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第481話


 「馬鹿にしっ………………!!」



 額に青筋を浮かべつつも、なんとかその先は堪える霧乃。

 そりゃそうだ。

 弱いんだから。

 一度負けた奴が馬鹿にするなとほざくのはみっともない事この上ないと、一応は理解しているらしい。




 「fjうぃdkそdjをslqldけいdkw——————!!」




 しばらくぶりに律人が大声をあげる。

 そして俺に向かって植物を放った。


 ギチギチと音を立てて肥大化しながら俺に向かっていく。

 そして勢いよく俺に当たる、と言う瞬間、俺は再び言霊を発した。



 「[逸れろ]」



 「「「!?」」」



 植物はまるで意思を持ったかのように綺麗に俺を避けた。

 霧乃はすぐさま律人を覗き見るが、奴の敵対心は俺に向いたままだ。

 では何故か、と思っているだろう。


 だが、周囲の騎士たちはどうやら仕掛けがわかったらしい。



 「そんな事が………」


 「あなたたち、あれがわかったの!?」


 「し、信じられませんが、あの男は空間にはなった魔力を使って、()()()()()()()()()ようです」



 そう、空間への命令。

 言霊とは意思のなきものに意思を与える魔法。

 戦意を失った奴にかけられるのは、俺に対する意思が削がれてしまっているから。

 まぁ、厳密には戦意を失ったからではないが、大抵はそう言う事だ。

 



 「だってそんなの………どうやって避ければ………」



 いい。

 中々に騙せている。

 魔力の流れがミソなのだが、連中は初めて見る技術にこんがらがっているようだ。




 「早く来いよ? ま、どのみちこっちから行くけどよ」




 言霊——————



 「[削げ]」


 俺の命令が空間を伝わり、敵の中心へと向かう。

 そして、



 ザクッ、と



 ちょうど範囲内にいた男の指を二本切り落としたのだった。




 「うッッ、ぎ、ぃいいああああああああああああああ!!!?」




 男が絶叫する。

 それを見て怒りを露わにした男が2人俺に向かって飛び込んできた。

 運のいいことに敵は男ばかりだ。

 俺も戦りやすい。



 「ばっ………!? 不用意に突っ込まないで!!」



 ここで俺は、さらに別の古代魔法を準備する。



 「そうだな………お、折れた剣発見」



 俺は2、3本剣を拾い上げ、前に掲げる。

 イメージだ。

 この魔法にはイメージが必要だ。

 と言っても幻想的なイメージではない。

 細かい物質の状態や性質をあらなの中でイメージし、変化後のそれらをしっかりと作り上げる。




 「ほいっ」



 

 ぶわっ!! と


 鉄の剣は一瞬で液体へと変化、そして薄く広がった。

 その瞬間、俺はそれを操作して向かってきた男の頭を覆う。

 そしてさらに鉄を操作して、その鉄を顔にぴったり着くようにしめた。



 「も………む、ぐ、もーーーッッッッ!!!」



 「あっはっはっはっは!! こりゃいいな!!」



 しばらくは放置しておこう。

 どうせ何も出来ないだろうし。

 こいつらはおそらく特秘部隊とやらではないのだろう。





 「さてと、物質の状態変化させて戻しただけだが、これは魔法で行える。ある物質を同じ性質を持った何かに変えるこれをなんと言うでしょうか?」




 俺はさっきの瞬間に逆側から来ていた男を捕まえて地面に叩きつけ、そう尋ねた。

 これは答えられると思う。

 魔法ではないと思っていたとしても、この概念自体はそこそこ有名だ。




 「れ………錬金術ッ………!」



 「正解………ですッッッ!!!」



 頭とその他の急所に数発。

 死にかけの状態で気絶させた。

 もう片方も窒息状態でパニックになっているので、蹴り落として気絶させた。

 まぁ、一応鉄マスクは外しておいてやる。




 「おいおいおい、どうしたよ? もう5分の1も減ったぜ? しかもお前ら1回も固有スキルも使ってねェし」


 


 残りの敵は転移者5名と騎士が11名。

 それと化物が一匹。

 さて、どう料理してやろうか

 







———————————————————————————











 「あれが古代魔法………」



 リングを出たファリスは、そのまま観客席にいた数名の特科生と一緒にいた。



 「流石はヒジリケンと言ったところか………」


 「学院長、彼奴はあれ程までに強かったのですか? 勇者とは聞いておりましたが………」



 その観客席にいた特科生とは、アルフィーナとボルコ、それにルイも居た。



 「ああ、それにただの勇者じゃない。話によれば奴は特異点………伝説とされた神の化身とやらだ」


 「それはとんでもないですダネ………」


 「………………どうでもいいが、ボルコ。お前敬語の時くらいその語尾外せんのか?」



 と、ファリスが言うと、ボルコはキッパリとこう言った。



 「これは俺の長年影のようにひっついてしまった癖なので、そう簡単には外せないですダネ」


 「そうか………それで、お前ら2人はルイと仲が良かったのか?」



 そう、特科1組と2組が一緒にいるのはかなり珍しい事だった。



 「武人同士惹かれ合うものがあるのです。彼奴はおなしな男………」


 「おやおや、はっきり言ってしまうのか?」


 「………おかしな奴ですが、別段こちらに強い敵対心を持っていない故、大丈夫だと判断しました」



 凄まじい女装男子に圧されてしまったアルフィーナ。

 確かに今のルイは相当すごい顔をしていた。



 「と言っても、話をしに来たと言うよりは尋ねに来ただけですけどね」


 「何?」



 ファリスがそう聞き返すと、ルイが少し焦った表情でこう言ったのであった。




 「こちらの会長………イシュラとハル先生が、いなくなりました」





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