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第48話


 「もうそろそろ戻るか………やっぱちょっと試したい」


 俺は屋上にあった物干し竿を一本手に取った。


 「取り敢えず、【マグネティクス】あたりでいいか」


 雷三級魔法・マグネティクス。

 この魔法は、通常はボロボロの剣を磁力で繋ぎ止めたり、鉄を探したりするのに使う魔法だ。

 そのため、使用者はかなり少ない。

 だが、使い方を工夫すれば面白いものができる。


 「フンッ!」


 俺は物干し竿を真ん中でポッキリ折った。

 あとで弁償するので許しておくれ。

 半分を手に持って、もう半分は向かいの建物の屋上に投げた。


 「準備オッケーだ」


 俺は魔力を注ぎ込んで、手に持ってる半分を向こう側の半分に向けた。

 すると、


 「う………おっ!」


 体が一気に引っ張られた。

 魔力を強めると引っ張る力はさらに大きくなる。


 「詠唱がいらないならあいつらでも使えるな」

 

 着地して、物干し竿を回収する。

 が、


 「ま、ちゃんとした素材が見つかればだけどな」


 物干し竿は形を保てなくなり、砂つぶになって消えた。


 「細かい司令と魔法の種類が多いほど負担が大きくなるんだよな。やっぱ、ハードミスリルがいい。一級二級でも壊れずに恒久的に使えるらしいから欲しいところだ」








 俺は急いで道具屋で物干し竿を買い、新しく立てかけておいた。


 「よし、これで大丈夫」


 「何がですか?」


 思わずビクッと体を揺らす。

 そーっと後ろを見ると、メイが立っていた。


 「よ、よう! 何してんだ?」


 「何って、洗濯物を干しに来たんですけど?」


 「そうか、そうか。それじゃあ俺は仕事に行ってくるから、じゃーな!」


 何となく悪いことしたような気になってその場から逃げた。

 メイは訳がわからないまま洗濯物を干し始めた。


 「一体何なんですかね………あら?」


 メイは、新品の物干し竿を手に取った。


 「新しくなってる」








———————————————————————————







 「準備万端です! 行きましょうケンくんっ!」


 リンフィアはやる気いっぱいだった。

 ここ最近わかったのは、こいつは好奇心が強い。

 魔王だったり奴隷だったりと、自由とは程遠そうな身分だった時にできなかった事をたくさんやっておきたいのだろう。


 「張り切ってんな」


 「ダンジョンですよ? 冒険ですよ!」


 ぴょんぴょん飛び跳ねている。

 それを見ていたニールは、


 「ああ、リンフィア様………可愛い」


 と呟いてくねくねしていた。

 俺もこいつの性格をようやく理解し始めた。

 しかし、当のリンフィアは聞いてない。


 「ハードミスリル探しだ。見つかるかはわかんねーが、出来るなら見つけたい。しっかり探せよ、リフィ」


 「もちろんです! 頑張って初Dランク達成して見せます!」


 「そうか」


 あれからリンフィアは訓練を続け、ステータスは以前より格段に上がった。




———————————————————————————



 リンフィア・ベル・イヴィリア



 半魔族



 HP:500


 MP:2500


 攻撃力:240


 守備力:300


 機動力:100


 運:10


 スキル:索敵Lv.1/棒術Lv.1/格闘Lv.1


 アビリティ:魔法【強化魔法・五級/炎魔法・五級/水魔法・五級/風魔法・五級/雷魔法・五級/土魔法・五級/闇魔法・五級】



———————————————————————————




 順調に強くなっている。

 何なら勇者より強いかもしれない。


 「一緒に頑張りましょ、ニール」


 「! はい!」


 みんな気合十分だ。


 「ダンジョンの近くまで馬車に乗っていく。そこからは結構距離があるが歩きだ。問題ないか?」


 「はい」


 「ああ」


 「よし、行くか」


 俺たちはダンジョンへと向かった。









———————————————————————————









 「う………」


 「どうしたの? ケンくん」

 

 俺は絶賛乗り物酔い中だった。

 馬車め、まさかここまでとは………とも言えないくらい酔ってる。


 「気持ち悪………うっ……ぉぷ」


 「情け無い。こんな物で酔うなど、笑止千万………ぅぷ」


 「お前も酔ってんじゃねーか」


 「うるさい戯け………私は竜人の半魔族だ。感覚が鋭い分、揺れとかホントに………ぉ」


 ダウンした。

 平気なのはリンフィアだけだ。

 そこで俺は決めた。

 車を作ろう。

 魔力を動力に変換するシステムなら既に知っている。

 車の仕組みもわかっている。

 大量に材料を探していつか作ろう。



 「あ、これやば」


 じゃないと保たない。








 「ああ、走った方が早い上にこんな目に遭うとは。ゼッテー馬車はもうゴメンだ」


 「ああ、そこには同感だ。帰りはリンフィア様が乗った馬車を走って追いかけよう」


 初めて同調したかもしれない。

 だが本気でそれには賛成だ。


 「ともあれ今から山登りだ。多分2日くらいかかる」


 目の前に、それなりに立派な山脈がある。

 今からあそこの頂上にあるダンジョンに向かう。

 モンスターも出るらしい。


 山登り開始だ。

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