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第354話


 「おうボウズ。お前さんは、そこの嬢ちゃんの味方って事で良いんだよな?」


 ダグラスは、流に確認をとった。


 「え、あ、ああ!! 味方だ!!」


 突然尋ねられ、言葉が詰まった流。

 考え事をしていたのだ。

 とりあえず、甲冑を取って顔を晒したダグラスは、およそ信用していいだろう。

 そこを考えていたせいで、 少し反応が遅れたのだ。


 「? なんだお前さん、さっきまで俺の事信用してなかったのか? まぁ、仕方ねぇな。怪しい黒騎士なんざ、俺も信用したくない」


 「ッッ!!」


 ゾクリとした。

 見抜かれていたのだ

 その事に、流は畏れを抱いた。



 ちなみに、ダグラスはと言うと。



 (おお、合ってたか。カッコつけたのは良いが、外れてたらカッコ悪かったな。最近俺よか強いやつばっか現れるもんだから自信なくしてたけど、ようやく自信が取り戻せそうだ。うむ、いまの俺強キャラっぽいな!!)


 などと考えていた。

 そんなことは知る由もない流だ。



 「ボウズ!! 消える能力使えるんなら隠れとけ! お前さん、戦力にはなるだろうが、なられたら王女サマを守る奴がいねぇからな。王女サマごと隠せるか?」


 「隠せる」


 「いいねぇ。じゃ、 隠れてろ!!」


 流はコクリと頷く。

 そのままウルクの手を取りこう尋ねた。


 「ウルクリーナ、 準備はいいかな?」


 「うん、いいよ!」


 「じゃあ、隠れよう!!」



 固有スキル 【一色】発動。

 この場にいる全員の視界から、流とウルクが消えた


 「チッ………どうなってる!!」


 部隊長が声を荒げた。

 不可解な事ばかりで苛立っているようだ。



 「さて、残るはお前と後ろの騎士だけだな」


 「っ………」



 一歩、また一歩と前に進む。

 部隊長の背後にいる真面目な騎士は、恐れた。

 たった1人で自分の隊を壊滅させ得る絶対的な力に。


 「ポンス、貴様は逃げろ。逃げてこのことを報告するのだ」


 「しかし、 隊長が!!」


 「お前は先に戻り、このことを報告するのだ」


 「でも………」


 「行けッッッ!!!」



 怒鳴られた真面目な騎士は、決心した。

 そして、報告するために、ダグラスの横を通って帰還しようとした。


 当然、ダグラスは放っておかない。


 「行かせるかッッ!!」


 「それはこちらのセリフだ」


 「!!」


 何発もの魔法がダグラスを襲う。

 しかし、 威力自体は大したことないので、軽くあしらった。



 目の前の部隊長がMPポーションを咥え、魔法連射の準備をする。



 「はっ、根性比べか? 嫌いじゃない………………だが、付き合ってる暇は——————」





 ズチッッ






 横から音が聞こえた。


 (何だ………?)


 ダグラスは妙な感覚に襲われた。

 恐る恐る横を見る。


 「はァ!?」


 逃げようとしていた騎士が、槍で貫かれていたのだ。



 「ポンスッッッ!!!! しっかりしろ!! おい!!」



 「そこの騎士。ここで何をしている」



 「!!」


 部隊長は、聞き覚えのあるその声を耳にした瞬間、全身が石になったように固まった。



 「な、ぁ、あ………………」


 「ここは作戦範囲外だ。勝手な侵入を許した覚えはない。命令違反は重大な罰が与えられるとわかってやっているのか?」


 ダグラスはハッと目を見開いた。

 どうやら顔見知りらしい。

 


 「お前………」



 「ダグラス殿。お久しぶりです」



 「………相変わらずその鎧か、ルーティン」



 暗闇から現れたのは、白鳥の騎士ルーティンだった。

 先ほど、槍を投げたのはルーティンらしい。


 「ええ、今やこの鎧は私が私である証のようなもの。当然身につけ続けますとも。しかし、この状況は一体………」


 「とりあえず、アイツをぶっ倒したら話そうや。お前らンとこの魔法騎士ってわけでもないんだろ?」


 「はい。それは間違いありません。とは言え、この失態を犯したのが同じ騎士ならば、せめて私が裁くのが道理というもの。 任せて貰えませんか?」


 「ああ、いいぜ」


 ダグラスはダガーを腰に収め、戦闘態勢を解いた。

 ダグラスの後ろで、 ルーティンが構えている。



 「………何故だ」


 部隊長はそう呟いた。

 しかし、ルーティンは意に介する事なく、飛び出す準備を始めた。

 そして、部隊長はこう叫ぶ。


 「何故ッ!! ()()()()()()()者を殺すのですかッッ!!」



 「何——————」


 ルーティンの剣は、ダグラスに向いている。

 そして、 その刃は——————






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