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第345話


 近くの者と組んで地龍に対処する作戦。

 ニールとリンフィアは背中合わせに立っていた。


 「ニール、絶対に覚醒半魔だけは使わないで下さい」


 「………了解しました!」


 ニールには大剣ではなく双剣で戦うよう命じた。

 リンフィアは敵がユノだけであれば、覚醒半魔を使わせておいたが、ドラゴンがいるなら別だ。

 何としても使わせるわけにはいかない。


 「っ………来るぞッッ!!」


 騎士の1人がそう言った瞬間地面から地龍が飛び出してきた。



 「グルゥオオオオオオオオッッッ!!!!」



 地龍は土埃を舞わせながら空中で丸まった。

 飛び出してすぐの防御体制だ。

 回転を止めず地面に着地し、同時に尻尾を大きく振って体を伸ばした直後体をバネのように縮ませた。


 そして、



 「グォアアッッ!!!」



 目標に向かって一気に飛んだ。

 最も近いのはガリウス。


 「っしゃァ!!! 来いよクソトカゲェッッ!!!」


 ガリウスは拳に魔力を貯め、拳を引いた。

 グッと体を捻り力を込めている。


 「ふぅ………………」


 目測

 対称の位置を確認。

 狙っているのは鱗のようだ。


 「行くぜ………アニキ直伝」

 

 殴る直前、別の魔法を加える。

 炎五級魔法【ウォーム】


 熱気を出すという弱い魔法も、組み合わせれば強くなる。

 

 そして、本命の一撃を地龍に向けて構えた。



 炎三級魔法【バーンナップナックル】


 敵を焼け焦がす魔法。

 ものを焦がすと言う事に特化した魔法。

 威力もさることながら、その本質はモンスター装甲の弱体化。

 有機物を徹底的に焦がし、硬い敵も脆くする。

 ただ炎が効きづらい敵もこれなら通用する場合もあるほどだ。


 加えてさっきかけたウォーム。

 熱気によって水分を奪い、焦げやすくしたのだ。

 


 「喰らえコラァアア!!!!」



 炎のグローブがガリウスの手を包む。

 ガリウスが突き出した拳はそのまま地龍の鱗に直撃した。

 硬いことで有名な地龍の鱗が一瞬に消し炭になった。

 柔らかい皮膚に炎の拳が食い込む。



 「グ、ゴ………ギァア、アアアアアア!!!!!」



 「流石にタフだぜ………もう一丁………!?」



 今度は背後からもう1匹が飛び出してくる。

 マズイと思ったガリウスがガードした瞬間。



 パキッッッ!!!



 地龍の鱗が砕け、そこから血が噴き出した。

 リンフィアの銃だ。


 「注意して下さい! どんどん増えてます!!」



 「わかってるっつーの!!!」


 リンフィアは注意を目の前の地龍に向けた。

 最近ようやく銃での戦い方がいたについてきた。

 

 「地龍………」


 魔法弾は物理的な威力が通常弾より弱い。

 まずは接近。

 

 両手に銃を携えながら駆け出した。

 右から地龍。

 一発、二発と続けて打つ。

 近距離だからいくらか威力はマシになった。

 しかし、鱗は堪えている。


 「!………爪」


 最低限の低さに屈んで攻撃をかわし上へ打つ。

 氷属性で地面に固定。

 一瞬だが隙を作れた。


 (これなら………っ!?)


 土属性のブレスの予備動作が見えた。

 しっかりとリンフィアの方を向いている。


 (左に——————いや、来てる)


 避けようとした方向から地龍がやってくる。

 下がるか?

 しかし、後ろに下がればその隙に数が増える。

 理想の戦い方は、少ない敵を連続して倒し続けること。

 少数対一を保つこと。

 だったら、


 「止めます………!」


 ブレス発車の直前、地龍の口の中に氷魔法の銃弾をくらわせた。

 着弾と同時に口の中が凍り、ブレスが暴発する。

 自らのブレスで頭がひしゃげて、すぐに魔石に変わる。


 「まず1匹………!」


 すると左側の地龍は尻尾を大きく振ってリンフィアに体当たりしようとしていた。


 それにいち早く気づいていたリンフィアは地龍を止めるために再び氷属性の弾丸を放つ。

 しかし、


 「!?」


 「グォオオオオッッ!!!」



 猛スピードで振られている尻尾に着弾したのはいいものの、そのスピードのあまり、氷はすぐに砕け、 弾丸も弾かれた。


 尻尾はそのままリンフィアへと向かう。

 避けられないと悟ったリンフィアは咄嗟に防御魔法でガードを固める。


 「っ………まず、い………ですッ!!」


 直撃。

 リンフィアは木の向こう側まで吹き飛ばされ——————なかった。



 「っと………なんとか間に合ったね」


 「リンフィアちゃん、むちゃ、 ダメ」


 コロネとカプラが飛ばされたリンフィアをキャッチし、ショックを吸収したお陰で激突は免れた。


 「2人とも………」


 「1人、違う。だから、3人、一緒、たたかう!」


 「そうだ。私たちらは一緒だよ。怠け者でも戦うんだ。だからリンフィアにはもっと戦ってもらわないとね」


 「………はいッ!!」


vr








———————————————————————————











 「なるほど、友達か………で、あっちは主従関係………これは使えそうじゃんか」



 ユノは高みの見物を決め込んでいる。

 何かを“視て”いるようだ。


 「へぇ、そっかー、 異世界人とつるんでた訳ね。ますます興味ある」



 “視る”。

 それは彼の得特技であり、武器であった。

 ステータスや能力、そういったものは見ることは出来ないが、代わりに別のものが見える。



 「さて、どんどん君のことを知っていこうか。ま、俺は本質を視るだけだけどね」


 相手の性格、背景、更には思考までもを読み取り、可視化する能力。


 「じゃ、勝手によろしく。魔王ちゃん?」

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