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第444話



 「ズァアアアアアアアアッッッ!!」



 爪に炎を纏い、回転して勢いをつけながら、一撃。

 ガイウスは手甲を斜めに向け爪を受け流す。

 ガリウスはさらにその勢いを利用して向こうの攻撃を回避。


 爪と手甲が、火花を散らしながらぶつかった。




 「くッ、ッ………!!」



 「ッ……… !!」


 


 この数日間、ガリウスはケンに徹底的に体術を叩き込まれた。

 体の捌きかた。

 攻撃の受け流し方など、接近戦にて重要なポイントのみを突き詰めてきたと言っていい。




 「ほう? 爪の扱いは別として、炎の運用と体術は悪くない。誰に習った?」


 「あ? アニキだよ」


 「! ………そうか」



 

 ガリウス達が戦っている間、ウォルスはアイザックの視覚共有でガイウスの視覚をのぞいていた。


 今までは温存のために使っていなかったが、少し多めに魔力を消費する事で、アイザックは直接触れている相手に視界を共有する事ができるのだ。




 「すごいな………満遍なく、相手の全身を見ているのか………」




 達人の視界を、息を呑んでみていた。

 なるほど、これはまだガリウスが到達できない領域だ、と理解する。




 「!? ガリウス!! 後ろも注意しろ!!」



 視覚を共有しているので、ガイウスが隠した攻撃も見える。

 放ったのは追尾式の炎魔法【ファイアトレーサー】

 ガリウスは指示通り後ろに意識を向けつつ、攻撃の手を止めなかった。



 「レッド」




 タイミングを測り、一瞬だけレッドを攻撃から離脱させ、魔法を相殺。

 ガリウスも一度体勢を整えるために一歩退がった。




 「チッ………………流石に強ェ………こっちは数発喰らっちまってる上、向こうは無傷で魔法とばして来やがる………」


 


 「ソウルギャザーか………………視覚共有とは厄介な………ならば」



 「!!」


 ガイウスはガリウスに突っ込んでいく。

 ガリウスは爪を構えて攻撃を受けようとした。


 しかし、



 「なッ!?」




 ガイウスはガリウスの頭上を飛び越え、ウォルスの方へ向かって行った。




 「クッソがッッ!!」




 急いで向かうが流石に追いつけない。

 ウォルスはガリウスの様子をチラッとみて、身構えた。




 「フッゥ………!!」




 手甲剣をウォルスへ向けそのまま真直ぐ突き込んだ。

 すると、



 



 バチンッッ!!






 「!?」




 ガイウスの攻撃が減速した。

 ウォルスは半歩身を返して攻撃を回避。

 そのまま仕掛けた魔法をさらに作動させた。




 「白兵戦が出来ない俺が、何もしないわけはないでしょう?」



 ウォルスは使い捨ての武器をガイウスに向けて放つ。

 近距離だったが、これは回避された。

 

 だが、これでは終わらない。


 

 地面から、氷柱が飛び出して来た。

 罠系統の氷魔法だ。



 ガイウスはそれを破壊しながら一歩退がる。

 すると、それを見越していたかのように、炎魔法の地雷が作動。

 咄嗟の魔法を地面に向けてそれを相殺しつつ上空へ飛ぶ。



 「今だ」



 「やるじゃねェか、ウォルス!!」



 炎魔法で回転を加速し勢いをつけ、ガイウスに爪を振り下ろした。





 ガッッッッ!!!





 ガイウスは手甲を後ろに向けて攻撃をなんとか受け止めるも、防ぎ切れずに刃を肩に喰い込ませた。





 「ぐッッ、ゥォオオオオオオオオ!!!」




 「フッッッッ、ッッッァアアアッ!!!」




 ガイウスはガリウスの爪を跳ね除けつつ、後ろに迫っていた氷魔法を身をよじって躱した。

 そのまま迫る魔法攻撃を空中で捌き、着地。

 ガリウス達から距離を取った。



 「なるほど………そうか、そうか………」



 ガイウスは傷を押さえながら、どこか嬉しそうにそう呟いた。




 「ハァッ………ハァッ………っ、ウォルス、あの親父に遂にまともな一撃を浴びせたぞ!!」



 「いける、これならば勝てるぞ!!」













———————————————————————————














 「「「おおおおおおおおおおおおお!!!」」」






 広場は大盛り上がりだった。

 流石は俺の舎弟だ。

 やる時はやる。




 「2対1とは言え、あのガイウスに一撃を浴びせるとは………」



 「あいつらの強みは、そのコンビネーションから成るほとんど誤差のない連携だ。大抵のやつでも初見なら翻弄されるだろうぜ。にしてもウォルスもいい仕事してやがる。重力魔法の防壁はいいチョイスだ」



 他の魔法だと大体は視界が塞がってしまい、力関係的にも向こうに利を作ってしまう。

 だが、重力魔法でならば、相手を視認しつつ、行動できる。

 他にも方法はあるが、これも一つの正解だ。




 「にしても………」



 俺はガリウスの様子をみた。

 動きはいい。

 教えた通り、体術を使いこなせている。

 だが、



 「あいつ………気づいてねェのか、わざとなのか………」



 俺は思わずそうつぶやいた。

 


 

 そう、あいつにはまだ上があるのだ。

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