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第47話



 ここはミラトニア王城・玉座の間。

 そこには、ミラトニア王国国王 アルスカーク・ミラトニアとその側近の一人、ワイドがいた。


 「王様ー。鑑定結果出ましたよー」


 これは以前国王がワイドに依頼した件だ。


 「うむ、して結果は?」


 「あー、それがですねー、鑑定不能って結果が出ましたよ。“魔道王”や“剣天”ですらステータス鑑定出来るのに。まるで何かに護られてるみたいに弾かれました」


 「ほう………」


 国王は笑みを浮かべる。


 「面白いな。あの2人を超える何かを持っているのか………実に興味深い」

 

 「どうするんですか?」


 「一先ず、あの少年のことは放っておいて良い。そのうちまた指示を出す」


 「りょうかーい」


 ワイドはその場から姿を消した。








———————————————————————————









 その頃、俺たちは次のクエストについての話をしていた。

 寺島と再会して約二週間。

 順調にクエストをこなしていき、あと少しで昇格だ。

 リンフィアがGランククエストに慣れて来だしたのでそろそろDランクを受けようと思っていたところである。


 「ダンジョン?」


 今回クエストを選んだのはニールだ。

 リンフィアも参加するのでしっかり調べて選んでいる。


 「ああ、そうだ。Dランククエストに洞窟型ダンジョンで鉱石の採取という内容のものがあった。中のモンスターはG〜Fランクでも十分倒せるレベルだ。リンフィア様の修行にもうってつけだろう」


 なるほど、悪くない。

 いや、むしろ良い。

 遅かれ早かれダンジョンには一度潜るつもりだった。

 どういうものなのか実際に目にしておきたかったのだ。

 しかし、一つ気になることがある。


 「なんでモンスターのレベルとランクが釣り合ってないんだ?」


 「確か、鉱石の発見が困難で未だにクリアしたやつがいないらしい。それで徐々にランクが上がって今はDだ」


 そういう事情だったのか。

 発見困難ということは少なくとも地表には出てきてないだろう。

 いちいち掘るか?

 否だ。

 

 「それでその鉱石は?」


 「ハードミスリルだ」


 「!? おいおい、なんでそんなスゲェ鉱石が低級クエストにおいてあんだ?」


 「さぁ?」


 流石にそこまで知らないか。


 「なんにせよ、クエストは決まったな。準備が終わったら行くってリフィにも言っといてくれ」


 「ん? なんだお前、何をそんなにそわそわしてる?」


 「あ、わかるか? いや、ちょっとくらいなら手に入るかもって思ったからな」


 「ハードミスリルか?」


 「ああ。いいモンが作れる。俺の魔法でな」


 ハードミスリル。


 高級鉱石であるミスリルの上位種。

 アダマンタイトほどの硬さは無いが、魔法耐性は大きく上回るので、能力型の魔法武具が作れる。

 これで修行時に覚えるのを後回しにしたあれが使える。


 「うまく行く保証はないから期待はすんなよ」


 「フン、もとよりお前から武器を貰う気など毛頭無い。私はこの3本さえあればいい」


 ニールの武器はこの3本の剣。

 この双剣と大剣だ。


 この双剣は幼いリフィがニールにプレゼントしたものらしい。

 数日前、双剣のことを訪ねた時、一晩中その双剣の話と、当時のリンフィアの話を語られた。


 「それにしてもバルムンクねぇ」


 黒竜が竜殺しの剣と同じ名の剣を持つとは。

 いやはや何とも名状しがたい。


 「武器といえばお前のあれはなんだ。ただの木の棒では無いか」


 「俺はいいンだよ。ちゃんとした武器なんか持ってみろ。加減が難しくなっちまうだろうが。それに俺もお前と同じで木刀(これ)に愛着がある。そう簡単には変えねぇよ」


 「そうか」


 珍しく噛み付いてこない。

 何でもかんでも反発するわけでは無いらしい。


 「なんだその顔は」


 「いや? 何でもない」


 とりあえずとぼけておこう。


 「それじゃ、俺も準備してくるから、お前らも準備しとけよ」


 俺は部屋を出て、屋上に向かった。









———————————————————————————








 「ま、ここならいいか」


 俺は道具屋で買った紙を広げる。

 紙には魔法創生陣が書かれている。

 今から新しい魔法を覚えておこうと思う。

 これは特殊な魔法で、レベルは無い。

 一種類だけの魔法だ。

 他で言うと、複合魔法も一種類だけだ。 

 鑑定で見ると“全階級”になっているが実際には一つ。


 「よし、じゃあ久々にやるか」


 魔法創生陣に血液を垂らす。

 

 そして、流れ込んでくる。

 魔法の知識が。

 しかし、俺はそれを全て知っている。

 それなのにいちいちこんな事をしなければならないのは、情報とともに使う感覚も流れてくるからだ。

 それは持ってない。

 だが、前情報がある分人より吸収は早い。

 

 



 「ふぅ………【付加魔法。エンチャント】習得完了っと」


 エンチャント。

 それは、魔法武具の職人なら100パーセント持ってる魔法だ。

 これは、ものに魔法を付加させる魔法。

 例えば剣に【エンチャント・ファイアボール】とすると、魔力を流すとファイアボールが撃てる剣が出来る。

 ただし、エンチャントの場合、詠唱がいらない代わりに威力が落ちる上、通常の素材では耐えられない。


 「これでいいな。これでいつでも使える」


 エンチャントを急に覚えたのは、ハードミスリルで魔法武具を作ろうと思っているからだ。

 凝ったのを、な。

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