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第78話


 「ケンくん、魔石回収してきました!」


 魔石12個。

 クエストはこれでクリアだ。


 「おう、お疲れ。無傷で生還とはなかなかやるじゃねーか」


 「あの武器のお陰ですよ。あれ無しじゃ勝てなかったです。何匹かは倒せたと思いますけど」


 「でも勝ちは勝ちだ。それにあれを使いこなすには魔力が多いやつじゃ無いとダメなんだよ。同じランクの奴なら間違いなく使えないって断言できるぜ」


 現在のリンフィアのMPは3200。

 順調に増えている。

 普通このくらいになると停滞するものだが、リンフィアにはそれが無い。

 やはりとてつもない潜在能力だ。


 「やっぱり私の手に余るんじゃないかなーって………」


 「不公平だって思うか?」


 「ほんのちょっとですけど」


 人のいい奴だ。

 でもこの考えはちょっと良くないな。

 

 それじゃあ、


 「じゃあ撃ってみろ」


 「え?」


 「だから、俺に撃ってみろ」


 俺は手を広げてそう言った。

 するとリンフィアは不安そうな顔になって、


 「正直に言いますけど、この距離だと当たっちゃいますよ?」


 「さーてどうかな」


 俺はアイテムボックスを使った。

 中から練習用の剣を出した。


 「あ、いつものと違う」


 「ありゃ本番用だ。こっちは練習用」


 「普通逆なんじゃ………」


 「いいんだよ。俺はあれが良いんだ。壊れてもベースは絶対あれを使うって決めてる」


 ガキの頃からの愛刀。

 俺の相棒だ。


 「それよりさっさと撃ってみろって」


 「………」


 「じゃあちょっと貸せ」


 俺はリンフィアから銃を奪ってニールに渡した。


 「使い方は解るだろ?」


 「ふー………良いんだな」


 「オッケー」


 ニールは俺に銃を向けた。


 「ちょっ、ニール!」


 リンフィアは慌てて止めようとしたが、



 ヒュンッ




 もう撃っていた。

 

 銃弾は風を切り、物凄い速度で俺に向かってきた。

 普通、銃に撃たれたら人間は反応さえできずに当たってしまう。

 しかし、俺たちはとっくにその普通からは外れた身体能力を有している。

 100人力という言葉が比喩にならないどころか、それよりもずっと強い力を持っている。


 故に、



 スパッ




 「!?」


 銃弾は真っ二つに斬れてそのまま飛んでいった。


 リンフィアは信じられないものをみた様な表情をしている。


 「言っとくが、Aランク以上の奴ならこれは可能な芸当だ。流石に強化無しじゃ無理だろうけど」


 俺はニールに手を振った。

 手に持っている銃を投げて渡してくる。


 「ちなみにニールも出来ると思う」


 「で、出来るんですか?」


 「まあ、恐らくは………可能です」


 恐らくと言っているが、確実に出来る。

 こいつならギリギリ強化無しでも出来るだろう。


 「お前な、これはそんな最強武器でもなんでもないんだぞ? 今みたいに斬られたり、逸らされたりしたら意味がない。それにこれよりも速くて威力の高い魔法も存在する。お前がそれをまだ使えないのを考えてこれを作ったんだ」


 銃も強いことは強いだろう。

 魔法武器としてはこの世界に存在する武器の中ではかなり上位に位置すると思う。

 しかし、


 「あくまでも使うのはお前だ。そういう武器の運用の上手さも当然実力に入ってくる。だから何にも気にする必要はない」


 「はぁ………」


 「リンフィア様。武器を活かすも殺すもご自身次第です。此奴の言う通り、使うのはあくまでもリンフィア様なのですから。この男もあれだけの力を何の気兼ねもなく自由に使ってるでしょう?」


 「ぬ………」


 ずれてる様で、実は的を射たことを言っている。

 こいつは知らないだろうが確かにこれは貰いもんの力だ。

 だが、だからこそ自信を持って言える。

 ここまで強くなったのは確かに神の知恵のお陰だ。

 しかし、そうしたのは俺自身だ。

 だから誰が文句言おうが関係ない。


 「結局強いか弱いかはお前次第。いわばこれは目安だ。これを使うに足る力をつけりゃ誰も何も思わねぇよ」


 「そう、ですかね?」

 

 「そうなんだよ。むしろなんでそこまで悩むのかが疑問だ」


 たかが武器でそこまで騒ぐ奴がいたらそれこそ気にしなくて良いだろう。


 「だって、ズルくないですか?」


 「は?」


 「今度もお祭りの時に使うんですよね。こんな武器があったら本来私じゃ倒せないモンスターも倒せちゃうと思うんです」


 「………」


 呆れた奴だ。

 頑なにだったのはその為だ。


 「………なぁ、こいつこんな頭固いの?」


 俺はこっそりニールに尋ねた。


 「………失礼な事を言うな。だが、リンフィア様が頑固なのは否めん」


 「………だってこんなのズルでもなんでもないだろ。それならSランク以上でガチガチに固めてるダグラスのおっさんの方がよっぽどセコイじゃん」


 「………私もそう思うが、ああ見えてリンフィア様は結構そこ辺りをこだわっておられるのだ」


 そこまでなのか。

 これは矯正する必要がありそうだ。


 「リフィ」


 「………はい?」


 「バカ」


 その後、脳をフル回転させ完全に説得させることに成功した。

 が、今後もこの頭の硬さを思うと、頭が痛くなる。

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