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第55話


 「え? 依頼書がない?」


 俺たちはギルドに帰ると、依頼書は無いと言われた。

 ちなみにマイは居なかったので別の受付で聞いている。


 「はい。そのような依頼書は存在しません。見間違いでは無いのですか?」


 「ニール、お前ちゃんと依頼書提出したのか?」


 「ああ、確かにボックスに入れた」


 「もしかして………Dランクのハードミスリルの依頼書ですか? あれはイタズラだと聞いているのですが………」


 「イタズラ………あ」


 なるほど、もうわかった。

 怪しいとは思っていた。

 こんなおいしいクエストがあったら例え攻略者がいないとしてもみんな食いつくはずだ。

 なのに、ダンジョンは誰もいなかった。

 これは誰かが俺たちにこのクエストをさせる為にボードに貼ったのだ。


 「あー、イタズラならしょうがないな。まぁ別にクリアしたわけでも無いし、帰るぞー」


 ここに来て出来た俺の知り合いは国王、一部兵士、元亜人奴隷、道具屋の親父、クソ領主、ウルク一行、ギルマス、マイ・メイ姉妹、そしてここにいる3人くらいだ。

 絡んで来た連中は除外する。

 全員これを仕掛ける動機も必要性もない。

 しかし、たった一人だけやりそうな奴がいた。


 トモだ。


 もう間違いない。

 教会に行けば確認できるが面倒なので行くつもりはない。

 なのでこの話題はここで終了だ。




 

 「リフィ、また今度改めてDランク受けようぜ。あと数回でお前も俺も昇格だろ?」


 「確かに、もうそれくらいですね。うわー、緊張します」


 と言ってるが、リンフィアの実力だったらFランクは楽勝だろう。


 「そう緊張しなくても大丈夫だろ。油断さえしなきゃ楽勝だ」


 「そうですよ。リンフィア様ならあの程度の試験造作もありません」


 ニールは一度経験してるので説得力がある。

 

 「なーなー、ワタシのぼうけんしゃとうろくしないのか?」


 「おっと、忘れてた。それじゃあさっさと済ませて宿に帰るぞ」


 この後ラビの冒険者登録を行った。

 驚かれていたが、ニールの言う通り登録はできた。

 生物迷宮も、種族は人間扱いなのでリンフィアの時のような苦労はない。











———————————————————————————









 「そんじゃ出かけてくるな」


 「どれくらいかかるんですか? その作業」


 今から俺は武器の製造をするために、街の外に出る。

 はっきりとした期間は設けてないが、恐らく一週間くらいだ。


 「んー、5〜7日くらいか? 多分そんくらいだ」


 作るだけならそう時間はかからないが、なにぶん俺も初の魔法武具の製造だ。

 色々慣れるためにも時間が欲しい。


 「わかりました。それじゃあいってらっしゃい、

ケンくん。ラビちゃんの面倒は私たちが見ますから」


 「あ、それなんだが、あのチビはちょっと用があるから連れて行く」


 「えっ!?」


 「えっ、てなんだよ」


 「ケンくんに子供の面倒を見れるんですか? それも女の子の」


 「できるっつーの。出来なきゃ引き取ってねーよ」


 それに師匠と呼ばせてる以上いきなり預けっぱなしってわけにもいかない。


 「………手を出したりは………」


 「しねぇよ!」


 こいつ俺をなんだと思ってんだ。


 「ししょう! いくぞ!」


 奥から現れたラビがそう言った。

 それは俺のセリフである。


 「へいへい、んじゃ、あとはよろしく。ニールにも言っといてくれ。それと、お前も訓練を怠んなよ」


 「はーい」









———————————————————————————








 「おお、ここがもりか」


 「いやお前山降った時散々森の中にいたろ」


 「あれはやまだ」


 かなり面倒な屁理屈だ。

 似たようなものだろうに。


 俺たちは、以前ニールが使っていた洞窟を拠点にして一週間過ごすことにした。


 「うわ! なんだあれ! ししょう、あそこすごいことになってるぞ!」


 ラビは俺が更地にした森の後を見て叫んでいる。

 

 「あれは俺が前来た時にやった戦闘痕だ」


 「ししょうがやったのか!? すごいなししょう!」


 無邪気にはしゃいでる時は可愛らしいんだけどなぁ。


 「はしゃいで転けんなよー」


 「もー、こどもあつかいするな!」


 知ってるか? 子供扱いするなって言ってる奴って子供なんだぜ?


 「あ! どうくつだ!」


 すぐに興味が移るところなんてまんま子供だ。


 「家具設置しねーとな。ほら、これ食って待ってろ」


 俺は数日前に暇つぶしで作ったクッキーをラビに渡した。


 「なんだこれ? たべものか?」


 パクッと口に加えた。


 「んぐむぐ………おぉ! うまいなこれ!」


 「お気に召したか?」


 「めしためした! ししょうもっとくれ!」


 「はいよ」


 俺は袋ごとクッキーを渡して、洞窟を掃除する。

 あらゆる生活魔法を駆使し、家具をちゃんと設置すれば、







 「これでちょっとは住みやすいだろ」


 以前ニールが住んでいた時も十分に生活できるレベルだったが、さらに改善していくらか快適になったと思う。

 まあ、一週間で帰る予定なのでここまで凝る必要は無いのだが。

 何にせよ準備は終わった。

 なので今からラビの訓練をしようと思っていたのだが、


 「ラビ、早速訓練………」


 入り口に戻ったらラビが袋を持ったまま眠っていた。

 ぐっすりだ。


 「ははっ、やっぱり子供だな」


 軽く頰を突っつくが起きそうに無い。


 「すー………すー………」


 「しゃーねー。訓練は明日からだな」


 俺はラビをベッドまで運んで寝かせた。

 だから順番を変えて先に武器の製造をすることにした。

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