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第449話


 現在、明日のの出し物に関係する人物を集めて、色々と策を練っていた。

 今日は3日目。

 明日は4日目なので、実質大きなイベントをやるとするなら、やはりこの日だ。

 5、7日目は競技がメインだし、6日目はイベントよりお土産等の販売に力を注ぐべきだろう。


 と、そんな感じで進めていた会議中、ガリウスは俺に向かってみんなの前で謝っていた。




 「アニキッッ、すんませんしたッッッ!!!」




 治療を終え、目を覚ました直後に頭を下げられた。

 こいつは、変に真面目なところがあるのだ。




 「レースのポイントを1ポイントも取れなかったせいで、4位まで落としちまった………申し訳ねェっス!」



 現在順位は4位

 1位 教師チーム。

 2位 特科二組

 3位 特等戦闘科一組

 そして4位 特科一組



 まぁ、これは覚悟の上でこいつらに好き勝手させた。

 むしろ勝っただけましだ。




 「もう済んだ事だ。気にすんな」



 「でもよ、アニキ………」



 「そう思うなら出しモンで結果を残せ。それに、出番が完全に消えたわけじゃねェ。今回の戦いで得たモンで、存分に役立ってくれ」



 俺がそう言うと、ガリウスはきゅっと口を閉じた。

 そして、コクリと頷いた。




 「さて、その出しモンだが、明日4日目が要になる。お前らならわかるよな、ユア、ユサ」




 俺は振り返って、あまり似ていない姉妹にそう言った。




 ユア・マストロフ

 

 ボサボサ頭で、ダルそうにしている目がとろんとした若緑色の髪の少女。

 ちゃんとした格好をすればかなり可愛いと評判だが、いかんせん面倒くさがりな性格のため、寝起きで軽く顔を洗って歯を磨いてそのまま校舎に来ているせいで、いまいちモテないと、妹のユサがぼやいている。



 ユサ・マストロフ


 姉のユアとは対照的に活発的なオレンジ髪で短髪の少女。

 ここまた対照的で、様々な学年、クラスの生徒に慣れ親しまれている上、相当モテている。

 ちなみに、ユサの方が歳は下だが、ユアより身長が高い。

 俺は某有名ゲームの兄弟を思い出していた。

 まぁ、配色的には逆だが。




 この2人は、俺以外に選ばれた補助係。

 一戦目でも、選手のコンディションチェックをし、それ以外でも出店の補助をしたりしていた。

 


 「あー? あー、うん。そだったそだった」



 「ユア!! そんなに面倒くさそうにするんじゃない!!」



 「うぇーい」



 やる気の塊とだらけの塊である2人はいつもこんな調子だ。



 「ケンよ!! ついに私たちの努力が身を結ぶのだな!! 本当に大変だったぞ!! ユアを練習に参加させるのは!!」



 「それに関しちゃマジで頭が下がるわ………そういや、あれだけメンドクセェと言ってたこいつをお前どうやって釣ったんだ?」



 「お前から貰ったフィギュアとやらがあるだろう? ついついハマってしまって色々作っていたら、それが欲しいと言われたのだ!! だから練習するのを条件でくれてやったのだよ! わはははは!!」



 相変わらずうるさいユサだ。



 「作るのはめんどーだけど、それすっごい欲しーんだよねー。だからこのにしゅーかん、ホントに我慢したよー」



 そんな非難がましい目でこっちを見るんじゃないよ。

 まぁ、何か詫びをすれば許してくれるであろう。




 「………冷静に考えたら、あんな格好で人前に出たくはないのですが………」

 


 その出し物に参加するミレアは俺にそう言った。

 だがもちろん、



 「却下」



 「………」



 こいつはクラスでも指折りの美人な上、その評判はすこぶる高い。

 絶対に必要な人材だ。



 「わ、わ、私、も………これは、ちょっとぉ………」



 「いや、お前は一番ダメだろ、ドレイル。何たって目玉だぞ目玉」



 「で、でもぉ………………」



 「今度あの店のメニューを死ぬほど奢ってやるといったら、」



 「が、頑張るぞぉ!!」



 チョロ。

 やはり意外と操りやすかったか。





 「よし!! そんじゃお前ら!!」




 俺は場にいる全員にそう呼びかけた。

 



 「ぶっちゃけ、これさえ成功すれば、間違いなく出し物の方では優勝可能だ。だが、一度転んでしまえば、総崩れになるのもまた事実」



 ゴクリと唾を飲む音が聞こえてくるようだ。

 慣れない事なので、緊張が見える。




 「責めるつもりはないし、失敗しても仕方ねぇ。ま、結局何が言いたいのかと言うと………」



 俺はニッと笑ってこう言った。





 「楽しもうじゃねェか」





 そうだ。

 楽しまなければいけない。

 その気持ちは必ず客へ伝染する。

 俺たちがやろうとしているのはそう言った雰囲気も、楽しむものなのだから。



 ライブとは、そう言うものだ。



 「新しいものってのには、人間みんな目がねェもんだ。それじゃあ、手始めに………………やってやろうぜ。ゲリラライブだ」





 魔獣演武祭。

 4日目予定。


 入手したいエリアで行う多項目ライブ。

 歌、ダンス、バンドなどをこの世界にはない文化のもので目を引かせる。

 これはかなり釣れるぞ。

 こう言うものは国境を越えるとよく言われる。


 世界くらい簡単に飛び越えてくれるだろう。




 まずはそのための宣伝。

 そう、ゲリラライブを行う。

 





 祭りもいよいよ後半だ。

 出し物も競技も徐々に盛り上がってきている。



 そして、その裏で蠢いている黒い影にはほとんどの人が気付いていなかった。

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