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第435話


 ケンがウォルスから話を聞いている時の事だった。


 

 場面は、ローゾル達の用意した出店の様子だ。

 まず、出店の一つが俺とドレイル中心で行うレストラン。

 これは最初から決まっていたらしい。


 面倒ごとを嫌うケンが提案したと言った時は、みんな驚いていたらしい。




 さて、今度は何をすればいいのか。

 例えば、技術科なら、作った施策のアイテムを売りにすればいいし、戦闘科なら賭け試合なんかすれば儲かるかもしれない。


 だが、賭け試合なんかは特科でも取り入れている。

 滅多に戦う機会のない使い魔達との戦闘だ。

 冒険者達からは特に人気がある。


 

 それでも足りない。

 特科や総合科は、他の科目より個性………言い換えれば専門的なものが薄い。

 多種多様ゆえに一つに定まらないのだ。



 だが、あまりごちゃごちゃし過ぎるのもまずい。


 だから、他の科がやっていなさそうな事を考えてみたケンであった。

 となると、手っ取り早いのは向こうの世界の文化だ。

 なので発案はケン。

 そして、以降殆どを考えたのはローゾル。


 と言うわけで、ローゾルが考えたのがこれ。








 モンスターカフェ



 

 メイド喫茶的なものでもいいとケンは思ったらしいが、メイドでは規定にある使い魔要素が無く、かといって人型の使い魔でやったところでこの世界はそもそも亜人や魔族が普通にいる世界だ。

 コスプレ喫茶的なことをして受けは良くないだろう。




 ならば癒しだ。


 猫カフェの概念はこちらにないし、これならファンタジー、非ファンタジー関係なく楽しめるケンは考えたのだ。

 



 接客、給仕を全て使い魔に任せ、ふれあいも可能と言うちょっと進んだ猫カフェみたいなものだ。

 ただカフェなのでスイーツやドリンクはちゃんとクラスの生徒が作っている。

 これは画期的だとみんな賛成した。


 まぁ、名前だけ多少揉めた………といっても、ケンが略したら著作権の侵害だとか何とかいっていたのは、誰も理解していなかった。

 言語が違うとはいえ、日本語訳してしまうと大変だと思ったのだろう。



 それはさておき。

 モンスターカフェだが、計画通りかなり繁盛している様子だった。

 




 「わぁ………ローゾルくんすごいねー」


 休憩中のウルクがカフェに遊びに来ていた。

 中は本当に使い魔だけなので驚いている。


 「いやぁ、僕の想像以上にうまくいっているよ。それもこれも、この子のお陰さ」



 奥から空色の髪の少女が現れる。

 しかし、姿はいつものような人間体ではなく、人型のバハムート形態になっていた。



 「あ、ウルクお姉ちゃん! いらっしゃいませなのです!」



 「わぁ、エルちゃんの格好凄い綺麗だねー!」



 「くじらさんモードをベースにした半バハムート形態なのです。1日目の試合の時みたいに部分的な変身が出来るからそれで給仕していたら結構反応が良かったみたいなのです」


 

 一見、魔族と変わらないように見えるのだが、現地人からすれば全然違うのだという。

 まぁ、確かに見た目は本来のバハムート形態をいじったようなファンシーな部位がいくつかくっついているので、魔族のような厳つい見た目ではない。

 ケンもその価値観を理解はしているが、それは持ち得ない価値観だと言っていた。



 「この子、会話が出来る上、ものすっっごい可愛いものだから助かっているよ。高貴なるこの僕の使い魔と同等といってもいいね」



 「へー。それでエルちゃんさ」



 「おや? 寂しい反応をするじゃないか、レディ」



 スルーされてもめげない男。

 それがローゾル・アフェライカ。




 「エルちゃんさ、ケンくん呼び出せたりする?」


 「えーっと、今は忙しいので用がある人は待たせるように言われてるのです。ごめんなさいなのです」



 エルは困った顔をしてぺこりと頭を下げた。

 

 「や、気にしなくていいよー。待ってるからさ。せっかくだしお店に寄ろっかなーって思ってたしねー」



 「おや、レディ。君、仕事はどうしたんだい?」



 「サボりだよー」


 堂々とサボりを白状するウルク。

 いっそ清々しい。

 そして、拳骨でコブが一個増えるのはこれで確定したのだった。



 「じゃあ、席に案内するのです!」



 「はーい」



 「あ、“ふれあい席”と“お食事席”があるんですけど、どっちにするです?」


 うーんと一瞬悩んだが、折角なのでふれあい席に座る事にした。

 エルは元気に返事をすると、


 ウルクはエルに連れられてふれあい席とやらに座った。




 「ふれあい席は使い魔達とのふれあいが出来るのです!」



 そんなにゴツくない奴を基本的に選んでいる。

 と言っても、ここの使い魔は13体なので、若干少ないかもしれないが、基本的に猫カフェのような概念がこの世界にないお陰で全然ごまかせる。



 「本当だー。みんな小っちゃい子を………あれ?」


 「あぁ………可愛いなぁ………ん?………………んん??」



 何と、隣にはアルフィールのブースターライオットを撫で回しているレイがいた。

 変装をしているので見た目的には分かりづらい。

 だが、



 「あー! 副会ちょ、ぉ、むぐ………っ、もごご」



 ウルクは一発で言い当ててしまったので口を塞がれた。



 「騒ぐんじゃない………斬られたくなければ騒ぐんじゃないぞ」



 外国出身という事で、この二人実は結構交流があるのだ。



 「ぷはっ! もー、酷いよーレイくん」


 「チッ………厄介なのに会ってしまった………」



 ウルクは不気味なまでにニコニコとしている。

 何か良からぬ事を考えている。


 いや、いたと言った方が正しい。



 ウルクは何かを思いついたように表情を変え、レイに話しかけた。



 「ねーねー、レイくん。ケンくんがいないから事情を知ってるレイくんにしか言えないんだけどー、聞いてもらっていいかなー?」




 ウルクは、少しいつもより真剣な顔をしてそう尋ねた。

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