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第505話



 送迎会の翌日。

 あまり大規模に、と言うわけにもいかないので、特に式などは行わずに出発する事になった。

 しかし、人は多い。

 色々と勘繰られないように、規制だけは掛けていないのだ。

 名目としては、国内の有力校への留学と言う扱いらしい。



 「おーおー、めちゃくちゃ多いな」



 そう言うのは、今日まで護衛任務に就いていたダグラスだ。



 「ワリィなウルクの嬢ちゃん。ろくすっぽ守れねぇでよ」


 「いえ、すっごく助かりましたよー。奥さんによろしくお願いします」


 「じゃーねー、ダグちん。()()、よろしくね」


 「おう」



 チビ神とウルクは先に帰って行くダグラスに手を振って見送った。

 何やら、隠しているような雰囲気だったが、チビ神に追求するのは不毛そうなのでやめておく。



 「それじゃあ、な。ボウズ」



 すると、ふと妙な感じがした。

 なんだろうと思いつつ、なんなのかはわからなかった。



 「? おう。俺からもローレスによろしく」


 「ああ」



 振り返る事には、すでにいつものダグラスだった。

 なんだったのだろうか。

 乗って来たものであろう馬車に乗って、ダグラスは帰って行くのであった。




 「つか、おっさんも言ってたが、やっぱ人多いな」

 

 「そりゃアそうだろう。なんせ第一生徒会長、副会長が両方いっちまうんだ。支持してた生徒達にとっちゃ大事件ってわけサ」



 そう言ったのは、今回付き添いになったファルグだった。

 レイが誰にも言っていない呪印の事を言っていたし、この三帝にも迫らんばかりのつよさ。

 間違いなく何かある。

 四六時中チェーン巻いてるせいでステータスは不明だ。

 胡散臭いわけでもないが、気にはなる。



 「いいのか、ケン。クラスのガキ共来てないようだが」


 「いい。どうせまた会える」



 俺とミレアとウルクの3人は特科1組の教室がある方へ向いた。

 みんなこちらへ手を振っているのが見えた。

 俺たちは軽く手を振って、それで挨拶を終わらせた。 

 挨拶なんてのは長ければいいものでもない。

 短く切って、別れを感じさせないのも大切だと俺は思う。




 リンフィアやラビ、レイとルイも挨拶を済ますと、俺たちは巨大な校門の前の立っているファリスのところに向かった。




 「準備はいいか?」



 ファリスがそう尋ねると、全員コクリと頷いた。

 2台に分かれて馬車に乗る。


 俺はいつものパーティとミレアとファルグでのグループとレイ、ルイ、ウルク、バルト、レト、流のグループに分けて行った。




 「おいケン、代われ。なんだそのパラダイスは。この旅を舐めているだろう? もし反省しているのであればそこを即刻譲る、ぅうッんごぐッッ………!?」


 「はい流くん黙ろうねー」



 俺は流をどついて馬車に放り込んだ

 案の定むさ苦しいと文句言う流。

 言っておくが決めたのは俺じゃなくて他の連中だ。

 何故かこうなっていた。



 「あはは………」



 苦笑するリンフィア。

 何故かこちらを見ようとしない。



 「いやー、昨日のリンフィアちゃんすごかったよー。絶対にゆず………………すみません調子に乗りました反省しているので魔力をお静めください」



 ニコニコと笑っているが大変お怒りなリンフィアに、平伏して謝るウルク。

 いいのか王族よ。




 「ったくよー、落ち着きのねー連中だぜ」


 「ほぅ? 一番落ち着きないお前が言うか? ケン」



 何ィ? と思ったが、俺が咄嗟にファリスにこんな返しをしてしまっていた。



 「はっはっは。独身で落ち着けてないアンタに言われたか」


 「止せケン!! ここら一帯が更地になるぞ!!」



 ファルグがめちゃくちゃ慌てて火消しを行う。

 あぶねー。

 セーフだセーフ。



 「いやアウトだ」


 「ですよねー」



 俺はファリスの手元を注視する。

 が、しかし、



 「ま、今回くらいは勘弁しておこう」


 「お、マジか。どう言う風の吹き回しだ?」


 「サァな………………そういえば、初めて会った時にも似たような事があったな」



 そういえば、以前も怒らせた事を思い出す。



 「だっけか。アレからもうそこそこ経つな。まぁ1年もいなかったけど」


 「うむ。流石にそれは予定外だった。研究を手伝わせようと思ったが、ろくな手伝いもさせられんかったしな。お前ら、特にリンフィアに知識を食われたばかりだった。あれは伸びるぞ。長年の経験がそう言ってる」


 「ハハハ、そいつは頼もしい」



 と、軽く談笑していると、いつのまにか全員馬車に乗り込んでいた。



 「っと、そろそろだな」



 もう時間か。

 俺も後に続いて馬車に乗り込んだ。

 俺の付加魔法付きの快適馬車。

 行きがけのファリスのやつから改良した馬車だ。



 「全員乗ったな?」



 ファリスが確認をする。

 いよいよ出発だ。

 ここから先は何が起こるのか誰もわからない。

 これは旅だ。

 そして、国の命運をかけた旅なのだ。




 ファリスは確認を終えると、コクリと頷いて、胸を張ってこう言った。



 「多くは言わん。ごちゃごちゃ言うのは苦手だからな………………さぁ、行ってこい!!」





 馬車は駆け出す。

 気持ちの良い風が、マギアーナの空気を乗せて飛んでいく。


 久々の旅だ。

 面倒ごとを片付けにいく旅だが、折角なら楽しまねーと、勿体ない。

 なんせ今から行くのはこの世界に来て初めての外国だ。

 俺たちは、今はごちゃごちゃした事を考えずに、ただ旅の始まり感情を持って、出発するのであった 




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