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第372話



 ——————いいか、お前に必要なのは近接戦闘技術だ。



 ケンはそう言った。

 要は、格闘系の動きを取り入れてアクロバティックに戦えと言うことらしい。

 リンフィアは、最初からそのつもりだったが、やはり()()()()()()

 まだこれを単なる遠距離武器と見てしまっているのだ。

 だが、



 「こう………ッ………?」



 「!!」


 弾丸が、ルーズの頬を掠める。

 徐々にわかりつつあった。

 どう言う役割にする必要があるのか、()()()()()()()()


 「やはり面白い戦い方だ。我流か?」

 

 「うーん、我流といえば我流でしょうか。でも、基本は教わりました。まぁ、その人も自分の考えた技術じゃないって言ってるので、本当は誰の技術なのかはわからないんですけどね」



 ルーズの剣を、 銃で捌く。


 「短剣のように扱いながら、離れれば撃たれて、近づいても撃たれる。しかも超高速と来た。剣術では()りづらいな」


 と言いつつ、攻撃を受け流していくルーズ。



 すると、


 「こっち、 忘れないで欲しい」


 「はい、もちろんですッ!!」


 隙を狙って、銃を撃つ。

 しかし、とにかく回避が上手い。

 コロネは撹乱して戦うタイプだ。


 「まだまだ行けますか?」

 

 「当然!!」










———————————————————————————











 「………守られてばっかだなー………」


 ウルクは黄昏ていた。

 流に守られ、ケンにも現在進行形で保護されている。

 しかし、自分は何も守れていない。

 国を追われた王女は、己の無力に打ち拉がれていた。



 「うーん、確かにそれは辛いわ〜」


 「………チビ神ちゃんイラっとするなー」


 肩の上の小人のせいで台無しである。


 「でも実際そうっしょ。一番度胸があっても、実力は伴っていない。力だけあってもダメだとかいう連中いるけど、その力がなかったらいくら他のものがあってもダメな事に気づいてないのが救えないよねー」


 確かにその通りだ。

 力が無ければ、この世界では望みを叶えられない。

 それが大きくなれば大きくなるほど、当然力が必要となる。

 それが国家転覆となれば、一体どれほど力が必要なのか。


 ケンは任せろと言ったが、このまま国をひっくり返しても、意味がないんじゃないのかと思い始めたのだ。


 「確かに、ウルちんはケンちんに何かを頼むには相応しくない」


 「!!」


 口に出されて改めてそう思った。

 心を読んだようにそう言われたことより、そうだと気付かされた事にショックを受けた。




 「——————じゃあ、力を得る方法があるとするなら?」




 「え!?」


 速攻食いついたウルク。

 チビ神はニヤリと笑った。


 「知りたい?」


 「知りたい!!」


 チビ神は改まって、ウルクの方を見た。


 「巫女って知ってる?」


 「巫女?」


 「やっぱ知らないか。ミー達神にはある力が3つ与えられてるんだよね。一つが権能。例えば命の神になら、 生命にまつわる力。生命というジャンルにおいては最上級のモノとなるための力」


 なるほど、と思った。

 〜の神というのは、その権能の能力………いや、能力を得るにふさわしいが故に呼ばれているとわかったのだ。


 「もう一つが異世界召喚。人間から願われた上で、 いろんな条件を満たす事で、他所の世界から人間を引っ張って来られる」


 これに関しては実際に例を見たことがある。

 ケンや流がそうなのだ。


 「最後がこれ、加護。異世界人の持つ固有スキルがその一種だね。でも、これは異世界人専用なのさね。でも、もう2つは誰にでも与えられる加護。ウルちんに与えるのは、その二つのうちの強力な方だよ」


 神の加護とはよく聞くが、それが実在するとは思わなかった。


 「それが巫女さ。巫女ってのはね、ざっくりとした神の権能を降ろして身につけた神の化身みたいなものを創り出す技法だよ。それをウルちんに施す」


 「………!」


 「先に言っておくけど、魔力が上がったり、力が強くなったりするわけじゃない。君が得るのは“神威(カムイ)”と呼ばれる神の力のほんのカケラだよ。 でも、カケラといっても、それがある人間は本当にバケモノみたいに強くなれる」


 神威。

 聞いたことのない力だ。

 正直なところ、 恐ろしくは思っている。

 だが、それでも——————




 「それで、 国が守れるなら………私は欲しい!」



 「ふふ………いいね。じゃあ、儀式を始めよう」


 命の神の遺体が、ウルクを覆った。

 


 その日、ひとりの人間が愚かにも神へと近づいたのだった。

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