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第61話


 「スラ左衛門、まだだ。もう少し限界まで分離をしろ」


 「承知しました………ッ!」


 ラビの次はモンスター達の訓練だ。

 こいつらはステータス面はラビの成長に合わせて伸びていくが、経験は別の話。

 なのでそのあたりを俺が補おうというわけだ。


 「スライムならスライムの特徴を生かして戦え。モンスターの中でも最弱に近いスライム。ステータスは文字通り最弱だ。しかし、その身体的特徴はそんなものを無かったことにするかの如く、生かし放題。まさに万能だ。変形、分離、吸収、他にもたくさん」


 個性を伸ばすのだ。

 弱いままでも勝てるように。

 その個性を生し、且つステータス面も強くするのが理想。

 だが、ステータス面はラビ次第だ。

 だから俺はこうやって特性を伸ばしているのだ。

 

 「分離による分身は多ければ多いほど選択肢が増える。いずれ分身から巨大化までできるようになるだろう。そうすりゃもっとスゲェことが出来るぞ」


 「なるほどッ………勉強になッ、りまする………!」


 分離の際は気が抜けないらしく、こんな踏ん張った感じの喋り方になる。

 

 「見ろヘビ右衛門。お前も素直に指導を受けやがれ」


 「シャーッ! なんで俺がそんなもんを受けなきゃいけないんだよっ!」


 一方こちらは全然いうことを聞かない。

 そんなに嫌か。

 そんな奴にはこれだ。


 「ほぉ、ンじゃ要らねンだな?」


 「何がだ」


 俺は懐からそれを出した。


 「これなーんだ」


 袋。

 布の袋のため透けたりはしないので、中身がなんなのかは誰にもわからない。

 しかし、このヘビにはわかった。

 それは、好物だった。

 俺たちには分からないが、ヘビにとっては最高の餌だろう。

 このカエルは。


 「ま、まぁ、言うことを聞いてやらなくもないかな」


 「欲しけりゃ動け」










———————————————————————————










 「おい、聞いたか?」


 「ああ、聞いた聞いた。ついにあれが来てんだと」


 「うっわ! まじかよ! 今年は如何なるんだろうな」


 「俺らも狙うか?」


 「いやいや、それは難いっしょ」


 何気ないギルド内での会話。

 しかし、心なしかいつもより騒がしいような気がした。

 その中でリンフィア達は気になることを聞いた。


 「なんでしょう? やけに騒がしいですね」


 「そうですね。少し尋ねてみますか」


 ニールはギルド職員に話を聞いた。


 「おい」


 「ニール殿、如何なさいましたか?」


 「何やらギルド全体で盛り上がってるが、何かあるのか?」


 「ああ、あれですか。はい、近々開催される祭りのことでしょう」


 「祭り………ああ、ダグラス殿が言ってたあれか? 狩の」


 「はい、それです」


 「なるほどな。教えていただき感謝する」


 ニールはリンフィアの元に戻った。


 「リンフィア様、どうやら祭りが催されるようです」


 「お祭り………お祭りですか!」


 生まれてこのかた、祭りなどのイベントに参加したことのないリンフィアは、祭りと聞いて目を輝かせた。


 「はい、このギルド本部でしか行われていないらしいです」


 「どんなお祭りなんでしょうか?」


 「狩猟、モンスター狩りです」


 フェルナンキアギルド総本部・大狩猟祭。

 これは年に一度、フェルナンキア郊外で行われるモンスター狩りだ。

 不定期に起きるモンスターバブル。

 それが何故かフェルナンキア郊外では毎年決まった日に発生する。

 理由は、そこに発生する魔力だ。

 大量の魔力溜まりから発生するモンスターバブルだが、フェルナンキア郊外ではそれが溜まりやすい場所があって絶妙なバランスで毎日増えていく。

 そのため、一定周期でモンスターバブルがやってくるのだ。


 「モンスターですか!」


 「はい、この街全体で盛り上げるので相当大きな祭りになると思われますよ」


 「わぁ、楽しみですね。参加するにせよしないにせよ、ケンくん達が帰ってきたらみんなで楽しみましょう」


 「ふふ、そうですね」










———————————————————————————










 「ラビ、お前成長早いな。B3反転して防御体制」


 「そういいつつししょうからはなされてるきがするんだけど」


 ラビは駒を移しながらそう言う。


 「はっはっは、俺に追いつこうなんざ1億年早えよ。ヘビ右衛門、手ェ抜くな。もっといける」


 「シャーッ!」


 ラビとのボードゲームをしながらモンスターの修行をしている。

 ちなみに最近別のゲームもやっている。

 こっちは面倒なので口頭だ。

 俺が敵の特徴を言って、その対策を答えさせると言うゲームだ。

 まぁ、ゲームかどうか怪しいが、ラビはそれを難なくこなしている。

 やはり才能だ。

 軍師、指揮官、司令官、そう言ったものになる才能がこいつにはある。


 「そういえばししょう、じゅうっていうのをつくらなくていいのか?」


 「ああ、あれは後でやる。いっちばん面倒なのが終わったからな。そこで要領は大体わかった」


 「おお、じゃあこんどじゅうをみせてくれ!」


 「ああ、わかった」



 その数日後、ラビ達はその威力を知ることになる。

明日は何話か投稿する予定です!


お楽しみに!

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