第74話
ラビ達は残り6匹となってすぐ、倒したスノウウルフと一緒にいたスノウウルフをそれぞれ倒した。
「残り4匹!」
最初は10匹以上いたスノウウルフの群れも、現在では4匹。
ラビ達と同じ数だ。
「みんなかたまれ。バラバラにならなかったらかくじつにたおせる」
ラビ達は、邪魔にならない程度に間隔を取りつつ、周辺を固める。
対するスノウウルフ達は、
「グルルルルルル………」
こちらの同様に4匹が固まって、ラビ達の方を睨みつけていた。
「さいごはましょうめんからのぶつかるつもりらしい。なら………」
ラビは全員に作戦を伝える。
「じゃあ、これでいくぞ」
「「はい!」」
お互いに構えて、飛び出す準備をする。
「………」
「………」
そして、飛び出したのは同時だった。
「いけえええ!!」
「オォオオオオオオン!!!」
速度はやはりスノウウルフ達が一枚上手だ。
4匹は、隙間をなるべく開けないように一気に走り抜ける。
「ごれぞう、せんとうをつっきってくれ」
「ワカリマシタ!」
この中では唯一にタンク役であるゴレ蔵を先頭に出す。
まず、ゴレ蔵のガードで初撃を防ぎ、その隙に残りの奴らが攻撃をする。
それが最初の作戦だった。
「きた………ごれぞう、ぼうぎょ!」
ゴレ蔵は突進を真正面から受け止めた。
しかし、
「グッ………マズイ」
流石に4体同時の突進は受け切れず、そのまま倒れこむ。
しかし、ただでは転ばない。
倒れた瞬間、足払いをかけて、2匹転ばせた。
「いま!」
転けなかった2匹をスラ左衛門とヘビ右衛門とで相手をする。
上手くいった。
と、思っていた。
「シマッタ!」
ラビは声がした方を向くと、ゴレ蔵の足が凍っていた。
「こおりぞくせいのこうげき! まずい、しつねんしてた!」
今まで全く使って来なかった氷属性の攻撃に対する警戒心が薄れていたのだ。
凍らせた2匹は、ヘビ右衛門の方へ向かう。
「させない!」
ラビは、前に立ちはだかって身構えるが、2匹同時に来られて、対処しきれず、あっさり抜けられた。
「へびえもん!」
「くっ、3対1は………」
なんとか持ちこたえているが、徐々にダメージを負っていくヘビ右衛門。
一方、スラ左衛門は、陽動ならともかく、一対一の戦闘が苦手なため、苦戦を強いられる。
「これは少々マズイです………」
魔石解放して漸く少しリードできる程度。
しかし、その頃にはヘビ右衛門がやられてしまう。
だがラビはすでに行動していた。
「すらざえもんかわって!」
ラビとスラ左衛門の立ち位置を交代する。
「すぐにへびえもんのえんご!」
「はっ!」
これが正解だ。
「ヘビ! 背中合わせです」
「はい、姉上!」
ヘビ右衛門はそこからなんとか立て直した。
すると
「グヌヌヌ………ゴオオオオ!!!」
ゴレ蔵が凍らされた部分に氷を砕いて、動けるようになった。
「ラビ様!」
「ごれぞう! はさみうち!」
ラビがスノウウルフに突っ込んでまず攻撃をする。
スノウウルフはそれを避けて、口を大きく開いた。
「! こおり………!」
噛まれたらそこから凍ってしまう。
しかし、ラビは前に突進している。
「ゴアアア!!」
しかし、
「ゴオオオオ!!」
後ろからゴレ蔵が迫って来たので噛みつかずに、ギリギリで体を逸らし、攻撃を躱す。
ラビはその隙を狙って、後ろ足を切りつけた。
動けなくなったスノウウルフはそのまま集中攻撃を喰らい、魔石になった。
すると直ぐに、ダガーを上に投げた。
「よけろ!」
スラ左衛門とヘビ右衛門はその一言に反応し、後ろに飛んだ。
「どりゃあああ!」
ダガーを思いっきり振り下ろし、床に突き立てる。
「ごれぞうはしれ!」
ゴレ蔵は、スラ左衛門達のところへダッシュした。
ラビも、ダガーを使って高速移動。
2対3はあっという間に4対3になった。
「じゅんびはいいか?」
周りを見ると、モンスター達はゆっくり頷いた。
「いけ!」
モンスター達は一斉に飛び出した。
スノウウルフ達は固まって迎え撃とうと身構えている。
するとそこにラビがダガーを打ち込んだ。
スノウウルフ達はたちまち分断され、ゴレ蔵の所に1匹、スラ左衛門とヘビ右衛門のところに2匹分かれた。
「ラビ様、姉上達ノ援護ヲ」
「ああ!」
ラビはスラ左衛門達の援護に行った。
「すらざえもん、いっきにかたづけるぞ」
「はっ!」
2匹のスノウウルフは同時に攻撃をした。
両方ともスラ左衛門を狙っている。
「残念」
スラ左衛門は一瞬で分散し、スノウウルフが通り抜けた瞬間に元に戻りヘビ右衛門と共に攻撃をする。
「「セイッ!」」
スノウウルフは吹き飛んだ。
そしてその着地地点にラビが待機していた。
「とどめ!」
スノウウルフ達の首を掻っ切って。魔石に変化させた。
「ゴレ蔵は!」
ゴレ蔵はところどころダメージを負いながら、スノウウルフを捕獲することに成功していた。
「ゴオオオオ!!! ラビ様!」
スノウウルフを投げ飛ばすゴレ蔵。
「まかせろ!」
ラビはダガーで飛んできたスノウウルフの中心を貫いた。
最後の一匹が魔石に変わる。
雪山が途端に静かになった。
あたりから風の音が聞こえる。
ラビ達は、戦いが終わったのだと実感し始めるのだった。
「〜〜〜! かったああああ!!!」
ラビが今日で2度目の白星を挙げた。