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第386話


 居合。

 これにも色々な技がある。

 しかし、ここはシンプルに速さを求めた技を使おうと思う。


 無駄を無くす。

 自分に関わるあらゆる力を利用する。

 最短かつ最効率の一撃。

 

 ただ疾く、ひたすらに疾い一撃を。



 「——————迅雷の太刀」



 属性の性質上、雷属性は“速”の性質を持つ。

 スピード重視の雷属性。

 技として組み込む事で、速度は上がる。

 属性の性質とは、この世界独自の法則だ。


 同じ魔力量の斬撃でも、雷属性と炎属性では威力と速度が異なる、と言ったものだ。


 故にこの一撃は、ただの居合とはわけが違う。







 ヂヂヂッッッ!!!






 


 「「!?」」





 チビ神とエルが反応出来ずに固まった。


 断言するが、こいつらの今のレベルでは初見で見切るのは不可能。

 チビ神もいくら元神であろうと、この戦乙女………ヴァルキリーの肉体となったいま、対処は出来ない。


 そして俺は既にニールの前に立っている。

 剣は既に、ニールの急所を捉えていた。

 しかし、





 キィイイン !!!





 「!!」


 刃が交わり、高く鈍い音が鳴り響く。


 「こいつ………マジかよ」


 額に小さく汗をかきつつ、ニールはニッと笑った。


 「全く………勘で防ぐなんて素人くさいマネをさせるなよ、ケン!!」


 予め攻撃箇所を予想して防いだため、何とか軽傷で済んだニール。

 そして、



 「ライトニングレイン」


 雷属性を活かした連続刺突。

 後ろ斜め上からだ。

 しかも、クレバーモンキーまでいる。

 だが、



 「ライトニングレイン」


 「!?」




 2本の剣で同じ技を使い攻撃を防ぎつつ、ニールの間合いから離れる。

 このための二刀流だ。


 「くそッ………ケンめ、その態勢から撃てるのか。しかも、今のを二刀でやるとは………」


 「チッ………相変わらず無茶苦茶な男だ」


 とりあえず真後ろに飛んだ。

 だが、逃げられた訳ではない。


 「一斉放火だ!!」



 全方向からの攻撃。

 使い魔もいるせいでかなりの量だ。

 広範囲狭範囲を織り交ぜている。

 流石にわかっているな。



 「ま、逃げ切れない訳ではないがな」



 広範囲攻撃にも弱点はある。

 それは、より密度の大きい攻撃や、一点に集中された防御に弱い事だ。

 だからそれを利用する。



 「………サーチだ」




 飛んでくる魔法、スキルを解析。

 こう言った詠唱済み、発動済みの魔法には俺はほぼ干渉できない。

 だが、当たらないように逸らすことは出来る。

 普通は誰も使わない。

 魔法に強い魔力をぶつければ、そこで魔法が発動してしまう。

 しかし、 絶妙な調節で魔法やスキルを受け流すことは出来るのだ。

 これは厳密には魔法やスキルの干渉ではないから可能な芸当である。

 万が一触れた場合に帰ってくる反動は計り知れない。


 これも剣術。

 ハイリスクだが、効果はデカイ。

 名は、“舞紙”と言う。




 「逸れろ」



 正面からの魔法を右斜めからくる広範囲攻撃に向ける。

 同じく後方からの攻撃をその方角へ逸らす、逸らす。

 可能な限りぶつからないルートは計算済み。

 そしてどんどん捌く。

 ひらひらと舞う紙のように攻撃を意に介さない。


 これが舞紙。



 「ふぅー………」



 一斉攻撃を全て回避。

 それじゃあ、反撃開始——————



 「おりゃー!!!」



 「!?」





 ドゴォォオオオオン!!!!






 すんでのところで身を返し、攻撃を回避。

 魔法じゃない、物理攻撃だ。



 「巫女っ子ウルクちゃんさんじょー!」


 「お前マジか………!!」


 ダンッ!! と地面を蹴り、ウルクは一気に距離を詰めた。

 徒手空拳。

 しかし、拳に纏っているオーラは魔力ではない。

 あれは神威だ。


 「やー!!」


 とてつもないスピードで飛んでくる拳。

 刃で受けるが、神威の影響で拳に刃が通らない。

 一度剣を引き、再び斬りかかる。

 ウルクの拳を刃で受ける。 

 すると、下方から蹴りが飛んできたので、それを利用して上に飛び上がり、剣を突き落とす。


 「うお!? マジか!!」


 「ひひ、すごいでしょー」


 手を十字に組んで防御。

 そのままもう一度上に飛び、今度は連続攻撃の応酬だ。



 「こいつ………」


 「やー!!」



 拳と刃が幾度となく交わり、周囲に轟音が撒き散らされる。

 そして、大きな一撃がぶつかった。



 「おおおおおおおおッッッ!!!」



 「やァアアッッ!!!」




 衝突。

 そして、大地がえぐり取られた。



 なるほど、流石は神威を使っているだけはある。

 それにあの動き、あのヤローチビ神から経験も譲渡されてやがンな。


 


 「やるじゃねェか」


 「へへん!! どんなもんだー! ま、トドメは私じゃないけどねー」


 すぐそばまで迫っていたミレアとレイ。

 サルもトリもそこまで来ていた。


 「ああ、らしいな」


 この二人なら連携をして来そうだと思っていたが、本当にきたか。

 困るな。

 

 「「この距離ならッッ!!」」




 そして、レイとミレアは特大の一撃をかなりの近距離で放った。

 ただ、ゴリ押しで行くのもつまらん。


 「だから、ちゃんと防ぐ」



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