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第374話


 「次は、使い魔の訓練だ。先程同様、相手を組んで戦うも良し、自ら相手をするも良しだ。まだ使い魔を所持していないものは、この機会に呼んでおくといいだろう。学院の名行事である魔獣祭で、 第三学年は自分の使い魔を参加させなければならない決まりだと聞いたからな」


 そうだったのか。

 そういえば、次の行事は魔獣祭だと聞いた。

 俺はエルに参加してもらうとして、リンフィアとニールはどうするつもりなのだろうか。

 まぁ、今はとりあえず気にしなくてもいいだろう。

 時間はある。

 だが、出来れば今日にでも喚んでおいて欲しいものだ。




 その後、色々と軽い説明と注意事項を受けて、解散となった。



 「それでは、あとは各自で行動しろ。解散」




 みんなバラバラと移動し始めた。

 とりあえず、リンフィアとニールのところに行ってみることにした。










———————————————————————————










 「んで、お前らどうすんの?」


 俺はアイテムボックスから取り出したコーラを飲みながらそう言った。

 ちなみに自作。


 「うーん、とりあえず召喚してみます。触媒もありますし」


 触媒とは、対象を限定して行う召喚の事である

 ただ陣を敷いて召喚した場合、使用者の力量に合わせたランダムな使い魔が召喚される。

 しかし、触媒を用いた場合は種族は限定されるにしろ、使用者の力量より上の使い魔が召喚される。


 ちなみに、俺が召喚したら陣がイカレる可能性があるので、召喚はしないつもりだ。

 そもそもバハムートという最強クラスの種族のエルがいるのだから俺には必要ない。


 


 「触媒って、あれか。いつも持ってるやつ」


 「はい。困った時は使えって言われてるのを思い出したんです。困ったことの中には、確か使い魔召喚の儀式も含まれてたと思います」


 魔王の用意した触媒か。

 正直かなり期待できる。

 俺も楽しみだ。


 「で、ニールはする?」


 「私はバルムンクを触媒に使うと決めている。生贄と違って消費されないからな。私の持っている所持品の中で、唯一触媒に活かせそうなのがこれというのもある」


 竜族の宝剣も、かなり良さそうだ。

 なにせあのレベルの武器だ。

 おそらく古代より存在している。

 こいつもこいつで期待できる。

 


 「あ、私も混ぜてー」



 向こうからやってきたのはウルクだった。

 手には見覚えのあるものを持っている。


 「それは確か王家の………」


 以前1人で放浪中に会った時にみた王家の石だ。

 こいつら揃いも揃って御誂え向きの触媒を持ってやがる。

 豪華なことだ。



 「ウルクちゃんもまだしてなかったんですか?」


 「そうだよー。これが触媒向きかはわかんないけどね」


 「いや、結構向いてるぞ、それ。王家代々受け継がれてきた魔力が少しずつくっついてる。そう言ったものは魔法学的にみても触媒には好ましいものなンだぜ?」


 へーと言いながらウルクは王家の石をかざしてみた。

 不思議そうに石を見ている。



 「じゃ、いい感じのメンツになったし、向こうで儀式を行おうぜ。お前のバルムンクなんか見つかったらめんどくさそうだ」


 「そうだな」











———————————————————————————











 「………よしっと。陣はこれでいいかな」


 「なんだろう………知ってる陣と違うような………」


 リンフィアはそう呟いた。

 それは当然だ

 なるべくいいのが当たりやすくなるように改良した召喚陣なのだから。


 「俺専用オリジナル召喚陣だ。公式の陣よりずっとマシなゲートだから、向こうも喜んで入ってくるだろう」



 「うわー、相変わらずエゲツない技術だねー」


 「もう驚かん」


 ニールとウルクは半ば諦めていたようだ。

 遠い目をしている。



 「あとの手順はわかるか?」


 「大丈夫です!」


 

 リンフィアは触媒を陣の中心に置いた。

 早速始めるらしい。

 邪魔にならないように離れておこう。



 何気に、俺は召喚儀式というものを見たことがない。

 いや、これだけではない。

 俺は、ありとあらゆる知識と、それらの大元となる“知恵”を有してる。

 だが、それでも実物を見たことがないものは多い。

 だから、こういうのを見ていると、それなりに楽しみに思うのだ。


 特に、今回は凄いのを期待できそうだ。



 「………じゃあ、始めます」



 リンフィアは陣の外に出て、一番外の線のそばに立つ。

 そして、詠唱を始めた。




 「【天を仰ぎ、 地に刻む。門を開き、異形を招く。無垢なる魂よ、誓いをここに】」




 陣が青白く光り始める。

 リンフィアの魔力を吸って、光はどんどん強くなっていった。




 「【その魂を我と共に。運命を重ね、汝の全てを委ねよ】」




 次の瞬間、





 ゴォオオオッッッ!!!





 と、蒼い炎が燃え上がったのだ。

 陣の中心には、すでに使い魔の核となる部分が出来上がっていた。

 そして、詠唱が完成する。




 「【我、リンフィア・ベル・イヴィリアが命じる。其の魂を、肉体を、運命を、それら一切を捧げ、我が剣となれ】」




 ついにリンフィアの使い魔が姿を現した。

 そしてケンは思った。

 この詠唱は言いたくない、と。

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