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第79話


 リンフィアを説得した後、ニールの装備の試運転をしようと思っているところだった。


 「最後はニールなんだが………」


 「あの程度の雑魚なら無強化のままでも瞬殺できる」


 「まあ、そうだろうな」


 あれじゃストレッチにもなりはしない。

 こいつに見合った敵か。

 そうだ。


 「じゃあ俺と戦うか?」


 「ほう? 私にお前をボッコボコにする機会をくれるという訳か?」


 「はっはっは、ほざけ。やれるもんならやってみろ、アホが」


 ブチッという音がした気がした。


 ニールはクルッと回って頭を下げた。


 「リンフィア様、私めにこの男をぶち殺す許可を下さいませ」


 「もう、あまり物騒なことは言わないで下さい。でも、本気は出してもいいじゃないですか? アホなんて言われたんだから怒ってもいいですよ」


 「ですよね! ありがとうございます! ではラビと一緒に少々下がっていて下さい」


 「そうですね。いこ、ラビちゃん」


 リンフィアはラビを連れて少し遠くまで離れた。


 「さてさて、ケン。お前は一度潰しておかないと駄目だと思っていたのだ」


 「へぇ? それまた何で?」


 「それは………お前がリンフィア様と仲良くしているのが気にくわないからだっ!」


 くわっ! という擬態語が付きそうな顔でそう言った。

 それにしてもこいつも拘るなぁ。

 どんだけ大好きなんだよ。


 「特に! そのリフィ呼ばわりが一番ムカツク!」


 「だったらお前もそう呼べばいいじゃん」


 「断るッ!」


 「いや何でだよ!」


 訳のわからんやつめ。


 「お前と被ってるからだ!」


 ビシッ! と指を指してきた。


 「へーへー、そうかよ」


 なんて面倒なやつなんだ。

 名前一つで大騒ぎしやがって。


 「そんじゃいつでも良いぞ。寸止めルールな」


 寸止めルールと言うのは、だいたい一撃でやられるであろう場所を当てる寸前まで持っていったら勝ちというルールだ。


 「わかった………ハァッ………!」


 魔力を新装備に流し込む。

 その瞬間、一級強化魔法【クインテットブースト】が発動した。


 途端にニールから只ならぬ圧が溢れ出た。


 「………」


 初めて感じる一級魔法の力。

 ニールは不思議そうな顔で自分の体を見ていた。


 「どうだ? これが一級魔法の力だ。じゃあ、来——————」


 

 ビュンッ



 「!!」


 ニールは俺の背後まで一気に飛んだ。

 そして、


 「ズァッ!」


 鋭い一撃を放つ。

 とりあえず強化は無しだ。


 俺は、刃を滑らせ、攻撃を逸らす。

 そのまま右脇腹にできた隙を狙う。

 しかし、


 「させん!」


 ニールはもう一本の剣を抜き、攻撃を防ぐ。


 「今回はこっちか………」


 ニールは双剣と大剣を使う。

 双剣はリンフィアから貰った武器なので愛用している。

 現に今も使っている。

 しかし、本気で戦う場合は大剣を使い、覚醒半魔となって戦う。


 「おいおいそっちで良いのか?」


 「フンッ、お前なんぞ覚醒半魔にならずとも勝てる」


 「その割には無強化の俺に一撃も与えられてない様だが?」


 「ッ………!!」


 おっ、強くなった。


 しかし、俺も人のことは言えない。

 流石にこのままだと防戦一方だ。

 だが、まだだ。

 無強化でどこまで勝てるのか知りたいのだ。


 「だっ!!」


 俺はその一撃を防ぐが、少し弾き飛ばされた。


 「くーっ! ジンジンくるな! やっぱこうだよな。楽しくなって来やがったぜ」


 「チッ、なんて奴だ。無強化でここまで食らいつくとは………」


 だが、俺は防御に完全に専念しないとやられてしまう。


 「少し上げてくか」


 俺は、ソロブーストを使った。


 「よっしゃ。第2ラウンド開始だ」


 俺は飛び出した。

 これなら攻撃も可能。

 頑張れば勝てなくはない。


 「セァッ!」


 斬る。

 弾く。

 躱す。


 まだ攻撃の割合は少ないが、だんだん慣れて来た。

 だが、決定打に欠ける。


 「やっぱ強ェな………危ねッ!」


 つい体を横に大きくのけぞらせた。


 「うわ、やっベ………」


 「隙………有り!」


 ニールはそのまま左右の剣で挟み込むように攻撃をした。


 「クッソがあああ!」


 足を振り上げ、ニールの腕に絡みつける。

 そこを軸に回転し、下から出ている剣を自分の剣に当てつつ、体が外に出るように滑らせ、押し出されるようにして、ニールから離れた。

 ちょうど、指で柔らかいボールをつまむと、外に押し出されるような感じだ。


 「ふぉおおお………今のはやばかった………」


 「なっ………! クソッ!」


 ニールが同じように体を弾こうとした。

 が、


 「二度も喰らうほど馬鹿じゃない」


 俺は全身で受け止め、その力を利用し、逆に弾き出した。


 「くっ!」


 しかし、そのまま素早く後ろに飛ばれたので、追いつけなかった。


 「はっはっは、仕返しだ。力だけが全てじゃないんだぜ?」


 「知っている!」


 ニールは縦横無尽に飛び回り出す。

 いつぞやのダグラスの攻撃と同じだ。

 しかし、あれとは比較にならないくらい速い。


 「さーて、どうすっかな?」

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