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第66話


 翌日、もうここに来て6日目。

 明日には帰るので、実質今日が最終日だ。


 俺たちは、いつもの修行場に行って修行を開始する。


 「ラビ、ステータス強化はぶっちゃけかなりキツイ。それでもやるか?」


 「やる!」

 

 「よく言った! それでこそ俺の弟子だ。いいかよく聞けよ。ステータス強化には2つの方法がある。一つは実戦。もう一つはトレーニング。どっちの方がいいと思う?」


 「じっせんのほうがいいとおもう」


 「そう、実戦だ。だがなラビ。トレーニングには裏ワザがあるんだよ」


 もう地獄だった。

 流石にそこまではさせないが、ラビもかなりキツイと思う。


 「うらわざ?」


 「ああ、それはな」


 俺はラビに一通り説明した。

 こういうのは情報漏れがあったらマズイので事細かに伝えた。




 「というわけだ」


 「ししょうへんたいだな」


 「うっせぇ! あれが一番効率が良かったんだよ!」


 「うーん、さすがにワタシはそれをやるゆうきはないな」


 当然だ。

 あんなのを進んでやりたいというのはもうネジが外れてる。

 俺が言うのもあれだが。


 「大丈夫だ。端からさせる気は全く無い」


 「じゃあ、どうするんだ?」


 「もう一つ方法がある。時間を食う上に、成長可能な上限が目指してるものよりかなり低かったからしなかった方法だ。まあ時間がかからない方法もあるがそっちは俺のと同じくらいしんどいだろうからパスだ」


 「おお、どんなほうほうなんだ?」


 「回復魔法をかけ続けるって方法だ」






 俺は説明した。


 何故これで成長出来るのか。

 まず、HPとは何か。

 それは、人間の活動エネルギーだ。

 これが多い方が活動できるし、無くなったらもちろん死ぬ。

 HPとは肉体と言う器の持つ中身なのだ。



 そして、HPはほかのステータスにも大きく影響する。

 例えば瀕死の時に、いつもと同じように動けないのはそのエネルギーがないからだ。

 マックスに近ければ近いほど、人はより動ける。

 ちなみにピンチになった時に出る火事場の馬鹿力は例外だ。

 あれは、肉体自体の持つ非常用電源の様なものだ。だから長くは持たない。

 だからこの方法でMPと運を除く他のステータスは成長可能なのだ。


 

 回復魔法とは、HPを元の状態に戻す魔法だ。

 その時その反動で、肉体には超回復に似た現象が起こる。

 器を超えようとする反応だ。

 だから肉体はそれに合わせて成長する。

 俺が利用していたのはこれ。

 残りHPが何%だ、とか、何時間必要だ、とか言うのは、そのラインが最も伸びるからだ。

 それも他とは格段に違う速度で。

 

 


 さて、ここからが本題だ。

 なぜ、回復魔法をかけ続けるとステータスを強化出来るのか。

 これは先程の肉体が起こす反応を利用したものだ。

 過剰な回復は、満タンの器にさらに中身を注ぐという事。

 すると、器はそれに見合った大きさになろうと成長を始める。

 上限があると言ったのは、身体が騙されていると理解するから。

 しかし、そうなるまでは成長を続ける。

 最高の初心者ブーストだ。



 「こんな具合だ」


 「それってやっぱりいたいのか?」


 「いや、痛くはないが、多少の違和感は感じるだろうな。過剰な回復で肉体が変化していくんだから。目に見えた違いじゃなくともその変化は結構大きいと思うぞ」


 俺は痛みでそれどころではなかったが。


 「もう一度聞く。本当にすンのか?」


 「する!」


 どうやら決まった様だ。


 「よし、じゃあ早速始めよう。目を瞑れ」


 「っ………!」


 グッと目を瞑っている。

 今脅かすといいリアクションが取れそうだが、覚悟を決めている弟子にそんなことはできないのでそれはしない。

 それじゃあまずは【ヒール】からいこう。


 「行くぞ」


 俺はヒールを連続でかけた。


 「変化はあるか?」


 「まだなにも………あーっ! きたッ………!」


 不快そうに体を揺さぶるラビ。

 感覚としては、全身に虫がくっついている様な感覚らしい。


 「我慢してくれ。それがこっからどんどん強くなっていくから」


 「ししょ………っ、めあけて、いい?」


 「開けれるか? 瞑った方が踏ん張れると思ったんだが………気を散らしたいのか。ああ、開けろ」


 ラビはゆっくり目を開けた。


 「ああああ、だいぶ、まし」


 「何かするか? あのゲームとか」


 「する」





 気を散らすために、ボードゲーム持ってきた。

 暫くやってるうちにだいぶ慣れた様だ。


 「こっちかな………やっとなれた」


 「じゃあそろそろ威力強めるぞ」


 「わかった。ししょう、じわじわこられるのはいやだからいっきに2だんかいくらいあげてくれ」


 「いいのか?」


 「うん」


 確かに、そっちの方がが早く終わる。


 「よし、上げるぞ」


 俺は、【メガヒール】をラビにかけた。




 「うひゃああああああ!!!!」


 きっと今物凄い不快感を味わってるだろう。


 「我慢できないなら動き回ってもいいぞ」


 「ゾワゾワする! わあああああ!!!」


 ラビはバタバタ走り回った。

 俺は回復魔法をかけないといけないので、それについて回った。


 そこから3時間経過。

 いまだにバタバタしている。

 俺の魔力はまだ持つが、こいつが後それに耐えられるか。




 「ししょ! さあああいだいまであげたら、どのくらいでおわるうううう!!!??」


 「2時間だが、それこそ地獄だぞ?」


 時間がかかるというのは、あくまでもメガヒールまでの話。

 それより上ではそれなりにいい時間で終わるが、もしかすると俺がした訓練よりしんどいかも知れない。


 「じゃっ、じゃあ、ししょうにしがみつかせて!!!」


 それで耐えられるのか甚だ疑問だが、


 「ああ、わかった」


 「じゃあすぐやって!!!」


 俺は回復一級魔法、ヒールオールをかけた。

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