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第451話



 「よ、どうだった?」



 俺は一足先に拠点に帰っていたユサとユアに結果の程を伝える。



 「いーんじゃねー?」


 「上々だ!!」



 ユサは溌剌と、ユアは相変わらず気怠そうにそう言った。



 「流石だな。他の連中は?」



 あたりを見渡すと、誰も来ていなかった。

 誰も帰ってきていないのかと思ったが、どうやらみな一度帰ってきているらしく、楽器などが置いている。



 「みな持ち場へ帰っていったぞ!! なぁユア!!」


 「しらん」


 「嘘をつくな! 嘘を!!」




 まぁ、とりあえず帰ったらしい。

 確かに、ミレアやドレイルは各出店の主力だしな。



 「では私らもサポートに入る!! ほら、行くぞユア!!」



 「うへぇ………サポートって楽な筈じゃぁ………」



 ユアはユサに引っ張られてそのまま巡回に行ってしまった。



 「あ、あの、私、も………………」



 おずおずと手をあげるドレイル。

 だいぶマシだが、やっぱりぎこちない。

 美咲より酷いんじゃないのかと思いつつ、俺は答えた。



 「おう、行ってこい」



 「じゃっ、じゃあ、後で………」



 ドレイルも、レストランの方へ帰っていった。

 







 後から聞いた話だが、ゲリラライブはみな大成功だったらしい。



 確かに、俺は練習を見たことがあるが、みんなかなりの出来だった。

 文化祭レベルではダメだと思ってはいたが、まさかここまで行くとは。

 その辺のプロ級の腕前にはなっている。

 流石エリートだ。


 

 

 と、言うわけで、とりあえずは一安心だ。

 だから、しばらく予定のない俺は、少し暇が出来た。

 

 レストランの手伝いに行こうと思ったがどうやら俺がいなくても回っていそうだ。

 なので、他を回ってみたが、各々仕事をしっかりこなしている。








 この時を待っていた。


 ユアには悪いが、巡回は任せよう。

 サポーターは思ったより大した役でもなかったし、大丈夫だろう。

 まぁ、裏で色々やったにはやったが。




 ともかく、これでようやく俺は自由に動く事が出来る。

 俺はこの祭り中の懸念を払っておく必要があるのだ。



 その懸念というは、大きく2つある。





 まずは、チーム優勝の件だ。

 思った以上に俺が介入しづらい。

 運が悪いのか、そういう競技が中心のせいだ。


 故に、現在順位は1位から落ちてしまっている。

 まぁ、ガリウスの件に関してはもう何もいうまい。


 ここからでも十分ひっくり返せる。

 そうすれば、ハルやイシュラは約束を守ってくれるだろう。






 問題はこちらだ。

 数時間ほど前、一瞬だが戦闘を行っているような魔力の流れを感じた。

 ほぼ間違いなく命達だ。

 そして、これはおそらく挑発。

 奴とて馬鹿ではないだろう。

 魔力を流すデメリットくらいわかっている筈だ。




 俺は拠点から出てグッと背伸びをした。

 



 「さて、連中がせっかく誘ってんだ。挨拶くらい行かねーとな」



 


 「——————そうね。だからお迎えに上がっちゃった」






 黒髪の少女が影から出てくる。

 この見慣れた顔の感じ、間違いなく日本人だ。


 「………」



 血走った目、そこから発せられる粘っこい視線、そして、表に出してはいないが、立ち居振る舞いからわかる戦闘技術。

 おそらく強さはSSランク冒険者クラスかそれ以上だ。

 危ない女だと判断した。



 「………ライブ中から、ついてきて回っていたの、アンタだったか」



 女は一瞬キョトンとするがすぐにニヤニヤ顔を取り戻す。



 「うん? 気づいていたの? えふふふふ、失敗しちゃったぁ」



 あまり気にしていない様子で女はそう言った。

 それにしても、怪しげというか、どこか不気味な雰囲気を醸し出している女だ。



 警戒するに越した事はない。

 こいつの尾行技術は、感覚が敏感で常に何でもかんでも警戒しているドレイルですら一切気付かないレベルだ。



 「ストーキングは趣味か?」



 「えふふふ、よくわかったねぇ。あなた、ヤンキーっぽいけど、よく見ればかっこいい顔しているから気をつけた方がいいよ? 私が気に入った男の子………みーんなまともじゃなくなるの。えふふ………えふふふふふふ………!」



 病んでるなー。

 こんな奴をあいつらにかからわせる訳にはいかねェな。



 「それで、どうする? 私についてくる?」



 罠なのは間違いない。

 だが、都合の良いことに、自ら罠にかかる条件は満たしている。



 「天崎 命はそこにいるか?」


 「天崎さん? えふふふ、いるよぉ。彼女が呼べって言ったんですもの。呼んでるだろうからって」



 虎穴に入らずんば、って奴だな。

 乗ってやろう。

 

 俺はついていくことに決めた。




 「案内しろ、ツインテ女」



 「暗木 メメよ、ヒジリケン君。えふふふ」



 なんの用かは知らんが、向こうが呼んでくるなら好都合だ。

 特異点同士、付けるべき話があるのなら、さっさと付けるとしよう。

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