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第68話


 「ただいま」


 7日間に渡る修行が終わり、帰り着いた。

 リンフィアに会うのも久々な様な気がする。


 「あ! お帰りなさい!」


 玄関でリンフィアが出迎えてくれた。

 7日以内には帰ってくるといったので、このくらいに帰ってくると思ったのだろうか。


 「よくわかったな。帰ってくるって」


 「いや、偶然見かけたので出迎えようと思ったんです。なんだか久しぶりな気がしますね」


 「俺もそう思ってた。まあそう感じるのは会ってからは四六時中一緒にいたからだろうけどな」


 「確かにそうですね」


 そんな感じに会話をしていると、ラビがひょっこり顔を出した。


 「リンフィアおねーちゃん、ただいまー」


 「あ、おかえりなさいラビちゃん。お師匠さんに何もされなかった?」


 なんてこと言うんだ、こいつ。


 「んー、えーっとねー」


 「おい、何かあった風の言い方をすんな」


 「じょうだんがつうじないとハゲるぞししょう………あ、おもいだした」


 お? なんだ? まさか………禿げてるのか!?


 「ししょうあたまが」


 「禿げてねーし!」


 「くろくなってる。いおうとはおもってたけど、わすれてた」


 黒?………あ!


 俺はアイテムボックスから鏡を取り出した。

 みてみると確かに所々黒になってる。


 「そうか、最近染め直してないからな」


 実はこれは地毛では無い。

 日本人なので普通っちゃ普通だが。


 「まあいいや、スプレーなら持ってるし」


 転移した時に偶然買っていてカバンに入れっぱなしだったスプレーがある。

 人生どんな偶然があるかわかんないもんだ。


 「染める?」


 リンフィアが不思議そうにそう言った。


 「こっちじゃそんな風習がないんだな。俺の髪の色は元々この色じゃねーんだ」


 「元が黒だったんですか?」


 「ああ、そうだ。ちょっとしたきっかけで色を変えたんだよ。ま、気分転換だ」


 正確には違うが、これは人に話す様な内容じゃない。

 

 「そういやニールは?」


 「ニールは奥で料理作ってます。今日はニールが当番なので」


 「とっ………!」


 「どうしたんですか?」


 いやまさか………ありえん………だがあいつならもしや………


 「と、当番って交替でやってんのか?」


 「はい」


 「ジーザスッ!」


 哀れなニール。

 ただただそう思った。

 しかし神に祈ったところで、この世界の神ってあれ(子供、しかも結構タチの悪い)なんだよ。

 忠誠心もそこまで行くと病気だ。


 「どうしたししょう、きゅうにさけんで」


 「いや、なんでもない。ちょっとばかし思うところがあったんだ………」


 「む、帰ってきたのか」


 料理を終えたであろうニールが顔を出した。


 「お前はよく頑張った」


 「なんだ気持ち悪い………」


 憎まれ口を叩かれようが一向に気にならない。

 

 「ふん、まあ良い」


 お?

 どう言う風の吹きまわしだ?

 突っかかってこないとは。


 リンフィアが寂しいと言ったことでニールは怒る気にならなかったのだ。

 俺はそれを知らない。


 「とりあえず帰って早々悪いが、髪染めたいから、ちょっと屋上行ってくる」


 「なるべく早くお願いしますね」


 「そんな時間かかんねーよ」


 よくわからないが、俺は返事をした。









———————————————————————————









 

 ケンがいない間、リンフィア、ラビ、ニールの3人で話していた

 

 「よく考えたらおねーちゃんたちとはなすのははじめてだ」


 「そうだねー」


 ラビはリンフィアの膝の上に乗っかってる。

 結構馴染むのが早い。


 「修行はどうだったの?」


 「ししょうのおかげでつよくなれた。まえよりずっとずっとつよい。ししょうが、EかDランククラスはあるって言ってた」


 その通りだ。

 各ステータスで1000を超えるものがあれば、だいたいEかDは取れる。

 実は結構すごい。

 一般の戦わない人と比べると、Fランクですら、強いと感じる。

 勇者たちは、何故かクラスメイト同士の甘い修行でも、Fランク程の強さを得ていたが、恐らく勇者達の特典みたいなものだ。

 トモがレベルを上げやすい様にしたのだろう。

 しかし神とはいえ、あまりこの世界に直接の干渉は出来ないので、それにも限度がある。

 話を戻すが、ラビは今その辺の一般人とは比べ物にならない力を持っているのだ。


 「ほう、それは凄いな。子供ながら強いと言うわけだ」


 ニールは素直に感心していた。


 「むぅ、こどもじゃないもん」


 ラビは例のごとくいつものセリフを言った。


 「かわいい!」


 リンフィアが思いっきりハグした


 「ははうえいがいにハグされるのはししょうをいれてふたりめだ」


 そのセリフでピキッ、と周りが硬直した。


 「あのロリコン………」


 ケンはニールから謂れのない怒りを覚えられていた。

 誤解である


 「ケンくんマジですか………」


 一方リンフィアはヤバイやつだという顔をしていた。

 誤解である。


 「しゅぎょうがすごいつらかったからおもわず、しがみついたんだ」


 「あっ、そうだったんだね」


 「いや、わかりませんよリンフィア様。もしあの男がロリコンだったらリンフィア様も危な………」


 ニールは慌てて口をふさぐ。

 ニールはリンフィアをかわいい妹の様に思っているのだ。

 見た目こそもう殆ど大人だが、いかんせん中身にあどけなさが残っているのだ。


 「むぅ、私子供っぽくないですよ。ほら」


 手を広げて全身を見せる。


 「みためじゃなくて、なかみじゃないのか?」


 なんの遠慮もなくラビがドンピシャで言った。

 本当に遠慮がない。


 「え!? そ、そんな!」


 がくりと崩れ落ちた。


 魔族の16は立派な大人だ。

 魔族では、10歳で大人と認められる。

 しかし、人間が20としているのは、10代ではまだ精神的にも身体的にも子供だからだ。

 こいつもまだまだ年相応、いや、それより下の年齢くらいの精神なので、正直大人とは言いがたい。


 「り、リンフィア様! 申し訳ございません!」


 ニールは顔が減り込むくらい頭を下げていた。

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