとった男たち。

 神の知恵のお陰で向こうの言語は知っているが向こうは日本語を理解していないだろう。


 「大丈夫か? 何を言っているのかわからない上、子供じゃないか」


 子供というのはもちろん俺たちだ。

 全員同時にここに転移した模様。

 実に1年ぶりのクラスメイト。

 みんないつもの制服とは違う服を着ている。

 外見は個人差があるが多少変わっている奴もいる。

 それでも雰囲気に大きな変化はない。

 

 「久しぶり!」


 「よぉ! 元気だったか」


 「なんか懐かしー!」


 「同窓会っぽい!」


 「へへへ、どうだったよ修行」


 中身はただの高校生のままだ。

 まあ、共同生活をしていた連中を除けば久しぶりの人だ。

 はしゃぐのもわかる。

 俺に関しては一人だったわけだし。


 「あ!」


 聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。


 「ケンちゃんだ!」


 琴葉だ。

 髪が伸び、少し大人っぽくなっている。

 本人に言ったら調子にのるので言わないが。


 「ん、久しぶりだな。相変わらずのアホヅラだ」


 「もう! ちょっと何かこう……ないの!」


 このやり取りもしばらくやってないなと思うと感慨深いものがある。


 「やれやれ……久しぶり、琴葉」


 「久しぶりー! ケンちゃん!」


 飛び込んでくる琴葉を躱し、首元を摘む。


 「ぐえ」


 服の作りのせいで首が絞まったせいで変な声が出ていた。


 「あ、わりー」


 ボコボコ殴ってくる。

 攻撃力が上がってるのか衝撃がかなり強めだ。

 防御力のせいで全く痛くないが。


 「相変わらずだな。ケン」


 「お前もな、レン」


 蓮はさらに背が伸びていた。

 もう何頭身だ? こいつ。


 「修行はどうだったよ」


 「やれるだけはやったさ。そう簡単に死にはしないよ」


 「へぇ」


 「あ、そうそう」


 あ、表情が変わった。こいつ去年の覚えてやがる。


 「ま、待て、その顔やめろ」


 「本当にお前というやつは………ま、今回は大目に見るよ。お前が行ってなかったら俺が行くつもりだったからね」


 以前より迫力がある。

 こいつも強くなったんだろう。

 試しに鑑定してやろうかと思ったがやめておく。

 多分ここの王がやってきて話を始める頃だ。

 奥から足音が聞こえる。

 現れたのはどこか風格のある若い男だった。


 「おい見ろよ、王様だぞ、王様」


 「すげぇ、本物だ」


 「若くね?」


 「あの服高そー」


 好き放題しゃべっていた。

 周りの兵隊は言語が理解出来ず戸惑っており、王は怪訝そうな顔でこっちを見ていた。

 すると、近くの付き人を呼び、


 「あれを持ってこい」


 「はっ」


 あれ、というのは翻訳石のことだろう。

 あらゆる言語を即座に訳す魔法具のことだ。


 


 しばらくして付き人と兵が持ってきたのは青い石のついたネックレスだった。

 あれが翻訳石だ。


 「蓮、あれを取りに行くぞ」


 「もう琴葉が行ってるよ」


 まじか。

 こういう時、琴葉は行動力がある。

 

 「はいこれ。何に使うのかな?」


 「翻訳だと思うよ。ここの人たち俺たちの言葉とは違った言葉で会話していたから」


 「お、やっぱりお前はそう思ってたのか」


 「うん」


 「へー、じゃあこれ、ほんやくこん○ゃくみたいなものなのかなっ!」


 「ああ、多分な」


 一応多分と言っておく。


 「ニャ゛ー!」


 「うおっ! どうした一体」


 七海が騒いでいた。


 「着けづらい! ケンケンこれ着けてー!」


 どうやら七海がネックレスを着けるのに時間がかかっていたらしい。

 お前一応女子だろ。


 「わぁーったよ。大人しくしろ。……ほらよ」


 「わー、サンキュー!」


 はしゃいでいる七海。

 その横でジト目で見ている琴葉と涼子。

 こっち見んな。


 「私も!」


 「………」


 琴葉はせがみ、涼子は無言で要求してくる始末。


 「だー! もう待っとけ!」


 


 テキパキと作業を終わらせる。

 

 「わーい、ありがとー」


 「ありがとー」


 「白々しいな!」


 なんかもう疲れた。


 「あらぁ? 聖くん。久しぶりぃ」


 この先生は全く変わったところがないというくらい変化がなかった。

 服ぐらいだ。


 「ああ、久しぶり。去年は助かった。アンタが回復してくれたおかげで何とか無事だ。ありがとな」


 「うふふ。生徒を助けるのは先生として当然。でも、どういたしまして」


 

 ところでこいつは一体誰と組んでたのだろう。さしあたって思いつくような奴はいないが……


 「先生は俺と綾瀬とグループだったよ」


 「出たな、サトリ。心を読むんじゃねーよ、蓮。綾瀬って学級委員のあいつか」


 綾瀬 優。

 眼鏡をかけロングヘアーといういかにもな学級委員。

 中身もそのままで、真面目ちゃんだ。

 成績はいつも俺に次いで2位で、凄い敵対視されている。

 ただ、勉強以外ではそこまで何も言ってこないし、割と話したりもする。

 本人曰く、


 「ヤンキー? 知らないわよ。頭金色なだけでしょ。別に何とも思わないわ。自分から悪いことしてるわけじゃないしね。それより! あの金ピカが私の上をいってるのだけは我慢ならないわ!」


 とのことだ。

 俺も特に嫌いではない。

 むしろ好印象な方だ。

 トモにはクラスメイトはどうでもいい的なことを言ったが、数人は好印象なのもいる。


 だが綾瀬よ、俺は神の知恵を手に入れちまったから多分もうお前勝てんぞ。








 もう少しして、全員が付け終わると同時に、上で王が話す準備を終えていた。


 「控えよ! 王の御前だ!」


 生徒たちはどうしていいかわからずオロオロしながら前を向いた。

 俺は一応作法を知っているが面倒なのでパス。


 「貴様ら……」


 「良い」


 この王は俺たちがそんな作法とは縁もゆかりもないところから来たと理解しているのだ。


 「余がこの国の王、アルスカーク・ミラトニア九世である。異世界の来訪者たちよ。まずは遠路はるばるご苦労だった」


 器の大きいやつだと感じた。

 恐らくここの人がこんな態度をとったら即、首を刎ねられるだろうに。


 「余がお主らを呼んだのは他でもない。勇者として戦ってもらうためだ。無論、戦闘を含め、様々な面で国を挙げて援助していく次第である」


 国を挙げてときたか。

 よほどこの戦いが重要らしい。


 「どうか、よろしく頼んだぞ」


 返事をすべきかどうか迷っていると、


 「返事をせぬか!」


 と、強面の兵士に怒鳴られた。


 「良い、ルドルフ」


 「はっ」


 ルドルフと呼ばれた兵士はそれ以上何も言ってこなかった。


 「あのー」


 生徒の一人が手を挙げた。


 「何だ」


 王直々に返事をした。


 「国を挙げて援助をすると仰りましたよね?」


 「不満か?」


 「いいえ! 滅相も無いです! ただ……それって“無能”も、ですか?」


 こいつまさか……


 そう思い顔を見てみた。

 もう誰だかわかるだろう。

 石田だ。

 去年のグーパンをまだ根に持っているらしい。


 「詳しく」


 「この中の全員は神から授かった特別なスキルがあります。例えば僕が持っているスキルは【衝撃】と言って、殴ったものに伝わった衝撃を何十倍もに膨らませることができるというスキルです」


 「ほう」


 「僕の持つスキルはこの中で三番目に強いスキルです」


 こいつ、自分が同じSSの中では最強って思ってんのか。


 「他のみんなも僕ほどではないにせよ特別な力を持っているのです、が! 一人だけ神から見放された男が、あの男がいます!」


 

 俺は王様にわからないように、


 「指差すな殺すぞ」


 と日本語で脅してみる。


 だが、本人は強がりを言っていると思っているらしく、かなり余裕の顔だ。

 ちなみにこいつは馬鹿っぽいのでそれを王に告げ口するということまで頭が回らないのは予想済みだ。


 「お主、それは真か?」


 ここで嘘を言うのは逆効果か。


 「ああ。俺はスキルを持ってねー」


 兵たちがざわつく。

 その事実もそうだし、俺の言葉遣いのも文句があるらしい。


 「ふむ……」


 さーて、どう出るか。

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[気になる点] 石田くんのスキル名が変わっている! 増幅から衝撃に!
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