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第49話


 『風よ、切り裂け。ウィンドカッター』


 リンフィアのかざした杖から風の刃が飛び出す。

 風は1つから2つと増えていき、5つの刃となってオークを襲った。


 「ゴアアアア!!」


 オークは手に持った盾でそれを受ける。

 今の魔法では盾を裂くことは出来ないので、当然止められる。


 「よっと」


 俺は後ろに回り込んで、頭から真っ二つに割った。

 その瞬間に、死体が魔石へと変わる。

 すると、横から別のオークの薙が振られた。


 「フッ………」


 頭を軸に回り、体を捻ってそのオークを横に裂く。

 オークは上半身と下半身に別れ、そのまま魔石になった。


 「よし、ナイスフォローだ、リフィ。でも、」


 「えっ?」


 後ろからはゴブリンが既に迫っていた。

 しかし、それを見たニールが、


 「何しとんじゃあああ!!!」


 ゴブリンをもうモザイクがいるぐらいぐちゃぐちゃにした。

 いくらすぐ魔石になるとはいえ、流石に気持ち悪い。


 「後ろの注意は忘れんなよー………危ねぇ!」


 ニールが手に持った剣で俺の頭を狙った。


 「チッ、外したか」


 「外したか、じゃねーよ! 何すんだ危ねぇ!」


 「やかましい! ゴブリンが見えていたくせになぜ言わない!」


 「お前が居たからいいじゃねーか! だから言わなかったんだよ! あそこからなら絶対間に合うだろ!」


 ここからしばらく言い争う。

 もうこれは日課だ。

 お決まりともいう。






 「ったく、後どのくらいだ? ケン」


 「ちょっと待ってろ」


 俺は木に登って山の頂上を見た。

 計算して見ると、距離は大体後1.5km。

 リンフィアに合わせて急げば10分で着く。


 「リフィ、走れるか?」


 「はい! 大丈夫です」


 俺は木から飛び降りた。


 「じゃあ、俺が先導するからついてこい」


 「はい」








 この森には人が入った跡が結構残っている。

 踏まれた枝や、焚き火、戦闘の痕跡。

 特に、戦闘の痕跡は役に立つ。


 モンスターが湧く場所は魔力が溜まってる場所だ。

 だから、魔族の国なんかではうじゃうじゃいる。

 戦闘を行なったということは、その辺りでモンスターが発生したという可能性が高い。

 その中で魔力が少ない場所を通っていけば、


 「なんか、急にモンスターが出なくなりましたね」


 「確かに、出てきませんね」


 リンフィアも、もうそろそろこの山のモンスターには慣れてきたころだ。

 戦闘による修行はダンジョンでした方が為になる。

 だから今はダンジョンに行くことを優先させる。


 「後5分」


 とはいえ、既に沸いているモンスターが自分の発生場所から離れて移動していることもあるので、それは倒す。


 「ほいッ、と」


 ゴブリンを魔法で蹴散らす。

 威力は最小限に、急所を確実に狙う。


 「私もあれくらい出来るようになるでしょうか?」


 「はい。あんなのすぐに追い抜きますよ」


 あんなのとは言ってくれる。

 ここまでやれるようになるまで結構苦労したのだ。

 そう簡単にはこの域まで達せないだろう。

 

 「お、見えたぞ」


 目の前に洞窟が見える。

 目的地だ。


 「あれがダンジョンですか。普通の洞窟に見えます」


 「そりゃそうだ。あン中に敷かれてる転移陣から洞窟に移動するんだからよ」


 ダンジョンには、入口となる転移陣がある。

 その上に乗ると、転移できる仕組みだ。


 「へぇ、そうなんですか」


 知らないのか。


 「とりあえず、入る前に休憩だ。メシは持ってきてるぞ」












 「これは? 何ていう食べ物ですか?」


 リンフィアは俺に尋ねた。


 「それはハンバーガーだ。食ってみろ」


 「それじゃあ………」


 リンフィアはハンバーガーにかぶりついた。

 気に入ったらしく、一口食べた後は一気に全部食べた。


 「美味しいです!」


 「そーか」


 リンフィアはどんどん食った。

 結構大食いだ。


 「お前は?」


 ニールにハンバーガーを近づける。


 「う、なんだこれは………」


 なるほど、こいつ食わず嫌いする系だ。

 ならば、


 「リフィ」


 リンフィアは頷いた。


 「ニール、美味しいですよ? ほら」


 ニールは向けられたハンバーガーを訝しげに見る。

 しかし、リンフィアに勧められたものだ。

 断るわけにはいかなかった。


 「はむっ………………ん? これは………」


 「美味いだろ?」


 ガツガツ食っている。


 「………美味かった」


 「!?」


 初めて褒められたような気がする。


 「ぷっ、ハハッ! そりゃドーモ」


 「おかわり下さい!」


 「お前マジか」


 リンフィアは手元に置いてあった3つをペロッと平らげた。





 

 昼食後、俺たちはダンジョンに入る前にざっとした説明等を行った。


 「とりあえず、目的地にはついた。じゃあ今からハードミスリルについて説明する。まず、見た目だが、普通の青いミスリルと違って、ハードミスリルは赤だ。そして次にこれが一番のポイント。ここのハードミスリルはおそらく地表には出てない」


 そう、今まで見つかってないのは絶対におかしい。

 ランクをまたいでも見つかってないということは普通の方法では見つからない。


 「まあ、確証はないから一応隅々まで調べるけどな」


 「隅々か………ダンジョンを隅々まで調べるのはかなり苦労するぞ。何より地図がない。迷ったら調べてもこんがらかるだけだ」


 「そこは問題ない。安心しろ」


 それに関しては俺がいるので大丈夫だ。

 迷うことは100パーセントない。


 「ンじゃ、早速入るとするか」


 

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