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第371話


 「スゲェな、ヒジリ!! 騎士団の隊長格に勝ったんだな!! お前やっぱ何もんだ!?」


 「かっこよかったよ、ヒジリ君!!」


 「ねぇねぇ、後で戦い方教えてよ!!」


 「おぉお………」


 正直、戸惑っている。

 向こうにいた頃、周囲からは嫌悪と畏怖の眼でしか見られていなかったと言っていいほど、俺は極端に避けられていた。

 あまり気にはしていなかったが、そんな俺を心配する蓮たちにどこか申し訳無く思うので、嫌と言えば嫌だった。

 まァ、因果応報、自業自得だ。



 まさかその俺が同年代の連中に囲まれるとはな。

 向こうにいた頃だったら考えられなかった。

 そうか、俺もだんだん変わっていってるんだな。



 「ふぅ……………ったく、しゃーねーな。んじゃ一緒に訓練すっか」



 「「おおお!!!」」


 本来の目的である、学院生信頼して本気出せるようにしちゃおう計画の何割かは進められそうだろうか。

 いつか強くなり過ぎた力を見せても、受け入れてくれるように頑張らなければ。



 





————————









 みんなに囲まれているケンを、リンフィアはじっと見ていた。

 嫌われ者と自称していた事は知っている

 だからこの光景を見てホッとしていた。



 「よかったですね、ケンくん」



 ケンには何か人に言いたくない過去がある。

 それは以前聞いたことがある。

 俺は人に嫌われていると言っていた。

 とてもそうとは思えない。


 だが、仮にそうだったとして、そこはあまり気にしている様子はない。

 むしろ、 別の何かがあると思ったのだ。

 二人だけで行動していた時、たった一度だけ聞いたあの苦しそうな声。

 夜中に偶然聞いてしまったそれは、確実にケンの中に何かを残している。

 余程嫌な記憶なのだろう。

 そして、多分それは本当に寂しい時に独りだったからだろう。


 だから、リンフィアはケンがこうやって人に囲まれているのが嬉しいのだ。



 「視線が熱いよー。火傷しちゃいそう」


 「なんなら燃やしましょうか?」


 例のごとくカプラが煽ってきたので、 見るのをやめるリンフィア。


 「もう、 そんなんじゃないですから!」


 「もうそれ耳にタコができてイカも出来そうなくらい聞いた」


 「意味わからないこと言わないでくださいっ」


 「いい加減素直になっちまいな? じゃないと………」


 「取られる………!」


 下からコロネが出てきた。


 「こ、コロネちゃん」


 軽くホラーである。


 「まず会長が怪しい。あの会長が彼だけさわれるってのが怪しい。そしてニールちゃん、リンフィアのこと超好きっぽいけど、あんま関係なしに、ケンも気に入ってるっぽいよ。それに、特科生の人たちに聞くと、ケン君意外と人気っぽいな。確かに目つき悪いけど、そこがまたかっこいいって」


 「なんで普段怠け者なのに、こんな時だけ張り切るんですか!!」


 「てへ。お陰でもう何もしたくないから適当に寝とくわ」


 そう言い残してどこかへ行くカプラだった。


 

 「………ハァ、勝手な子ですね」



 よくよく考えれば訓練に参加せずに何処かへ行ってしまった。


 リンフィアは銃を取り出した。

 実はこの銃、先日弾倉を変えたのだ。

 生活魔法を応用して、銃弾を一瞬で装填できる仕組みに変えている。

 これでわざわざ時間をかけて、リロードしなくていいのだ。


 「コロネちゃん、本当に練習に付き合ってくれるんですか?」


 「当然。リンフィアちゃんの武器、不思議。そして、 強い。回避用魔法、 練習、丁度いい!!」


 コロネは息を巻いていた。

 やる気は十分。


 すると、


 「私も混ざってもいいか?」


 「隊長!!」


 「はは、今は部隊ではない。名前で呼んでくれて構わんよ」


 「はい、ルーズさん!!」


 ルーズは剣を構えて、リンフィアの前に立つ。


 「その武器が相手では私も勝てるか分からんな」


 「はい、貰い物ですが、自慢の武器です!」


 リンフィアはケンからこの銃を貰って以降、毎日欠かさず手入れをしている。

 手入れは魔法でパパッとすれば終わるのだが、毎日自分の手で手入れをしている。

 ケンはマメだなと笑っているが、斯く言う彼も、 木刀の点検や手入れは欠かしていないのを、リンフィアは知っている。



 「敗北条件は、急所に二発受けるかそれ以外の場所で6発受けること。急所以外を3回で急所一回分と数えます。では、行きますよ」


 リンフィアは銃を胸の前に構えた。


 「来い………!!」


 「勝つ………!」


 

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