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第398話


 「具体的にはどう探せばいいのでしょうか?」


 まず俺たちは、そこに悩む事になった。

 妖精自体はメジャーな存在だが、ピクシーの生態については、詳しいことはわからない者が多い。

 まぁ、人探しのようなものだと割り切ってもいいが、何せ期限付きだ。

 情報をまとめてあたりをつけておくのも策だろう。


 


 「ピクシーは、さっきのにーちゃんが言ってた通り、臆病な性格だ。それに、 魔力に敏感だからモンスターが多い魔力密度の高い場所にはいねーだろう。だからとりあえず、この辺で一番魔力密度の小さい場所を目指すべきだろ」



 「おお、詳しいダネ」



 「ちょっとした教養だ」


 俺がそういうと、流がボソッと、


 「似合わないなー」


 と言った。

 おいテメー、聞こえてるぞ。


 「でも、実際どうするよ」


 「うん、たしかに」


 グルーとミヤがそう言った。


 山の中から小妖精一匹。

 まぁ、教養だけじゃ探すことはできない。

 本気を出してもいいが、少し思うところがあるので、それは控えたい。

 

 となると………



 「あ、あのぅ………」


 ドレイルはおずおずと手を挙げた。

 珍しいこともあるもんだ。

 


 「ああ、やっぱりできるのか? 追跡」



 「「「!?」」」



 「ひゃっ!? ああ、あ、うん。で、きるよ」


 一斉に視線が向いたため、つい驚いてしまったドレイル。

 とりあえずそれは置いといて。


 「あのぉ、おねえちゃんはすごく鼻が良いので、ピクシーのりんぷんだったら追えるんだとおもいます」


 姉に代わって、ラニアがそう説明する。

 みんなラニアの頭の上の耳を見て、ドレイルも亜人だと気づくと、なるほどと相槌を打っていた。


 「ぴ、ピクシーの鱗粉は、甘い匂いがする、から………最近まで近くにいたなら、わかる、よ?」


 「おおおお………思わぬ収穫ダネ………ケンだけじゃなくてドレイルまでこんなに貢献してくれるとはダネ」


 褒められてモジモジするドレイル。

 嬉しそうだ。


 「では早速、山の方へ行きましょう」


 こうして、俺たちは登山を開始した。











———————————————————————————












 「うむ、今日もいい天気だ。こんな日はここで寝るに限るな」


 校舎内にはとある隠し設備がある。

 それがこの庭と呼ばれる場所だ。

 ファリス以外は限られたほんの一部しか入ることを許されないこの場所で、ファリスはよくダラダラしている。

 もちろん仕事をさぼって、だ。

 屋上とここはファリスの癒しスポットだ。


 「ここにおられましたか、ファリス様」


 何処からともなく現れたこの壮年の男は、数少ない許可を得ている人物。

 ファリスの秘書を務める、ジョゼ・ヴァースロックだ。

 名門貴族や王族の付き人や教育係を多く輩出するヴァースロック家の中でも特に出世した男と言えるだろう。



 「少々厄介なことが」


 「む、ジョゼか。どーした」


 ファリスはうつ伏せのまま、 気だるそうに返事をした

 


 「ヒジリ・ケン様が、何者かに監視されておりました」


 興味を示したようで、ファリスは顔をジョゼの方へ向けた。


 「ほぅ? それで?」


 「それなりに名の知れた暗殺集団でしたが、棟梁がヒジリ様に追い詰められ、撤退しました」


 「ははは、それはまたマヌケな話だ。あの男を狙うからそうなるんだよ。とはいえ、気にはなるな………調べておいてくれ」


 「かしこまりました」


 

 ジョゼはお辞儀をして、そう言った。

 すると、


 「それともう一件」


 「今度は何だ?」


 「“薬師”がヒジリ様と接触なされた様です」


 寝っ転がっていたファリスはむくりと起き上がる。

 ほんの少し表情が強張っていた。


 「………本当か」


 「はい」


 「ハァ………それは確かに面倒くさそうだ。あの異常なまでに賢しいあいつなら、薬師に探りを入れられかねないな」


 「確かに、今巻き込むのは得策では無いかと存じあげます」


 ファリスはうーんと唸った。

 薬師。

 古今東西あらゆる魔法薬を調合し、それらを特定に人物に高額で売りさばく、超知る人ぞ知る薬売り。

 


 「しかし、こちらから奴に接触するのも避けたい。リスクは少ないに越したことは無いのでな」



 そしてしばらく考えた。

 すると、ジョゼがとある提案をする。


 「こうなってはヒジリ様を説得なさっては如何でしょうか? あの方ならば、事情を察してくれるやも知れません」



 ファリスは悩んだ。

 これはただ単にバレたらまずいと言う問題ではない。

 だが、ケンならば、この世界のとは別の世界から来た事で、自分たちとは違う価値観を持つ彼なら。

 そう考えたファリスは、



 「………やむを得まい。それで行こう」











———————————————————————————












 「で、早速こうなるわけか」


 俺たちは、山の麓で早速敵に遭遇していた。


 サンダーウルフ。

 ランクはC。

 電撃を放って行う攻撃が特徴だ。



 「ここはサクッと終わらせるダネ」



 「そだな」




 と、俺とボルコが戦いを始めようとしたその時だった。



 「待ってくれ」


 グルーが手を出して、 俺たちを止めた。

 すると、手に持った槍を構えてこう言った。


 「ここは俺たちの実力を見てくれよ」



 医学科五人組、フールー、ユーリン、ミヤ、そしてグルーはそれぞれ武器を構えて戦闘を開始した。

 

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