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第360話


 「さて、その竜種の扱いだが………」


 と、スカルバードは切り出した。

 それについては既に決めてある。

 俺は考えをスカルバードに告げた。


 「こいつは、マギアーナに置いてもらう。ファリスには相談済みだ。治外法権………って言ってもわからんな。不可侵のあの街なら半魔族で通しゃいい。文句は言わせねェ。ここでしか言うつもりは無いが、この勝利は俺のモンだ。これくらいの自由は許されンだろ?」


 「………了解した。言う通りにしよう」


 「!」


 少し意外だった。

 頭の固い騎士かと思いきや、中々見所はある。

 あのクソ王の下に置くには勿体ない男だ。


 「アンタ、いいとこあるじゃねーか」


 「なに、功労者に無下な真似は出来んよ。その程度の礼儀はわきまえている。例え相手が魔族だろうと関係ない。私は異種族差別主義者ではないのでな」


 ますます勿体無い男だ。

 だが、これほどの奴が使えるってことは、あの王はあの王で何かあるんだろう。


 「ヒジリケン」


 「ん?」


 「私は、この場面を利用してお前を試そうと思っていた」


 「ああ、 だろうな」


 そんな気はうっすらしていた。

 特に支障はないし、自分が人を動かせるのなら構わないので放置していたが。


 「で、どうだった?」


 「はっきり言おう。お前は危険過ぎる」


 「ほー。そりゃまた直球だな」


 「大きな力を持った阿呆。力を持たない弱き賢人。これならば、いくらでも利用の仕様がある。中途半端に両方あるやつの方が厄介だ。だが、お前は三帝をも遥かに凌ぐ戦闘力と魔力を有し、予言すら可能であろう知恵とそれで自在に操れる豊富な知識を持っている。私の見解では、魔王なんぞ相手にならんだろうさ」


 ………本当にいい眼を持っている。

 慧眼と言っていいだろう。


 「何故国を離れた? 少なくとも、異世界から共に来た仲間の中には、大切な友人もいるだろう?」


 そこに目がいくか。

 この男は、俺がどんな男なのか、()()()()()理解している。

 まぁ、普段はその半分が全部だから、ある意味では言い当てていると言っていい。


 しかし、答えは言えない。

 だから俺は、ヒントを言った。



 「………アンタは、本当の敵が何なのか考えたことはあるか?」


 「………本当の敵だと? それは———————」


 魔王と、それに与する魔族。

 とでも言おうとしていたのだろう。

 しかし、ここで詰まるスカルバード。

 流石に聡い。


 「“我が剣を主君たる国王に捧ぐ” 騎士のポリシーだ。皮肉なしに立派だと思う。“誰かのため”という行いの、 ある種究極体だ。だが、王が間違っている時に道を示すのも、従僕の務めだ。出過ぎた真似だと斬り捨てる王ならばいっそ見限ってしまえ。王は道そのものじゃあない。王とは先導者、あくまで人だ。道になろうとしている王は、なろうとした瞬間から失敗している。アンタの王は………ははっ、どうだろうな」



 俺はテントの出口に向かう。

 これ以上話すことはない。

 俺は最後にこう言って、この場を後にした。



 「アンタなら、いつか答えがわかるだろうな」












———————————————————————————









 「へぇええええええ………僕をのけものにしてみんな一緒にいたんだ。ほおおおおお?」


 リス………いや、もはやカレーパ○マンの如くほおを膨らませているシャルティール。


 「ごめんなさい、シャルティール。別にのけものにする気は無かったのですが、申し訳ありません」


 と、真面目に返すミレア。

 あうあうと反応に困るシャルティール。


 いや、流石に読めただろお前。


 「ふぅむ。この高貴な僕も置いてけぼりなワケなのだが?」


 合流したローゾルは相変わらずな様子だ。

 まぁ、無事で何より。

 だが、


 「いや、お前が入ると厄介だから今は置物のようにおとなしくしてろ」


 「辛辣だな友よ!? 」



 「リンフィア………いや、アネキと呼ばせてくれ!! アンタがあそこまで強いとは思っていなかった! すげぇ半魔族だ!! 俺様、アニキとアンタに一生ついていくよ!!」


 「お前なんでもいいのか」


 尻軽過ぎるぞ、舎弟よ。


 「そんな………私のあれは反則みたいなものですよ。一時的なやつですから」


 「え、そうなのか?」


 「でも間違いなくアレの数倍の潜在能力は持ってるぞー、 お前。少なくとも、そのうち一級魔法の無詠唱連射が出来るようになる」


 「ほらぁ!!」


 と、 何故か嬉しそうにいうガリウス。

 リンフィアは困った顔をしていた。

 まぁ、言ってもこいつは魔王だ。

 カリスマ性のようなものがあるのは否めない。

 こいつは多分そういうものに惹きつけられたのだろう。


 「あ、そう言えば思ってたんだけどさぁ」


 と、シャルティールが切り出した。


 「あ?」


 俺たちは完全に失念していた。

 そもそも、これはなんの行事なのか。

 それを忘れたまま、気づけば2日目の朝を迎えていた。


 「合宿って結局どうするの?」





 「「「………………確かに!!」」」

 

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