表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
376/1486

第376話


 「えー!? 出来ないの!?」


 やはり知らなかったか。

 そもそも、巫女は………もっと言えば神との契約は世間には知られていないのだろう。

 同様にウルクも知らなかったらしい。


 「ああ、出来ない。だよな、チビ神」


 『そだよ。ミーと契約しちゃったしねー。使い魔は無理諦めんしゃいなー』


 簡単に言えば、コストが足りない。

 テイムのような軽い契約と違い、巫女契約や使い魔契約は、特殊なケースを除けば死ぬまで続く契約なのだ。

 そう言った重い契約は原則一人一つまでとなっている。

 ただし、俺の“神の知恵”や“固有スキル”は除かれるらしい。

 今後ウルクは、契約に関してモンスターテイムくらいしか出来ないだろう。


 「どうにか誤魔化すしかないな。つか、ファリスに事情を言えば問題はないんじゃね?」


 「そうじゃないのー。やっぱさー、使い魔とか憧れるでしょー?」


 『それじゃあ、それっぽくなってあげよっか?』


 「!!」


 ウルクが食い入るようにチビ神を見た。

 こいつ、何する気だ?


 『要は一緒に戦うパートナーみたいなのが欲しい感じっしょ? サポーターくらいなら何とかこの擬似肉体を弄ってどうにか出来ると思うよー』


 そうか。

 多少なり力の残滓はある。

 だったらある程度は出来そうだな。


 『とりまビジュアルはヴァルキリーでいこーかな』


 「戦乙女か。確かに使い魔っぽい。つかそれこっちの文化じゃね?」


 『だって獣はミーの趣味に合わないんだもーん』


 それを聞いたリルがピクリと眉をひそめた。

 獣を侮辱され、気に入らないのだろう。


 リルは文句を言おうとした。



 「おい、お嬢。その喋る石ころは何だ? 癇に障るのだ………おい、何だ貴様、その………」




 ゾッッッ!!




 「ッッ………………!?」



 リルは思わず身構えた。

 流石はフェンリルと言ったところだ。

 ()()()らしい。

 完全にではないが、わかっているようだ。

 この石ころはただの石ころではないと。


 『お利口さんだね。そ、やめた方がいいよ。神殺しは問答無用で消されるからね』

 

 「貴様………」




 「もー、ケンカしないでよー。チビ神ちゃん大人気ないことしちゃダメだよー」


 ウルクが間に入った。

 ここに来る前の測定の時も思ったが、こいつは意外と根性がある。


 『はーい』



 「フン」



 とりあえずは収まった。

 

 「おいフェンリル。儀式を続けたいからそこをどいてくれねーか?」


 「む、すまん」



 リルはシュルシュルと縮んで陣の外に出た。

 いつのまにかリンフィアのペンダントをつけている。

 それにしても、あれは一体何なのだろうか。

 フェンリルを呼び出す程の触媒。

 何の物質か気になる。

 とりあえず、鑑定して見ることにした。


 すると、



 「………これは」



 鑑定結果、あれの名称がわかった。

 だが、正直驚いている。

 俺はこれが存在するとは思わなかった。


 名は、魔皇石。

 馬鹿みたいな魔力を凝縮させまくって、ようやく出来る鉱石だ。

 簡単に作れるように思えるが、実際はかなり難解だ。

 1人のヒトが、1000年間一定の魔力を石に与え続ける事でようやく作られる。

 その間、眠る事は許されず、何をしている時にも集中力を途切れさせる事を許されない。

 気が狂うような過程を経ている。

 故に、実際に存在するとは思わなかったのだ。

 これが出来たのだとしたら、十中八九どこかしらの神が作ったのだろう。

 こちら側でそこまで気が狂ったヒトはいないと思う。



 「主、これの価値がわかるのか?」


 「ああ。狂人の石で呼び出されるとは、お前も贅沢なフェンリルだな」


 「わはは! 狂人の石か! そういえば、そのような呼び名があったわ。それにしても主、実に物識りよのう? 人間の持てる知識を完全に超越しておらんか?」


 「ああ。なにせバケモンだしな、俺」



 俺がそう言うと、リルは可笑しそうに吹き出した。



 「面白い男だ。名は何だ?」


 「ケンだ。ヒジリ・ケン。リルって呼んでいいのか?」


 「良い、許そう。ま、それもおかしな話だ。種族としてみれば我の方が高位だが、個体としてみたら主の方が数段上だろう」


 なるほど。

 おかしな獣だが、好感は持てる。

 プライドは持っていても、ちゃんと認める事ができる。

 いい事だ。



 「おい、もういいか?」


 「おう。早速始めてくれ」


 さて、今度はニールの番だ。

 こいつの事だ。

 ドラゴン関係の使い魔が出てくるのは予想がつく。



 ニールは詠唱を開始する。

 さっきと同様に陣が作動した。

 


 「何が出てくるのでしょう?」


 「はは、楽しそうだな。ワクワクしてんのか?」


 「もちろん!」


 確かに、竜族の持つ竜殺しの剣からどんな使い魔が出てくるのかと、気になるだろう。



 そして、ニールの使い魔が姿を現した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ