表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
361/1486

第361話


 先代命の神の遺体。


 そこから現れた先代命の神………の小人は、今ウルクの肩の上で愚痴をこぼしていた。




 「なしてミーがこんなちっこい体に押し込まれにゃならんのかって思うんだよねー。一応先代なんだしさー、現役のコも助けてくれればいいのに。そう思わない? ウルクちゃん、ダグラスちゃん」


 「さっき騒がしいの嫌いっつってなかったっけ?」


 ボソッと呟くダグラス。


 「まー、落ち着いてよ。ちっこくなったのは可哀想だけど、暴れたってどうにもならないし………だから落ち着こーよ………チビ神ちゃん」


 チビ神ちゃんというのは、とりあえず先代命の神だと長いし言いにくいという事で、決められた暫定の名称である。

 ちなみに、本人は気に入ってる。


 「俺をちゃん付けか………まぁいい。つーか神様ってホントに居たんだな。勇者どもの話を聞いてはいたが半信半疑なとこはあったんだよな」

 

 マジマジとチビ神を見るダグラス。

 しかし見れば見るほど分からなくなる。

 神ってこんなもんだっけ? みたいなゲシュタルト崩壊が起きてるダグラスだ。


 「神様って言っても、万能じゃ無いしね。言うならば、()()()()()()()()ってとこ。それが神の性質ってわけよ」


 「ほー。思ったよか万能ってわけでもなさそうだな」


 「そりゃそうっしょ。互いに牽制し合えるように力を分担させたのがいまの神なんだしー」


 「マジかよ。神様ってもうなんでもありな反則ヤローかと思っていたけどな」


 チビ神は少し押し黙る。

 懐かしそうな顔を、それでいてどこか寂しそうな顔をしていた。



 「………なんでもありみたいで、反則なヤローなら昔いたんだけどねー」



 「はっ、神サマにそれを言わせるってことはよっぽどとんでもない神サマだなそりゃ」




 しばらく、場が静かになった。

 よくよく考えれば奇怪な面子である。


 1人は先代命の神、1人は一国にあるずべてのギルドの頂点にたつギルドマスター、そしてもう1人はこっそり他国に忍び込んだお転婆王女。


 実に不思議な組み合わせである。



 「で、チビ神ちゃんはどうするのー? このままこっち来る?」


 「もちよ。そりゃあ付いて行くっしょ。ただ、現役ちゃんの手下のとこには連れてかないでね? ミー八つ裂きにされちゃうかも。きゃーー!!」


 掴み所のない人だ。

 妙なキャラだが、少しづつみんな信用していった。



 












———————————————————————————













 例によって下界を覗いているトモ。


 「ありゃ、先代の命の神じゃん。流石に生命を司るだけあってしぶといなぁ。でも当然っちゃ当然か。神ってのは所詮人間が媒体になった()()だしね。命って概念がある以上、その恩恵はあるわけだ」


 同行する気もなく、無気力なトモ。

 する気もないというよりはできなかった。

 神は不用意に下界に干渉してはならないのだ。



 「さて、ちょっと振り返ってみるかな」


 トモは目を瞑ってケンに関することを回想していた。



 



——————





 それぞれの国が、慌ただしく蠢いている。


 ミラトニア


 ケンが今いるこの国では、隣国であるルーテンブルクと同盟を結ぼうとしていた。

 長い間牽制しあっていたが、突然王女との婚約を提案され、それを着々と進めている。


 召喚した勇者は、戦闘訓練を行なっていた。

 ラクレーが師になったお陰か、かなり戦闘能力が向上している。

 特に前回ケンに付いていった7人は成長が著しい。

 しかし、不穏な空気も見える。

 担任教師・宇喜多 春を襲った者がまだ判明していないのは、彼らにとって悩みのタネだろう。


 マギアーナの魔法学院では、第三学年が合宿中だ。

 密入国者やら神の遺体やらで忙しない様子。


 ルクスこと 楠木 流

 ユノこと 乃坂 由知

 氷上 霧乃

 菅沼 惑

 流の姉 楠木 留華

 彼らが密入国者だ


 変わった展開といえば、ラクレーが王女だった事や、ダグラスがケン達と合流した事くらいだろうか。

 それと、 ケンは忘れているだろうが、第零学区と名付けられたあの空間。

 あれは注意すべきだろう。




 ルーテンブルク


 魔法ではなく、呪法が発展した国。

 魔法使いはおらず、一人一つの呪印を持っている。

 これは同じく一人一つである固有スキルと違い、あそこまで特化した効果はなく、もっと大雑把なものでなのだ。

 政略結婚を進めているルーテンブルだが、やはり裏はあるらしい。

 


 

 ルナラージャ



 ウルクの国。

 身分制度による格差がどの国よりも激しい。

 この国は、使い物にならないはずの魂属性の魔法を使ってせっせと働いているようだ。

 研究材料の数々がミラトニアにある事と、逃げ出したウルクを暗殺するために、異世界から召喚された人間をミラトニアに送っている模様。

 

 

 




 

 「相変わらず飽きさせないねぇ、ケンくん。魂属性と関わるなんて、 やっぱり君の運命は本当に数奇なものだよ。本当についてない。見る分には面白いけどさ。でも、この状況からどれくらいひっくり返ってくれるか楽しみだ」


 トモはパッと目を開く。

 そして不穏なことを呟いて、再び観察に戻っていった。


 「そろそろ、衝突するかもね。異世界人同士が」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ