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第382話


 「おーっす、戻ってきたぞ」


 「あ、お帰りなさい」


 リンフィアにお帰りなさいと言ってもらったのは久しぶりな気がする。

 やはり落ち着く。


 「おう、ただいま。って、勢揃いだな」


 何故か、俺が学院に来てから親交の深い連中が皆集まっていた。


 「リフィ達はわかるが、コロネ、カプラ、ローゾル、な………ルクスは何でこんなところにいるんだよ」



 「「「料理が上手いと聞いたから」」」



 こいつら………


 サッと顔を隠すリンフィア。

 そういえばローゾルも居た。


 ミレアは、まぁ俺以外の男と極力話さないようにしてるから違うな

 とすれば………


 俺はウルクの方をみた。

 はい、ダウト。



 「テメーら………」


 「わ、悪気はないんです! ですよね! ウルクちゃん!!」


 「そそそっ、そーだよ! うん、ケンくんの評判をちょっとでも広めようと………」



 いや、待て。

 ここで下手に引き止めれば、ダークマターが生成されてしまう。

 ニールの方を見ると、顔をでんでん太鼓のように横に振っていた。


 「仕方ねー。メシ作ってやるから準備だけ手伝え。あ、食材には一切触れんなよ。計算が狂う」









———————————————————————————










 現在、リンフィア達は食器やら薪やらの準備をしていた。

 そして、仕方ないと言いたげな顔で、流も手伝っている。

 そこにはウルクとチビ神も居た。

 

 「はぁ、俺としては女の子ナンパしていたかったんだけどね」


 「もー、軽口言ってないで作業してよー。ハナエが悲しむよー」


 「ハナエは関係ないだろう」


 「そだよー、ナガちん。働かないとクソニーになっちゃうよん」


 と言ってるチビ神が一番働いていない。


 「で、何でルクスなのー?」


 「俺の本名が、楠 流っていうのは知ってるでしょ? こっちの呼び方だったらナガレ・クスノキってなるから、苗字と名前の頭数文字を取ってルクスにしたんだ。ちなみに偽苗字のフェルディアは適当」



 なるほど、と相槌を打つウルク。

 そもそも大体のやつの偽名がそんな感じだ。

 ユノに関しても

 乃坂 由知という名前の漢字の頭を取って音読みしただけなのだ。

 こちらも苗字のハルトロスは適当である。



 「で、結局ケンくん側に付くの?」


 「………ああ、そのつもり。俺はね、結構クラスの連中の事を気に入ってたんだ。もう何人か死んでるけど、それでもどうにかできる奴はどうにかしたい。ウルクリーナも、国をどうにかしたいって思ってるから亡命なんかしてこっち側に着いたんだろう?」


 「まーね。でも、そう簡単に行きそうも無いんだよね………」


 ウルクはちらっとチビ神を見た。

 実は、ウルクは現在の世界の情勢に関して、かいつまんだ説明をチビ神から聞いている。

 つまり、戦争が起きると知っている。


 「とりあえずは、学院で力を蓄えていくよ。うちの国にも、ここの学院長みたいな化け物が4人いるし、ミコトちゃん見たいな反則な子もいるわけだし、力は必要だよね」


 「特異点に、“四死王”か………」


 暫し沈黙する。

 当然向こうの国にも、戦力はある。

 むしろ、同等の戦力があるからこそ、拮抗した状態が継続されていたのだ。


 故に、異世界人の召喚によって情勢が崩れ去ったこの時を狙って、戦争が起ころうとしていたのだ。



 「よし!」


 ウルクはスッと立ち上がった。



 「戻ろっか」


 「………そうだね」










———————————————————————————











 「ご苦労。薪の予備はその辺に置いとけ」


 俺がこいつらに集めさせたのはあくまでも予備。

 今日の分の、集めてくるまでに使うであろう薪はすでに回収済みだったので、それを使って料理をしておいたのだ。


 「うわー、もういい匂いしてるー」


 「聖、お前本当に料理出来たんだな………」


 流が信じられないような目で俺を見ていた。


 「ヤンキーなのに………」


 「ヤンキー関係ねーだろうが」


 俺は2人の分の皿を渡した。


 「もう出来上がってる。自分でよそって食え」


 「手際もいいな………」


 「鬱陶しいからいちいち驚くな。ほら、行け」



 ウルクと流はさっさと鍋に向かった。

 やれやれ、面倒な作業だった。

 この人数分作るのはやはり大変だ。

 いや、念のため人数の3倍作っている。

 万が一余ってもアイテムボックスの中に入れておけば良いのだ。


 なぜ作ったのかって?

 それは………



 「なんだあれ………」


 「めちゃくちゃ美味そうな匂いするんだけど」


 「俺らの料理と全然違う」


 「わぁ、いいなぁ………」




 案の定、隣にいたクラスの奴が匂いにつられてやってきた。

 そして、 その中の1人と目が合う。


 「!」


 「ケンだ!!」



 やれやれ。

 人数は13人程か。

 クラスの連中の3分の1がまとまっていたらしい。

 まぁ、特に貴族なんかが多そうな特科生は料理出来そうなイメージないもんな。



 俺はアイテムボックスから人数分の食器を用意して手招きした。


 「「「!!」」」




 そこから更に十数人増えて行った事は、今の俺は知らない事であった。

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