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第77話


 「撃ちます!」


 リンフィアは正面にいたスノウウルフ2匹に銃を撃った。


 「ギャン!」

 

 1匹にはヒット。

 もう1匹には当たらなかった。

 しかし、衝撃でダメージを負った様子。


 「あっ」


 初心者はそう簡単に当てられない。

 当然だが、戦ってる以上相手は動く。


 「ッ!」


 2、3発撃つが、動きながらだと手がブレて弾が逸れてしまう。


 「ウォッ!」


 攻撃が当たらないでいると、今のうちと言わんばかりにスノウウルフ達が接近して来た。

 

 「当たらない、もっと近づかないと………いや、それじゃ私が衝撃を喰らうし………」


 接近のし過ぎは自滅に繋がる。

 しかし、その必要はないと思う。


 「しゃーねーな」


 アドバイスをやるか。


 「リフィ!」


 リンフィアはこっちを向いた。


 「動かなくて良い。止まったまんま撃て。まだ慣れてないのにいきなり難しい事すんな。ある程度の範囲に入れば絶対勝てる。その位置で十分だ」


 「動かなくて良い………」


 「うまく戦え。そうすりゃ瞬殺だ」


 リンフィアは考えた。

 考えることは大切だ。

 扱っているのは未知の武器。

 考え無しにバンバン撃っていたら勝てるものも勝てない。


 「うまく………あっ!」


 この銃の場合、当てるだけが攻撃ではない。

 発生する衝撃も十分威力はある。


 「そういう事ですか。試してみます!」


 リンフィアは群れの右側に狙いを定める。

 引き金を引いた。


 「バウッ!」


 衝撃とともに雪が跳ね上がる。

 轟音と衝撃に警戒したスノウウルフ達は衝撃から逃れるために左側に逃げる。


 「もう一発!」


 そして、その方向へもう一発発砲する。

 再び雪が跳ね上がった。


 「もっと狭めて………」


 左右にスノウウルフ達が逃げた方向へ撃つ。


 






———————————————————————————







 「これは………」


 ニールはリンフィアの意図がわかった様だ。


 「気づいたか? あいつもなかなかやるもんだろ?」


 「あのリンフィア様が………」


 「今更だろ」


 俺はそう言いながら笑った。

 しかしこいつはリンフィアと付き合いが長いと聞く。

 思うところがあるんだろう。


 「この一週間戦うところ見てきたが………」


 「意外か?」


 確かに初期のステータスは戦いとは縁のないような人間のステータスだった。

 魔王といえど、あれではただの女の子だ。


 「意外………そうだな。今までそういう姿を見たことが無かったからそう思ってしまう。だからこそ私が守ろうと強くなったんだ」


 「魔王があそこまで戦えないのは気になるけどな」


 「それは私も聞かされてない。ただ、先王がリンフィア様だけは戦わせない様に注意を払わられた気がする」


 ますます気になるな。

 先代魔王、リンフィアの父いや、母か?

 その辺りはまだ聞いたことがない。


 「戦わせないようにか………」


 「だが、私は戦えた方がいいと思う。いざという時にご自分で身を守る手段があった方がずっと良いに決まっている。私は間違っているのだろうか?」


 「さーな。でも、そういう理由云々を退けても、あいつ自身強くなりたがってるし、向上心もある。だから、これで良かったンだよ」


 きっと理由はあるんだと思う。

 だが、今あいつは魔王という役から解かれ、ただの半魔族の女の子として生きているのだ。

 だったら本人のしたい様にさせるのが一番良いに決まっている。


 「そうか」


 「お前もあいつのしたい様にさせてやりたいだろ?」


 「フッ、愚問だな」


 「へいへい」


 リンフィアの方はそろそろシメの段階まで来ていた。


 「さーて、そろそろかな?」









———————————————————————————









 「あと1回………」


 全体を囲うことに成功した。

 少し手間取ったが、これで舞台は整った。


 「えっと、確かこうやって………出来た」


 リンフィアはリロードしてスノウウルフ達を狙った。


 「すーっ………」


 リンフィアは、生き物を殺すのは苦手だ。

 しかし、モンスターには特殊な条件下にある場合を除けば、自我はない只の魔石の容れ物だ。

 リンフィアは最近ようやくそう思える様になりだした。

 だがそれでも、動いてる時は紛れも無い生き物だ。

 だからリンフィアは、少しだけ立ち止まってほんの一瞬瞑目する。


 「………」


 リンフィアは銃を構えた。


 「うあああああああ!」


 今までやっていたのは誘導。

 前後左右に誘導して、どんどん窮屈にしていく。

 そして、そうやってギュウギュウに詰まって身動きが取れなくなったら一気に攻める。



 リンフィアは連続で撃った。

 影が見えなくなるまでどんどん撃つ。


 地面がどんどん抉れる。

 地鳴りがする程の怒涛の猛攻をする。

 1匹、また1匹とスノウウルフ達が魔石へと変わっていく。









———————————————————————————










 「はぁ、はぁ、はぁ………」


 流石にMPがすっからかんだ。

 当然だがMPは結構使う。

 いくら魔族でもここまで使うと結構しんどい。


 「疲れました………でも、」


 スノウウルフ達は全て倒した。

 リンフィアは、Dランクのモンスターの群れを一人で、それも無傷で倒したのだ。



 「やりましたっ………!」



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